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[国際金融トピックスNo.152]イスラム金融と中東マネー

2008年01月23日 14:21更新 前の記事 次の記事  コラム・金融一覧
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出展:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「国際通貨研究所 国際金融トピックスNo.152/国際通貨研究所 開発経済調査部 主任研究員 糠谷 英輝 2008年1月21日付」より

■イスラム金融と中東マネー

 2008年の年明けとともに世界の原油相場の指標となるWTI先物価格は1バレル=100ドルの大台を超える記録を付けた。今回の原油価格の上昇は2003年以降続いてきたものであるが、その過程において、イスラム金融の拡大、中東マネーの増加という2つの現象を引き起こしている。今後も高水準の原油価格が続くと予想されるなか、この2つのトピックスに対する関心はより高まっていくことになろう。そして実はこの2つのトピックスは密接に関連しているのである。

 まずイスラム金融に関してであるが、2007年12月にバーレーンで開催された第14回世界イスラム銀行会議(World Islamic Banking Conference)で、マッキンゼー社(McKinsey & Company)は、イスラム金融機関は世界経済のなかでもっとも急速な拡大を遂げている部門であり、その成長率はおおよそ年間20〜40%に及ぶとの発表を行った。今後、数年は年間20%程度の拡大を続けようというのがほぼ共通した予想となっている。現在のところ世界最大のイスラム金融市場はマレーシアであり、イスラム金融はイスラム教徒人口の多いアジア地域でも拡大しているが、湾岸協力会議諸国(GCC諸国:サウジアラビア、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦、カタール、オマーンの6カ国)では、それ以上に急速にイスラム金融は拡大している。GCC諸国ではイスラム金融に参入する金融機関が増加し、イスラム投資ファンドなどのイスラム金融投資対象が拡大し、イスラム債券(スクーク)の発行が急増している。世界のスクーク市場は年平均で40%という急激な拡大を続けている。スクークも一般債券と同様に証券取引所に上場されているが、ドバイ国際金融取引所(DIFX)が世界最大のスクーク上場取引所となっている。

 次に中東マネーに目を転じれば、昨年には世界最大の政府投資基金(SWF)であるアブダビ投資庁による米シティグループへの出資をはじめ、中東マネーに対する注目が高まった。SWFをはじめ、中東の対外投資はこれまでとは違い、戦略的投資の色彩を強めている。その投資スタンス変更の背景には、GCC諸国は経済が活況を呈する今のうちに、脱石油を目指した経済の多角化を進めなければならないという事情がある。このためGCC諸国では1兆ドル以上に上る開発投資プロジェクトが進められている。手にしたオイルマネーはこうしたプロジェクトにも投資されるが、多くの部分は対外投資に向けられている。そしてプロジェクトで必要となる資金は金融市場からの調達が進められているのである。

 この資金調達に当たって、イスラム金融を活用するケースが増えている。2007年10月に、Saudi Arabian Mining CompanyとSaudi Basic Industries Corporationはプロジェクトの資金20億ドルをイスラム金融で調達すると発表した。これまでで最大のイスラム金融での資金調達である。それでもGCC諸国のプロジェクト・ファイナンスにおけるイスラム金融シェアは未だ10%に満たず、今後さらに増加していくことが予想されている。

 巨額化するプロジェクトに対応するには規模の大きなイスラム銀行が必要になってくる。そこでGCC諸国では資本金10億ドル超のいわゆるメガ・イスラム銀行が各国政府の後押しのもとで相次いで設立されている。

 またGCC諸国は将来の通貨統合を目指しており、GCC中央銀行がどこに設置されるのかは決定していない。経済の多角化に当たって、金融業の育成に力を入れる諸国も多く、GCCの金融センターとなることを目指して、先行するバーレーンをはじめ、アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビアなどでは法制をはじめとした金融インフラの整備が進められ、同時にイスラム金融の育成に力が注がれている。

 このようにGCC諸国では増加するオイルマネーをベースに、開発プロジェクトが増加し、同時にイスラム金融の拡大が進められるという状況にある。中東マネーとイスラム金融は国際金融市場における存在感を益々高めているのである。

 なお、国際通貨研究所では来る2月18日に、こうした中東湾岸諸国の動きとイスラム金融に焦点を当てた「グローバルに展開するイスラム金融と中東経済金融情勢」と題するセミナーを開催致します。参加ご希望の方は、https://cos.congre.co.jp/iima0218/j/ にてご登録下さい。

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