|
|
[レポート]週刊マーケットレター
出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org)「曽我純の週刊マーケットレター」より
週刊マーケットレター(08年1月14日週号、No.217)
2008年1月13日
曽我 純
図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html
■主要マーケット指標
■ 日本の景気が欧米よりも悪化していることが株価下落幅を拡大
先週末の日経平均株価は昨年末比、7.8%の下落だ。NYダウの同-5.0%を上回り、日本株
の下落率が大きくなっている。昨年7月の高値からは22.7%もの大幅な下げとなっており、どこまで下がるのかわからない不安が広がっている。日本株が主要国のなかでもっとも売り込まれているのは、日本の景気の悪さが突出しているからである。OECDが先週末発表した景気先行指数によると、OECD全体では前月比-0.5%と昨年6月以来、6ヵ月連続の低下となり、世界景気の減速を示している。日本は-0.2%と2ヵ月ぶりのマイナスで、しかも全体に比べれば減少率は小幅にとどまっているが、昨年6月から9月にかけての減少率が大きく、前年比では-6.3%となり、OECD全体の-2.2%を大きく上回っている。住宅不況で苦しんでいる米国は前年比-1.5%とEU(-2.3%)よりもマイナス幅は小さく意外な感じがする。9月の日本の指数は-6.7%まで落ち込み、前回のIT不況を上回り、98年8月以来の落ち込みとなった。IT不況では景気先行指数の前年比減少率が最大になったのは、景気の谷の2ヵ月前である。99年1月の谷では先行指数が8ヵ月先行するといった具合に先行の程度は異なっているが、ここまで悪化してくると、日本はあきらかに景気後退に陥りつつあるといえる。このように、米、EUに比べて日本の景気が悪いことが、日本株の下落率が大きくなっている理由なのである。
昨年12月のマネータリーベースは前年比0.4%と伸び率は低く、銀行計の貸出も0.2%に
とどまった。特に、都銀は1.7%減となり、マイナス幅は前月から0.9ポイント拡大し、マ
ネーの動きも鈍い。12月の新車販売台数は前年比7.1%減少し、07年では35年振りの低い
販売台数となった。小売業では業績の下方修正も発表され、景気の悪化が消費者マインド
を冷やし、財布の紐をきつくしている。12月の景気の現状判断DIは4年11ヵ月ぶりの低
い水準に落ち込み、家計や企業の景況感は不況期並みである。
外人が売買代金の半分以上を占め、価格支配力を有している状態であれば、株価は外人
の動向次第ということになる。サブプライ問題が次々明るみになるなかでは、外人の日本
株買いの余裕はなくなってきている。EUの景気先行指数が米国よりも悪化していること
は、景気循環の観点から、欧州の株式も売られるだろう。住宅不況は米国だけの問題では
なく、これまでの不動産価格の上昇をみれば、イギリス、スペイン、フランスなどは米国以上に上昇しており、早晩、値崩れすると思う。いまのところ欧州金融機関の損失はサブプライム関連が中心だが、いずれ国内不動産貸付の焦げ付きで身動きが取れないところがでても不思議ではない。欧州の日本株保有者は値下がりに加えて、ユーロ高円安の痛手を被っていることから、運用成績は散々であろう。他に買い手がいないので、外人は自分で自分の首を絞める状態に陥っている。
米住宅不況が収拾するにはまだ数年を要する。負債を短期間に解きほぐすことはできな
いからだ。07年9月末の米モーゲージ残高は14.3兆ドルと前年を9.0%上回り過去最高で
ある。モーゲージ残高は名目GDPをも凌駕し、異常に膨らんでおり、バブル化している。
1955年以降の年ベースの統計でモーゲージ残高が名目GDPを超えたのは06年がはじめて
である。過去にないカネが住宅分野に向かい、実体経済以上に拡大したことがわかる。80年代後半の日本の不動産貸付に似た状況である。米住宅価格の値下がりにより、家計の資産は目減りしているが、負債はそのままとなり、住宅を処分しても借金が返済できなくなっている。同様に金融機関も貸出が焦げ付き、自己資本比率を維持できなくなるところがでてくる。14.3兆ドルものモーゲージ残高がどの程度まで減少すれば、実体経済と釣り合いがとれるのかはわからないが、これからも住宅の値下がりが続くことを前提に考えれば、相当額の整理が必要になるのではないか。
米国経済はかなりの確度でリセッションに陥り、企業収益の減少も本格化するだろう。
米企業収益はすでに昨年7−9月期に前年割れとなり、10-12月期の減益率はさらに拡大する見通しだ。ITバブル期では利益が前年割れとなってから3期目にマイナス幅は最大になったが、今回はそれほど急激に悪化するのではなく、悪い状態が長期化しそうである。
OECDの米景気先行指数からもわかるように、いまのところ米国景気は日本や欧州に比
べれば良い。ただ、3ヵ月前比では米景気先行指数の減少率が最も大きく、これから日本
や欧州を上回るスピードで悪化するかもしれない。日本はすでに不況に突入している状態
だが、米国の景気悪化が深刻になってくれば、その影響は避けられず、景気はさらに下降するだろう。年末からの日本株の下落は急激なものであり、ひとまず落ち着くかもしれないが、その後は再び売られるだろう。債券相場は上昇し、米国の景気後退感が強くなれば、円ドル相場は円高にぶれると思う。
--------------------------
Gesell Research Society Japan
http://grsj.org
info@grsj.org
--------------------------
関連記事
|
|

Powered by newsing |
|
コラム最新記事
|
| |
|