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[コラム]適格年金制度の廃止と退職金制度の見直し

2008年01月24日 17:32更新 前の記事 次の記事  コラム・人事・組織戦略一覧
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出展:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 主任研究員 奥平 慶太 2008年1月21日付」より

●はじめに

 2012年3月末をもって適格年金制度が廃止となる。もう対応はお済みであろうか。10年先の話と思っていたものがあと4年ほどになってきた。
 数字でみると1995年頃のピーク時には約9万2千件あった適格年金も3万9千件ほどに減り、加入者数も1080万人から506万人へと半減してきている(いずれも2007年3月末、企業年金連合会調べ)。しかし、半分近くがまだ残っているともいえる。のこり4年あれば充分間に合うではないかというご意見もあろうが、最後の1年は駆け込みの移行が殺到し、受託金融機関の設計も、監督官庁の認可もスムーズには進まない恐れがある。企業にとって、従業員にとってよい判断を下すためにも時間的ゆとりのあるうちに進めておいたほうがよさそうである。

●選択肢となる制度

 積み立てた適格年金の受け皿となる制度は、主なもので

1.厚生年金基金
2.確定給付企業年金
3.キャッシュバランスプラン
4.確定拠出年金制度
5.中小企業退職金共済制度

があげられる。
 さらに、過去分積立金の受け皿とはならないが、再設計するなかで代替案となる制度は


6.退職一時金制度
7.生命保険制度
8.退職金前払い制度

などがある。

 確定給付型、確定拠出型、設計の自由度が高い制度、資金を内部留保できる制度、損金負担の平準化をはかれる制度とそれぞれにさまざまな特徴がある。複数の制度を組合せる場合も多いので、そうした組合せまで含めると選択肢はかなり幅広い。まずは、退職金制度を続けるのかどうか、仮に続けるとして、次にどんな退職金・年金制度をめざすのかを意思決定する必要がある。

●制度選択の手順と条件

 制度を選択するにあたっては、まず、現状を正しく認識することが必要である。現状、どんな給付水準でどんな財政状況になっているのか。制度計算上の利率を見直さないままで来ていて、実質的には積立不足になっていたといった場合もある。今の制度のままで、人員構成等から、長期的にコストやキャッシュアウトはどのようになると予想されるのか。また、今の制度が従業員にどのように受けとめられているのか。そうした現状の退職金制度のありのままの姿と課題を客観的に分析したうえで、そもそも退職金・年金制度にどんな機能や条件を求めるのかを整理してみることをおすすめしたい。
 退職金・年金制度に求める機能・条件としては、社外積立としての安心や給付額の確実性といった福利厚生的な機能、貢献による給付格差や給付のタイミングといった労務管理的な機能、それからバランスシートのスリム化や後発債務リスクの抑制などの財務的側面にたった条件などがあげられる。わが社として、そのそれぞれについて、何をどの程度、重視するかという判断を明確にしておくということである。

退職金・年金制度に求める機能・条件



●社内の合意形成に向けて

 しかし、この判断の合意形成は難しい。検討会議のような場でもなかなかまとまらない。個々人にとってもどちらがどの程度重要かといった判断はあいまいであり、しかも個人の感覚によって微妙に違ってくるからである。コンサルティングの現場では、こうした合意形成にあたり、機能・条件それぞれの一対評価(どちらをどの程度重視するかという相対比較)のデータからAHP※という意思決定手法を用いて制度の条件満足度を量的に表すようにしている。退職金・年金制度に求める機能・条件の優先度を、あらかじめ定量的に整理しておくことによって、なぜその制度を選択するのかの根拠が明確になる。経営者の意思決定はもとより、組合や従業員への説明もしやすくなる。

 このようにして検討した結果、抜本的に退職金制度そのものを見直す場合も出てくるであろう。制度によっては検討から設計・導入に1年以上を要する場合もある。とにかく、検討については早期に手をつけられることをおすすめしたい。

※AHP(Analytic Hierarchy Process):感覚的判断をも取り込んだ階層構造による問題解決型意思決定手法


※コラムは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。

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奥平 慶太
(株)日本総合研究所
主任研究員 人事・組織戦略クラスター
専門分野:組織・人事制度改革
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