[コラム] バックキャスティングで立ち向かう地球温暖化問題
[PR]
出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 宮下 真穂 2007年2月13日付」より
2月16日で2005年の京都議定書発効から2年を迎える。地球環境政策における京都議定書の意義は大きなものであり、わが国を始め先進国が温室効果ガス削減の約束を達成することが重要なことは言うまでもない。しかし究極的に地球温暖化を回避するためには、京都議定書は第一歩にすぎず、温室効果ガス(以下、GHG)削減に向けさらに大胆な取り組みが必要である。
そもそも、現在の人為的GHG排出量は地球の許容範囲を超えている。IPCCの報告等によれば、海洋と森林土壌による炭素吸収量が約30億t-C/年であるのに対し、人為的排出量は約60億t-C/年と約2倍にのぼり、その差の約30億t-C が毎年大気中に蓄積されている。
つまり、大気中のGHG濃度安定化には、究極的にはその排出量を世界で半減しなくてはならないということになる。各国がどの程度の削減を担うかは議論の及ぶところだが、仮に世界全体で半減するとなれば、先進国が果たすべき責任は大きい。
その先駆けとして、イギリスは2003年のエネルギー白書において、2050年までに二酸化炭素排出量を約60%削減するという目標を打ち出した。京都議定書の目標から考えれば、これは非常に意欲的なものである。しかし、地球温暖化に立ち向かうには、このように意欲的な目標を設定し、そこからどのような対策をどの時期に行うべきか考えなくてはならないのだ。
一般に、将来を考えるにあたり、「フォアキャスティング」と「バックキャスティング」という二つの考え方がある。フォアキャスティングとは、過去のトレンドをもとに将来を予測する手法を指し、バックキャスティングとは、はじめに将来の目標を定め、次にその実現のために取るべき策を検討する手法を指す。このうち、地球温暖化のように過去のトレンドを打ち破る変革が必要な問題については、このバックキャスティングという考え方が非常に重要となる。
ここで、日本におけるバックキャスティングを用いた研究を紹介しよう。2004年から国立環境研究所などによりスタートした「脱温暖化2050プロジェクト」である。このプロジェクトは、人々が幸せに暮らし、かつGHG排出量が非常に少ない2050年の日本社会の描写に挑戦している。その姿もひとつではなく、「経済成長が継続し便利で快適な社会」と「経済規模は維持され、社会・文化的価値に重きを置く社会」という対照的な二つの社会を想定している。
経済活動のレベルを落とさずして大幅なGHG削減は厳しいとの声もある。しかし、当プロジェクトの成果として、上記いずれについても、(1)技術開発・普及、(2)それを支える社会的制度、さらに(3)ひとりひとりの行動という 3つを積み重ねることで、経済成長と二酸化炭素排出量70%削減(2000年比)が両立した2050年の姿を描くことができた(“Development of Japan Low Carbon Society Scenarios - LCS Research Booklet No.3, June 2006”、脱温暖化2050プロジェクトシナリオチーム)。
もちろんこれは様々な対策を総動員した場合であり、決して楽観視はできない。しかし、今後の我々の行動次第で二酸化炭素の大幅削減が可能というのは、わが国の温暖化政策にとってひとつの希望と言えよう。今後は、研究成果を活用した具体的な政策への展開はもちろん、世論を巻き込んだ議論への発展に期待したい。
地球温暖化は、人類が直面している問題のうちかなりの難題である。しかし、将来どのような社会を迎えたいかを考えるきっかけとしてはひとつのチャンスと言えるかもしれない。温暖化に立ち向かうということは、我々の将来を考えることだ。子孫にどのような未来を残したいか、個人、企業、国それぞれが考え始めるべきときに来ているのではないか。
関連写真
![]()
スポンサード リンク
- J・ロジャーズ氏が考える最も安全な投資先【3】
11/04 - [レポート]週刊マーケットレター11/02
- J・ロジャーズ氏が考える最も安全な投資先【2】
10/31 - 【スイス】食堂車でスイスを知る10/29
- J・ロジャーズ氏が考える最も安全な投資先
10/29 - [コラム]シミュレーション技術によせられる設計現場の期待 10/28
![]()
PR情報
- ひまわりFX体感プロジェクト豪華キャンペーン実施中
- ひまわり証券株式会社
- スタートでチャンス5,000円プレゼント
- キャンペーン期間:2009年10月1日(木)〜2010年1月29日(金)まで
- 今すぐ、ひまわりFXを体感しよう!
![]()
- FXキャンペーン特集
- IBTimesがお届けするFX(外国為替証拠金取引)キャンペーン情報特集。FXを始めるなら、キャンペーンの利用がお得です。
- CFD特集
- FXに続く投資として注目を集めるCFDをご存知ですか?概念やメリットなどCFDのいろはをやさしく解説します。
- プロバイダキャンペーン特集
- IBTimesがお届けするプロバイダキャンペーン情報特集。インターネットを始めるなら、キャンペーンの利用がお得です。
- 【タイ】副商務相、本人が ...
- アロンゴン副商務大臣は7日、タイよりもカンボジアの国益 ...
- 米国、地熱発電の開発に3億 ...
- 米エネルギー省(DOE)は10月29日、米国再生・再投資法に ...
- 【タイ】80%以上が元首相が ...
- 私立アサンプション大学が行う世論調査ABACポールが対カン ...






