[コラム]生ごみが車の燃料に〜食品廃棄物を利用したエタノール生産の本格化に期待〜
出典:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 大谷 智一 2007年10月23日付」より
トウモロコシやコメ、樹木などを原料とし、二酸化炭素を増やさない輸送用燃料としてのバイオエタノールの活用に向けた取り組みが国内外において進められているが、生ごみを原料としたエタノール生産についても普及に向けた環境が整備されつつある。
■食品リサイクル法改正内容
2007年3月「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律の一部を改正する法律案」(以下、改正食品リサイクル法)が閣議決定され、同6月に改正された。また、現在、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会食品リサイクル専門委員会および食料・農業・農村政策審議会食品産業部会食品リサイクル小委員会合同部会(以下、合同部会)において、改正食品リサイクル法の詳細を規定する各種省令について検討が進められている。
今回の改正の主なポイントは、(1)定期報告義務の創設、(2)フランチャイズ・チェーン加盟店が勧告等の対象に追加、(3)再生利用事業計画認定制度の見直し、(4)再生利用等の手法として「熱回収」を追加、の4点である。この改正に伴い、2007年9月に開催された第4回合同部会では再生利用対象製品としてエタノール、炭化物の追加が検討されている。現行法においては再生利用手法として肥料化、飼料化、油脂・油脂製品、メタン化の4手法が指定されているが、これらに新たに「エタノール化」が加わることにより地球温暖化抑制に向けた新たな展開の可能性が期待される。
■バイオエタノール混合ガソリンに係る各種税の減免措置
現在、国内においてエタノールをガソリンと混合した場合、エタノール混合分にもガソリン税(53.8円/L)が賦課される。このためバイオエタノールの価格はガソリンに比べて割高となっており、バイオエタノール普及の足かせとなっている。この課題に対応すべく、バイオエタノール混合分を非課税扱いとし、また、所得税・法人税については対象設備の取得価格に対して30%の特別償却または中小企業者のみ7%の税額控除、固定資産税については対象設備の取得価格に対する固定資産税の課税標準を当該設備の価格の1/2とする税制改正要望が財務省に提出されている。
■バイオエタノールなどバイオマス関連事業の成立要因
国内で導入が進められているバイオエタノールを含むバイオマスエネルギー関連事業は、バイオマス資源の量的確保や原料収集・運搬コストの問題に課題があり、原料であるバイオマスを購入した場合には、単純には経済的に見合わないケースが多い。国内におけるバイオエタノール生産コストで考えてみると、規格外小麦(※)を利用した場合でも98円/L(原料費:52円/L)と言われており、これにガソリン税(53.8円/L)が加わった場合には152円/Lとなり化石燃料に比べて優位性がないのが現状である。
しかし、農産物の代わりに食品廃棄物を原料として利用する場合、一般的に10,000〜30,000円/トン程度の処理費用を徴収することとなるため原料費が必要ないうえに、処理費により収入を得ることができるため低コストでエタノールを生産することが可能となる。現在、この点に着目した実証試験が北九州市において行われている。
■食品廃棄物エタノール実証事業
今年2月より、北九州市において、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業として、食品廃棄物を原料としたエタノール製造の実証事業を行っている。この取り組みは国内で初の試みであり、デパートやスーパーなどの大規模食品廃棄物発生事業者から発生する食品廃棄物や病院・小学校などから発生する残飯を日量10トン収集し、400L/日のエタノールを生産している。また、生産されたエタノールをガソリンに3%混合し、今秋にも市公用車などで利用する予定となっている。
以上のように、関連法律、税制面の整備が進み、事業採算性としても実現可能性が高いことを考えると、国内の自動車は、近い将来に生ごみを原料として作られたバイオエタノールを使って走る可能性も十分考えられ、バイオエタノールがより身近なものになるであろう。
※ 規格外小麦:損傷を受けた粒やカビ類に侵された粒など小麦の農産物規定から外れた通常の小麦としては商品価値のない小麦のこと。通常の小麦の10分の1程度の価格で、通常は飼料として使われている。
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