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[コラム]エコイノベーションの挑戦〜「“効率”の経済」から「“調和”の経済」へ〜

2008年01月15日 19:58更新 前の記事 次の記事  コラム・経済モデル一覧
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 相馬 明郎 2008年1月15日付」より

■エコイノベーションとは
環境と経済を対立概念と捉える20世紀型大量生産・大量消費型社会から、環境保全と経済成長が両立する21世紀型の持続発展可能社会への転換が、世界共通の目標として認識され、この目標を達成すべく、エコイノベーション(Ecoinnovation)が求められている。

「エコイノベーション」という言葉は、それほど明確に定義されているわけではなく、「エコロジー(Ecology)」と「イノベーション(Innovation)」を結合させた造語である。「エコロジー」は、狭義には、生物と環境の間の相互作用を扱う科学分野(生態学)を示すが、広義には、“自然”との健全な関わりを意識した“文化”的・“経済”的な思想や活動を含む。一方、「イノベーション」は、経済学者、シュンペーターの著書、『経済発展の理論(1911)』で初めて定義された(経済学上の)言葉である。

シュンペーターは、イノベーションとして、5つの類型、(1)新しい財貨の生産、(2)新しい生産方法、(3)新しい販売経路の開拓、(4)新しい仕入先の獲得、(5)新しい組織形成、を提示した。この5つの遂行は、一口にいえば、既存の市場や産業とは異なる“新しい市場と新しい産業を創出する”ことであり、新しい市場を作れない技術や製品の開発・発明はイノベーションではない。イノベーションは、新しい市場を作れる変革でなくてはならない。

以上を踏まえると、「エコイノベーション」とは、“自然、文化、経済間の健全な関わりを維持した新しい市場と新しい産業の創出”であると解釈してもよいだろう。


■“効率性”と“調和性”
“環境保全と経済成長の両立を図るためのエコイノベーション”とはいっても、エコイノベーションの主体となる企業においては、最終的には、その企業活動が自らの収益に結びつかなければならない。収益が増大する要素は、大きく、(a) 生産費用が安い(コストが安い)、(b) 市場がある(売れる)、(c) 新しい規制・制度がある、の3つであろう。これら3つの要素と環境保全を強力に結びつけるにはどうすればいいか。

環境配慮を意識している企業は、その答を真摯に模索している。わが国の製造業を見てみると、製品の省エネルギー化、省資源化、地球温暖化対策(CO2削減)、安全性・環境保全性、長寿命化、再生資源化、リサイクル材利用などの環境配慮設計の試みは浸透しつつある。このうち、省エネルギー化、省資源化など、「効率性」という言葉に集約される環境配慮設計は、先に述べた“(a) 生産費用が安い”にもつながりやすく、内部経済化されている。

一方で、地球温暖化対策(CO2削減)、安全性・環境保全性、長寿命化、再生資源化、リサイクル材利用など、環境との「調和性」を目指した環境配慮設計は、“(a) 生産費用が安い”にはつながりにくく、内部経済化されにくい。唯一、地球温暖化対策は、排出権取引が制度化され、経済化されつつある。現在、排出権ビジネスは環境ビジネスの中でも特に注目されているが、これからの環境問題の多くを占める「調和性」を、“(c) 新しい規制・制度がある”という形で経済化する試みという観点からも注目に値する。


■“直面している課題”と“イノベーションの意義”
我々が直面している課題は、環境に対する貢献をいかに経済化するか―“調和性”という、内部にではなく、外部になされる貢献をいかに経済化するか―ということである。今、この課題を解決できるイノベーションが望まれている。

シュンペーターは、当初、イノベーションを「新結合」と呼んでいた。この新結合という言葉は、読んで字のごとく、「機能的な“新”しい“結合”」を意味する。彼は、新しい結合は、分業による効率化を促進させるだけでなく、“供給側”のイニシアティブによる創造的破壊(旧来の経済体系が打破され、まったく新しい経済体系が創造されること)を伴う・起こさせる、と考えていた。

ここで大切なことは、“需要側”(消費者の要求)に依存する形で“受動的”に経済が駆動される、という形以上に、“供給側”が主体となって、“能動的”に新しい経済を駆動するところにイノベーション(新結合)の意義を見出しているところだ。


■今・必要なもの 〜エコイノベーションに向かって〜
“調和性を経済化するための新しい結合”を促進するには、以下の3つの機能を担える組織・人・しくみが必要である。

1. 新たな環境規制等により、新しい軸・観点から環境負荷を制限する。
2. 環境経営コンサルティングと投資・融資の連携から、金融(お金の動き)を制御する。
3. 環境配慮生産を行うという視点から、(異業種間を始めとする)企業間チャネルをつなげる。

そして、これら3つを駆使し、実際に新結合を遂行する「企業者」が必要である。企業者とは、通常の資本家、経営者、営業者、技術者、研究者などとは別の次元からみた役割であり、誰でも新結合を遂行した時に企業者になる。こうした企業者類型は、富の獲得は結果でしかなく、創造の喜び、夢の実現、達成意欲などが強い動機になっていることが多いという。これらの動機を“調和の喜び”にまで拡張できる人。今、必要なのは、そのような人である。


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