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[コラム]ISO9001の有効活用

2007年06月16日 19:00更新 mailメール

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出展:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 主任研究員 仲井 茂 2007年6月11日付」より 


 わが国のISO9000シリーズが2000年バージョンにリニューアルされてほぼ5年が経過しましたが、ここ数年の新規登録事業者数の増加には目を見張るものがありました。1994年版からの切替えによる2000年版の特色としては[1]あらゆる規模及び業種の企業を想定した、[2]トップマネジメントの責任と役割をより強化した、加えて[3]プロセスアプローチの採用などがあり、登録者数増加の背景として見られています。

 とはいえ、認証取得後数年を経た企業に伺って、「ISO9001を有効に活用でき、またマネジメントツールとして十分に機能している」との自信を持ったお答えが聞けるケースは、未だそれ程多くはありません。

 ISO9001規格の1.1適用事項において、この認証を取得する目的としてはa)顧客・規程要求事項を満たした製品を一貫して提供する能力をもつ事を実証する。b)品質マネジメントシステム(QMS)の継続的改善のプロセスを含むシステムの効果的な運用並びに顧客・規制要求事項への適合の保証を通して顧客満足の向上を目指す。このa)b)2つが掲げられており、取り敢えずは認証取得により『a』が達成されたと安心してしまわれた訳ではないでしょうが、b)の目的が置き去りにされてしまっている感は否めません。それでは「システムの効果的な運用」を図っていくには一体何から手をつけ、何を遂行していくことが有効なのでしょうか? 

 そこでISO9001の規格要求事項から見てみますと、その0.2章には上記[3]のプロセスアプローチの解説があります。プロセスとはインプットをアウトプットに変換することを可能にするために資源を使って運営管理する活動のことをいい、QMSの改善に向けては、次の点が重要であると記載しています。

 イ)規格の要求事項を十分に理解しておく
 ロ)プロセスの中で付加価値を生む努力をする
 ハ)客観的な測定結果によりプロセスの継続的な改善を図るetc

 次にプロセスアプローチのヒントを8章に求めてみますと、8.2.3「プロセスの監視及び測定」がこれに該当します。8.2.3では「QMSのプロセスを適切な方法で監視し、適用可能な場合は測定すること。これらの方法はプロセスが計画通りの結果を達成する能力があることを実証するもの・・・」とあり、その前提としての4.1項一般要求事項にはa)“QMSに必要なプロセス及びそれらの組織への適応を明確にする”c)“これらのプロセスの運用及び管理いずれもが効果的であることを確実にするために必要な判断基準及び方法を明確にする”f)“これらのプロセスについて、計画通りの結果が得られるように、かつ、継続的改善を達成するために必要な処置をとる”と示されています。つまり先ほどの0.2章の解説にあったと同様に、8.2.3の要求事項への適切な対応、ひいてはQMSの継続的な改善に繋げるためには、少なくともこの4.1項に示されたa,c,fの3点をしっかり押さえておくことが重要不可欠なのです。

 ここで具体的な「部門別の品質目標設定」のステップ例を示しますと、

 1. 品質目標の策定作業の前段階として主要なプロセスの洗出し作業を行う。
 2. 重要と思われるプロセスを部門内でじっくり検討し、具体的な表現で記述する。
 3. 記述されたプロセスをQMS改善上の品質方針、重要性、緊急性等の観点から部門長が評価する。
 4. 評価に基づき[1]今期の品質目標として推進すべき重点テーマと[2]今期は維持管理にとどめる自主テーマに振り分ける。
 5. 品質目標はテーマ毎に目標値、推進具体策、推進スケジュールおよび責任者を決定する。
 6. 自主テーマにも自主管理方法と担当者を決定する。 
 7. テーマが複数の部門にわたる場合は管理責任者と該当部門長が協議・調整する。
 8. 品質目標の具体策や手順を文書化する。この際に上記イ〜ハ3点や4.1項a,c,fの3点をチェックしておくこと。
 9. 期中は定期的に責任者、担当者が進捗を取りまとめ、部門長が承認する。
10. 期末に責任者、担当者が達成度や成果の振り返りを行い、部門長が承認する。

 個々のプロセスの改善、ひいてはQMSを継続的に改善し、顧客満足度の向上を図っていくという“組織”の最優先課題は極めて息の長い取り組みです。しかし、このスタンスを抜きにしてISO9001の有効活用はありえないのです。ISO関連文書が増えることはできれば避けたいものですが、社員間に意識を浸透させ長期間にわたり主旨を徹底させるべき主題については標準書、手順書の類が必要になるかもしれません。貴社における着実な進展を期待しております。


※コラムは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

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仲井 茂
(株)日本総合研究所 主任研究員 経営革新クラスター
専門分野:人財マネジメント、ISO認証取得支援
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