[コラム] G8ハイリゲンダム・サミットの成果と課題〜ポスト京都への示唆〜
2007年08月01日 19:43更新
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 中村 卓也
2007年7月31日付」より
2007年6月のG8ハイリゲンダム・サミット(ドイツ)では、地球温暖化問題が主要議題の一つとして取り上げられ、2013年以降の第2約束期間をめぐる「ポスト京都」論議に一定の前進が見られた。
今日の地球温暖化問題に関する国際交渉は、気候変動枠組み条約(UNFCCC)と先進国首脳国会議(G8)の2つのプロセスで並行して進められている。UNFCCCでは、約190カ国・地域が一堂に会する締約国会議(COP)を中心に、1993年から京都議定書やポスト京都についての交渉等が行われている。さらに、G8では、2005年7月のグレンイーグルズ・サミット(英国)において、地球温暖化が主要議題として取り上げられたことを契機に議論が活発化している。
なぜ複数のプロセスで議論が行われているのか?
地球温暖化がグローバルな問題である一方で、過去のGHG(Green House Gas、温室効果ガス)排出に係る責任とこれからの負担の考え方について、南北・東西間での隔たりが大きいことが要因である。全ての先進国と途上国が同じテーブルにつくUNFCCCでは、特に削減目標に関して、EU・日本・米国等の先進国間、あるいは先進国と途上国との間で利害が一致せず、議論がなかなか収束しない。そこで、利害が一致しやすいG8において、主導権獲得も睨み、検討を開始したとする見方がある。
ハイリゲンダム・サミットでは、開催前から主導権争いが顕著であった。議長国ドイツをはじめとするEUが、2020年までに先進国のGHG排出量を1990年比30%削減することを提案する一方で、米国は数値目標を避け、途上国を含む全ての主要排出国が参加する枠組みを主張し、意見の対立が見られた。日本もサミット直前に「美しい星50」と題して、2050年までに世界全体の排出量を現状比で50%削減することを提案していた。
最終的には各国の意見に折り合いを付ける形で首脳声明が取りまとめられた。
1. 2050年までに地球規模でのGHG排出を半減させることを真剣に検討する
(consider seriously)
2. 途上国を含む全ての主要排出国が参加する枠組みを検討する
3. 地球温暖化を巡る国際交渉はUNFCCCで行われるべきであり、新たな枠組みについては2009年までにCOPでの合意を目指す
ハイリゲンダム・サミットでの合意は、ポスト京都に向けて大きな一歩である。しかし、先進国の数値目標義務化や途上国への取組み、基準年の考え方など、課題は多い。
さらに、G8首脳声明は先進国間の合意であり、途上国は如何なるコミットもしていない点に留意すべきである。中国やインドなどの主要途上国の多くは、過去のGHG排出に関する先進国の責任を指摘しているほか、GHG排出量に係る数値目標が今後の経済成長の抑制要因となりうるとの考えから、途上国への義務的な削減目標に対して強固に反対している。
このような状況において、途上国側は、G8首脳声明を受け入れるだろうか?
途上国側は、(1) 先進国は2013年以降の数値目標を早急に明示すべき、(2) 途上国は如何なる数値目標の義務化も受け入れられない、との見解を示している。数値目標の設定方法や技術移転のシナリオ次第ではあるが、今後の国際交渉の場において、途上国側がG8首脳声明をそのまま容認する可能性が低いことは容易に想像できる。
G8での議論以降、今後の国際交渉は主要途上国との交渉(例えば、G20)を経て、最終的にUNFCCCで行われることになる。UNFCCC決定事項の法制化に要する時間を鑑みると、2009年から2010年には、UNFCCCでの合意が必要となる。従って、先進国間ではそれ以前に一定の合意を得ておく必要がある。
ポスト京都の議論は、2008年の次回G8サミットでも主要課題となる予定である。従って、2008年のサミット議長国である日本(北海道・洞爺湖)には、先進国としてどこまで具体的かつ有効な枠組みについて合意できるか、課せられた期待と役割は非常に重くなったと考えるべきである。
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