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[コラム] 県別最低賃金と格差―実質的比較が大切―

2007年09月12日 13:10更新 前の記事 次の記事  コラム一覧
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出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「真野輝彦客員研究理事コラム 2007年9月11日付」より


 厚生労働省は9月7日、各都道府県別最低賃金の改定状況を発表した。最低賃金は雇用の形態を問わず、全ての労働者の最低限度の賃金である。今年の引き上げ額は全国平均で14円と、前年の5円に比べ大幅なアップとなり、最低賃金(時給)の全国平均は687円となった。都道府県別に見た引き上げ幅は7〜20円。最も高い東京都が739円、最も低い秋田、沖縄県は618円であった。これを格差問題と結びつける報道が多いが、注意すべき点を3つ指摘したい。

 第一は、名目賃金と購買力で計る実質賃金は違うことである。毎日の生活に必要なフローの価格格差とともに、土地、住宅などストックの購買力は都市圏と地方では大きな逆格差があることの認識が必要である。同じ円給与でも、地域により実質購買力が異なり、地方ほど円高地域で実質購買力は大きいのである。老齢化が進む中で交通渋滞が少ない地方の安全性やきれいな空気をどのように評価するかなども考慮する必要がある。

 第二は、地方ほど一人当たりの国からの補助金は大きく、ふるさと納税の税制改革問題ともあわせ、この要因も加味しなければならない。

 第三は、賃金に関するもう一つの法的規制である残業時間限度の問題である。いわゆるサービス残業問題が後を絶たないのが現状である。終身雇用制の要素が残る大企業ほどその傾向が強いようである。経営者が国際競争力劣化を避けるためコストを構成する通常賃金と残業料圧縮に努めることは当然だが、法律に従い支払うべきものを支払い、利益を極大化することが経営責任の筈である。

 政治家や官僚のモラル低下問題に併せ、経営者がテレビの前で頭を下げる場面が極めて多いのは残念である。法治が崩れれば、国家は崩壊する。順法精神の再確認と経済指標の意味を多角的に把握し、格差問題を理解することが肝要である。




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真野 輝彦(まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
   
  1956年 東京銀行入行。
  フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
  1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
  1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
  1999年より現職
   
  日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
  国策研究会 評議委員会議長
  日本国際フォーラム 政策委員
  読売国際経済懇話会 特別会員
  International Club of Bank Economists会員
  国際通貨研究所 評議員
  聖学院大学・大学院 教授
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