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[コラム] ブラウンフィールドと土壌汚染サイトの国内規模−長期的な国土浄化計画と経済発展を促す環境政策を

2007年05月01日 15:50更新 前の記事 次の記事  コラム一覧
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 光成美樹 2007年5月1日付」より


4月19日に環境省が発表したブラウンフィールド※1 に関する中間報告※2 では、国内で土壌汚染が放置されブラウンフィールド化する土地が全国に約2.8万ヘクタールあり、その土地資産規模は10.8兆円であるとしている。

今回のブラウンフィールドの試算は、まず土壌汚染がある可能性が高い土壌汚染サイトを試算し、そこから一定の割合の土地が低利用・未利用のまま放置さ れるブラウンフィールドになると仮定して試算したものである。土壌汚染サイトの試算は、土壌汚染対策法(2003年2月施行)以降の汚染発生状況を土地利用状況別に分析し、汚染発生確率をだして、全国の民間保有土地利用の現況(国土交通省・土地基本調査:2003年)にかけあわせて、概算したものである。これによると、土壌汚染サイトは全国に11.3万ヘクタール(東京都区部面積の約2倍)あり、その土地試算規模は43.1兆円となっている。また、土壌汚染対策費用は約16.9兆円と試算されている。

また、同様の試算を官民保有の都市計画用途地域別に行うと、全国に約19.6万ヘクタールの汚染土地があると推定される。ここに、現在の汚染浄化費単価を乗ずると、その対策費用は29.5兆円であると推計されている。前述の16.9兆円との開きは、主に公的機関保有土地の汚染対策費用が含まれるか否かの違いである。また、2000年に土壌環境センターが試算した土壌汚染対策費(約11兆円)に比べて本試算が若干大きくなっているのは、土壌汚染対策法以降の汚染発生状況をみると、かならずしも汚染が懸念される土地でないところからも汚染が発生することから、一定の商業地等にも汚染発生率を掛け合わせたことが理由となっている。

一般的に土壌汚染サイトが低利用または未利用となるのは、汚染を調査・浄化する費用を捻出できないなどの理由により対策が放置されるか、将来のリスクを懸念して買い手が現れないために、売主が有効活用できないまま所有しているようなケースが多い。しかし、不動産市況は日々変化するものであるから、汚染サイトが有効利用されるかどうかも不動産市況に大きく影響されることになる。したがって、土壌汚染などの環境リスクのある不動産のうち、どの程度が低利用または未利用となるのか、すなわちブラウンフィールドの規模を試算することは非常に難しい。本中間報告にも記載されているように、欧米でも一般的には土壌汚染サイトの面積や数、資産規模を概算するにとどまっているのだが、本試算は概ね欧米の土壌汚染問題の規模とも類似している。

国内には法人・個人を合わせた民間保有土地資産が約1,300兆円(2003年)あり、民間保有資産の3%程度、法人所有土地資産(約400兆円)の10%程度が土壌汚染サイトであるとされる。また、国内GDPが約550兆円(2006年)であることを考えると、汚染対策費用はGDPの3〜5%程度となっている。

一方、米国では1980年のスーパーファンド法から土壌汚染対策が進められたが、現在でも50万箇所以上の土壌汚染サイトが残っており、汚染が懸念される土地の資産規模は1兆ドル(約120兆円)以上にのぼるといわれている。1990年代初めには、企業が負担する環境汚染対策費が、米国GDPの3〜5%にあたるというレポートも出されている。

また、欧州では、土壌汚染などがあるブラウンフィールドの面積が国土の0.5%程度にあたるという国が多い。国内の土壌汚染サイトが官民合わせて19.6万ヘクタールとすると、日本の国土面積全体の約0.5%程度にあたる。

では、どのようにこうした汚染サイトを浄化していくことができるのだろうか。すでに30年近く土壌浄化を進めている米国でも今後30〜50年はかかるといわれる土壌汚染問題は、国内では数年前にはじまったばかりである。現在の土壌汚染対策市場の規模は年間約1,500億円程度といわれており、現在のペースで浄化を進めると、16.9兆円の汚染浄化に今後100年かかることになる。

米国では、汚染者の浄化義務付けだけでは汚染サイトの再利用につながらなかったという経緯を踏まえて、原則として汚染者責任を維持しながら、汚染責任のないデベロッパーや土地所有者などが自主的に浄化を行う場合に税制優遇などを大規模に実施している。浄化資金のない汚染者だけに浄化を義務付けても汚染サイトは放置されるだけで、環境だけでなく、地域社会・経済にメリットを生み出さないため、さまざまなインセンティブを付与して、汚染サイトの浄化および再利用促進を促している。つまり経済活動促進型の環境政策を打ち出している。

過去の経済成長期に都市部に多く集積していた工業・産業用地を、住宅や生活アメニティ、商業施設などが隣接する成熟した地域社会の定着に向けてどのように再生・再利用していくかは、各地域のみならず国内の長期的な問題である だろう。より寛容な民間活力を促す環境政策をつくることは環境と経済の両立につながり、美しい国づくりにもつながるのではないだろうか。

※1 ブラウンフィールド:土壌汚染の存在や懸念から、本来その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途あるいは未利用となった土地


※2 環境省「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド対策手法検討調査」中間とりまとめの公表について

http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=8300

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