[コラム] 「実体確認の重要性」―モラル低下と公的部門の機能不全 ―
出展:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「真野輝彦客員研究理事コラム 2007年6月29日付」より
マンション建築偽装に始まり、最近の北海道の肉製品問題など、消費者への影響が大きい偽装事件が後を絶えない。元公安庁長官や弁護士協会長が絡む事件に至っては何をか言わんやである。これら一連の事件の背後には、モラルの低下と政官の事実確認機能の低下がある。
モラル低下の根底には戦後教育のひずみと拝金主義がある。戦後教育は権利主張に重点が置かれ、社会に対する義務、個人と社会の調和の重要性が軽視されがちであった。CSR(Corporate Social Responsibility)運動もさることながら、企業を動かすのは最終的には人間であることを忘れてはならない。教育改正3法が成立したが、学校教育以上に家庭での躾がより大切である。子供は親の背中を見て育つからである。
拝金主義の背景にはバブルの後遺症がある。バブル崩壊の経済的後遺症はやっと薄れつつあるが、メンタルな後遺症を消すことは容易ではない。この意味でバブルへの適切な対応が出来なかった金融当局の責任は極めて大きいのである。
このことに象徴される官の実体確認能力の低下は目を覆うばかりである。個々人のモラルに支えられていた官のシステムが、Globalizationという大きな波の中で機能不全に陥っているとも言えよう。安倍総理の戦後体制の見直しの目的は、この機能改革・回復にある筈である。
注意しなければならないのは、このような問題が起こると官の組織拡大に繋がる議論が勢いを増すことである。大きい政府、非効率な公的組織の膨張は、日本の国際競争力を喪失させる。円安の一つの要因は、日本の貯蓄が自国の非効率性と将来に不安を感じて、海外に逃避し始めていることにある。日本の生産性を低下させている最大の要素は政官部門の非効率であることの再確認が不可欠である。
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真野 輝彦(まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
1956年 東京銀行入行。
フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
1999年より現職
日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
国策研究会 評議委員会議長
日本国際フォーラム 政策委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists会員
国際通貨研究所 評議員
聖学院大学・大学院 教授
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