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[コラム]「サブプライム問題の多面性」―リスクを拡大させた証券化―

2007年11月02日 09:24更新 前の記事 次の記事  コラム一覧
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出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「真野輝彦客員研究理事コラム 2007年11月1日付」より

 サブプライム問題の裾野は極めて広い。日米欧中銀による流動性供給で金融市場の危機状況は回避されたものの、その後発表されている各国の証券・金融各社の決算は、この問題の傷痕が予想以上に大きいことを物語っている。換言すれば、流動性の追加供給による短期金融市場のリスク・プレミアムの縮小はサブプライム問題の一つの局面に過ぎないのである。

 そこでまず実体経済の問題である。変動金利によるサブプライム・ローンはもともと住宅価格が右上がりであることを前提とする商品である。米国の住宅バブル要因もあって保たれていたこの前提が崩れてしまうと、少々の政策金利の引き下げでは問題の下支えは難しくなる。米国の消費者は住宅価格上昇を期待し、それを先食いしてしまった側面も強く、米国GDPの最大項目である消費に悪影響があることは言うまでもない。

 次に、金融側面だが、サブプライム・ローンの証券化がマイナスのチェイン・リアクションの輪を大きくした。即ち、この種の証券を購入し資産運用を行うために設立された特別目的会社(SIV)の短期調達・長期運用の調達構造問題、CPなどでの短期資金調達の行き詰まり、関連証券の投売りによる価格の急落、ヘッジファンドや融資金融機関の資産内容悪化と連鎖反応が続き、個人投資家をも巻き込んでいる。もしサブプライム・ローンが証券化されず、担保管理が慎重に行われる間接金融のままであったら、このような連鎖はより限定的であった筈である。証券化が担保管理を甘くし、リスク認定が責務である格付け会社も担保と証券の関係を充分把握しえず、米国の住宅問題を世界中に撒き散らすことになったのである。

 変動金利のサブプライム・ローンの期日到来は来年の秋口まで続く。現状はサブプライム問題の多面的な局面の一つである短期金融が小休止の状態にあるにすぎない。

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真野 輝彦(まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
   
  1956年 東京銀行入行。
  フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
  1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
  1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
  1999年より現職
   
  日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
  国策研究会 評議委員会議長
  日本国際フォーラム 政策委員
  読売国際経済懇話会 特別会員
  International Club of Bank Economists会員
  国際通貨研究所 評議員
  聖学院大学・大学院 教授
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