[コラム] ベトナム株式市場の熱狂と政府の対応
2007年02月12日 18:35更新
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出展:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「国際通貨研究所 国際金融トピックスNo.130/国際通貨研究所 経済調査部 研究員 竹田 徳浩 2007年2月9日付」より
ベトナム株式市場の株価が急騰している。株価指数であるVN Indexは昨年12月29日の752ポイントから1月19日に初の1000ポイントの大台に乗せ、2月1日には1049ポイントと過去最高値を更新した。今年に入ってからの1ヶ月間で約40%の上昇を記録したことになる。
昨年2月、ベトナム財務省は、2010年までに国内株式市場の時価総額をGDP比10〜15%にするという目標を発表したが、既に17%に達した。このように、株式市場は、政府計画を大きく上回るペースで拡大している。
1月22日、23日の2日間に亘りハノイでベトナム金融・資本市場コンファレンスが開催された。コンファレンスは、ベトナム政府当局者、国内外の金融・資本市場の関係者、及びマスコミを含め500〜600人が参加する大規模なものであった。特に株式市場についてのディスカッションでは、立ち見客がでる程の盛況振りであり、内外投資家のベトナム株式市場に対する関心の高さが感じられた。
しかし、これまでの内外マスコミを中心とした株価上昇歓迎ムードとは裏腹に、パネリストとして登場した多くのファンドマネージャーやアナリスト等から、今のベトナム株式市場は過大評価されており調整が必要であること、海外投機家のホット・マネーが流入しており株式市場は不安定な状況であること、より透明性のある市場が必要であること等の指摘があった。
ベトナム政府当局者も、このコンファランスと前後して、企業のファンダメンタルズに着目せずに市場の熱狂に便乗した投機的な動きについて警戒感を表明している(注1)。ベトナム株式市場の平均株価収益率は25〜30倍程度と、他国平均の18〜20倍を大きく上回ると言われている。
また、証券市場の監督機関である国家証券委員会(SSC)は、投資家の適切な投資判断形成のために株価収益率や一株当り利益等の情報も含め株式市場の分析・調査レポートを定期的にSSCが公表していくことを決定した(注2)。
SSCは、外資による上場企業の持ち株比率上限規制49%、上場銀行の場合は30%を当面維持することも決定した。ヴー・ヴァンSSC委員長は、「今後の株式市場発展にとっての外資の重要性は十分理解しており、徐々に外国人投資家に市場を開放していきたいが、市場が過熱しているこのタイミングで上限規制を緩和することは適切ではないと判断した。」とコメントしている(注3)。
更にSSCは、上場企業に対してより一層の情報公開を求める通達を近々明らかにする予定としている。また、証券会社やファンド運用会社に運用状況の報告を求める等、証券市場に対する監督強化に向けて取り組むことを表明している。
株式市場が拡大している中で、証券取引センターの取引・決済システムの近代化もベトナム政府の喫緊の課題である。
実際、2月2日に技術的トラブルを原因としてホーチミン証券取引センターの取引が一時停止した。原因の詳細は明らかにされていないが、取引システムのトラブルとの情報もある。現行システムでは急増する取引件数の処理に耐えられないであろうことは市場関係者の間で以前から指摘されており、改善の必要性は広く認識されていた。残念だったのは、このシステムトラブルが、1月29日にグエン・タン・ズン首相から、取引・決済システムを早急にアップグレードするよう通達が出た直後の出来事であったことである。
このように、予想を上回るペースで株式市場が拡大している現実を踏まえると、ハード、ソフト両面でこれを支える市場インフラの根本的な強化が必要である。そういったアクションが実際に取られてはじめて、ベトナム株式市場が次の本格的な発展に入る礎が出来たと言うことができよう。
(注1):2007年1月24日 ベトナム・ニュース紙報道
http://vietnamnews.vnagency.com.vn/showarticle.php?num=01STO240107
(注2):2007年1月24日 ベトナム・エコノミー紙報道
http://www.vneconomy.vn/eng/index.php?param=article&catid=05&id=6d3d2ea496e580
(注3):2007年1月24日 ベトナムネット・ブリッジ報道
http://english.vietnamnet.vn/biz/2007/01/656915/
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