[コラム] サブプライム問題にはミクロ対策が不可欠
出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「真野輝彦客員研究理事コラム 2007年8月31日付」より
―Non-Bankableな融資の所在確認と圧縮を―
世界的な過剰流動性が、金融機関の融資審査を甘くし、サブプライム問題(米国の低信用住宅ローン)の根源となっていることは今更言うまでもない。融資機関は内在するリスクを認識していたからこそこれを自分で保有せず、市場商品化・細分化し市場に売却したのである。逆にヘッジ・ファンドなどの投資家がこれを購入したのも、カネ余りで、運用対象が不足していたためであり、このことが米国内の問題を世界的な問題に拡大させたと言えよう。過剰流動性がサブプライム問題の根底にあることの確認がまず肝要である。実体経済の円滑化を目的とする金融政策が逆に実体経済に悪影響を及ぼしており、いわゆる尻尾が犬を振り回しているのが現状である。
次に注意を要するのは、初めの借り手から距離ができればできるほど、内在リスクの認識が希薄化しがちなことである。サブプライムの対象者は、もともと通常の銀行融資の対象にはならないNon-Bankableな借り手である。借り手の信用ではなく、住宅の値上がり期待のみを担保とする融資であり、このため住宅価格の下落がその内在リスクを一挙に表面化させたのである。因みに、変動金利のサブプライムの延滞率は年初の8%から13%を超える水準にまで急上昇している。
ここで思い起こされるのが日本のバブル発生と崩壊過程での金融政策の教訓である。
第一は、急速な円高に対応するため金融緩和が行われた。そのこと自体は適切であったのだが、誤りは、その後の状況変化に対応する引締めのタイミングが遅れ、バブルに繋がったことである。極めて低利流動性の供給源となっている日本は、金利引き上げと過剰流動性圧縮のタイミングを誤ってはならない。
第二は、土地バブルにはマクロの金融政策が有効に機能せず、不動産関連融資の量的規制が必要となったことである。国ごとに事情は異なろうが、まずサブプライム問題の根源であるリスク資産をだれが保有しているかを極力把握し、同時にその根源であるNon-Bankableな新規融資を圧縮させる適切なミクロ対策を打ち出すことが不可欠なのである。
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真野 輝彦(まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
1956年 東京銀行入行。
フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
1999年より現職
日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
国策研究会 評議委員会議長
日本国際フォーラム 政策委員
読売国際経済懇話会 特別会員
International Club of Bank Economists会員
国際通貨研究所 評議員
聖学院大学・大学院 教授
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