[コラム]京都議定書後の温暖化対策への取組み
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出典:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 栗田 永幸 2007年12月18日付」より
インドネシアのバリ島で開催されていた気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)が、15日に閉幕した。この会議では、京都議定書後の国際的な温暖化対策の枠組み作りの基本的な要素、スケジュール(バリ・ロードマップと呼ばれる)に合意できるか?という問題が最大の焦点となった。
IPCC(※1)の第4次報告書に基づけば、現在の温暖化の主因は、人為的活動に起因するということが明確に結論づけられており、この世界共通の環境問題を解決しなければならないことは、多くの人々に認識されることとなった。またCOP11以降、国連のもとで行われてきた対話の中においては、将来の温暖化による気温上昇を回避するために、今後10〜15年以内に温室効果ガス排出量を25〜40%削減しなければならないということが結論づけられている。
このような流れをふまえると、今後温暖化対策をどのように進めていくかという問題は、既に環境科学の領域を出て国際的な政治問題となっている。言い換えれば、日本は様々な外交問題の一つとして、温暖化問題を長期的な外交戦略という視点からも取り扱わなければならない。これは、同問題が京都議定書で定められた数値目標が終了する2013年以降も100年単位で継続する超長期の問題であること、また全世界を巻き込んだ経済、エネルギー、貧困といった問題にまで波及する問題であることが主な理由である。
欧州は、温暖化対策について、早くから外交戦略の一環として取り組んできた経緯がある。京都議定書の数値目標を定める際に最も主導権を発揮したのはEUである。京都議定書の発効に必要だったロシアに最終的な批准を迫ったのもEUであった。また、オランダ政府などは、京都議定書採択後、いち早く国内の排出削減のための法律の整備、京都メカニズムの活用方針を打ち出し、CDM(※2)等の排出権削減プロジェクトからの排出権購入を実施し、成果をあげた。また最近では、EU排出権市場が本格的に稼動し、排出権はもはや金融商品同様に流通している。
このような取組みの背景には、温暖化対策で外交的な主導権を握り世界をリードしていくというEUの強い意思が働いているとみることが妥当である。EUは政治的な主導権の発揮、排出権市場運用の実績、これらに関わる法律の整備等すべての面において自信を深めているといえよう。EUにとっては、京都議定書の位置づけは一つの通過点であり、当然遵守するべき問題と考えている。むしろ、長期の気温上昇幅を2℃以内に抑えるため、先進国は2020年までに排出削減30%、また他の先進国が追随しない場合でもEU独自で20%削減することを目標として掲げ、今、どのような国際的合意が必要かといったアプローチを取っているのだ。
一方、日本においては、京都議定書の数値目標を遵守するための現実的な計画策定が未だ完了しているとは言えない。さらに京都議定書以降は、同議定書を上回る温室効果ガス削減対策が必要になると見られる。日本政府が従来から主張している新エネルギー技術の開発、一層の省エネルギーの推進、CO2貯留技術の実用化を進めることは、京都議定書の第一約束期間の始まりである2008年を目前にひかえ、さらにポスト京都議定書へと各国が動き出しているこの時期において、極めて重要な問題解決の要素となる。なお、国連のもとで行われてきた対話においては、先進国による削減目標の明確化というアプローチを引き続き継承し、さらに新たな枠組みを構築するということが合意されている。
このような状況において、日本が国際的な主導権を発揮できるかは、まずは京都議定書以降における自らの削減目標の数値化、それに向けた現実的な削減対策の具体化という内政対策を早急に実施することが必要であろう。もちろん、これらの課題は決定までに様々な困難を伴う。しかしながら、世界各国との外交交渉を有効に機能させるためには、まず自らの足元を固めることが重要であり、これが固まれば、自らの方針を堂々と主張でき、外交的にも発言力を得ることができると考えられる。
「日本は京都議定書の生みの親だったが、育ての親にはなれなかった。」と後世の国際社会から評価されぬよう、京都議定書後も国際社会の中での主導的な役割を果たす必要があるだろう。
※1 IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)は、人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織。
※2 CDM(Clean Development Mechanism:クリーン開発メカニズム)とは、京都議定書第12条によって創設された制度。温室効果ガス排出量の数値目標が設定されている先進国と目標が設定されていない発展途上国が共同で事業を実施し、その削減分を投資国(先進国)が自国の目標達成に利用できる。
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