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[コラム] 世界のCSR報告書ランキング−躍進する金融機関のCSR−

2006年12月05日 16:21更新 前の記事 次の記事  コラム一覧
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) ビジネスイノベーション部 光成 美樹 2006年12月5日付」より

 11月9日、世界のCSR報告書を評価したレポート"明日の価値(Tommorrow'sValue)"が公開された。これは、2年ごとにCSR報告書の世界的なランキングを行っているSustainAbility社、国連環境計画(UNEP)、及びStandard&Poors社の3社が共同で発表したものである。 このレポートでは、2年前に比べて、世界中の企業でCSR報告書が大きく改善されていることを評価し、企業経営者が事業活動において、日々変化する持続可能性とそれに伴う市場機会との関連性についてのより高い理解が進んでいることを評価している。特に、各社の本業と持続可能性要素との関連性が報告されている点を評価の主眼点としており、各社が自らの企業戦略、競争上の位置づけや新たな市場においてESG(環境、社会、ガバナンス)要素をどのように捉えているかという点が重要であるとしている。

 今回のランキングの第1位は、イギリスのブリティッシュ・テレコムであり、前回1位であったCooperative Financial Serviceは第2位になっている。上位企業の過半は欧州の企業で占められているが、日本企業も、50位以内に大和証券、富士フイルム、ソニー、セブン&アイ・ホールディングス、日産自動車が入っている。

 また、前回からの大きな前進として金融セクターのCSR報告書を取り上げ、金融機関において関心が高まっている環境、社会、ガバナンスのリスクに関する情報を、より深く理解し、非財務情報の開示を充実させているとコメントしている。実際、50位以内にランクされた金融機関は前回から倍増し、10社になっている。

 金融セクターの中では、2位のCooperative Financial Service(イギリス)についで、4位のRabobank(オランダ)や12位にABN Amroがランキングされている。これらの金融機関は、金融業としての本業における環境面や社会面でのファイナンスが充実しており、例えばグリーン債権や環境ベンチャー企業へのファンドなど、幅広い金融商品が提供されている。特に、オランダの金融機関がこうした本業におけるCSRを進めているが、その背景には政策的な後押しも影響しているのではないだろうか。

 オランダでは、1995年にグリーン投資指令(Green Investment Directive)を制定し、オランダ政府が認定する環境に配慮した投資や融資を行う金融商品から得た利子や配当を無課税にする優遇政策をとっている。具体的には投資等の対象となる金融商品の70%以上を政府が認定する環境配慮型の対象にむけて投資や融資とすることとし、政府がその投融資等を"グリーン"であると認定することによって、そこから得る利子や配当に対する課税が免除されるものである。

 環境面に配慮した事業やプロジェクトは、通常の金融商品よりも利益が高くならないことに配慮し、30%までは"グリーン投資"でないものへの投資を認め、一定の利益が確保できるような配慮も行っている。政府が環境に配慮したプロジェクトを認定し、そこへの投融資に税制優遇を行うことで、個人投資家が環境に配慮したプロジェクトに関わることを容易にし、長期的に、持続可能性の高い事業やプロジェクトが拡大することを目指したものである。この政策によって金融機関のほとんどがグリーン投資対象となる金融商品を開発し、さらに、金融機関がこのスキームを促進するために通常の利率よりも2%程度低額の融資を実施したために、実質的には官民共同のスキームによって環境配慮型プロジェクトの育成に役立ったといわれる。

 1995年に2,500万ギルダー(約15億円)の予算を投じたこのプログラムによって、約10億ギルダー(約600億円)のグリーンプロジェクトが認められ、当初2年間で186プロジェクトに活用されている。

 このように、オランダでは個人が環境に配慮した投資や融資を行っていくことを後押しする政策が10年以上前から策定されており、年金基金などの機関投資家、金融機関、環境面を配慮する専門会社やNGOなど多様な関係者が、環境面に配慮したお金の流れにかかわり、特に個人投資家が環境配慮型の事業に金融面で参加することができる仕組みをつくっている。このため、10年を経た現在、オランダの金融機関では本業関連の環境やCSR面での商品・サービス化が進んでおり、その情報開示についても世界をリードしてきているといえよう。

 企業の自主的な取り組みとして行われているCSRを促進する上で、企業が単独で実施するだけでは普及が難しい取り組みを後押しするような長期的・広範な視点にたった政策や制度が欠かせない。企業のCSRや環境への取り組みを、企業活動の本業において促進するうえで、企業が持続可能な社会に向けた技術やサービスの面でイノベーションを発揮しやすくする政策や官民のパートナーシップが望まれる分野もまだ多いのではないだろうか。

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