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[コラム]サービス・イノベーションとしての行政経営〜住民との接点を重視する行政サービスへの転換〜

2008年01月29日 15:50更新 前の記事 次の記事  コラム・行政一覧
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 社会経済コンサルティング部 片田 保 2008年1月29日付」より

■「顧客接点」重視のサービス・マネジメント
 我が国では、国内総生産に占めるサービス産業の割合が伸び、第1次、第2次産業でも「サービス」の側面が増しているが、その生産性、品質向上が課題となっている。提供者の能力や資質に大きく影響されやすい「サービス」は、その品質や生産性にバラつきが生じる。また、人の手による「サービス」であるがゆえに、職人的な経験と勘が重要視されてきた。しかし、この人的要因によるブレを乗り越えなければ、「サービス」の品質と生産性の向上は難しい。経済産業省では「サービス産業におけるイノベーションと生産性向上に向けて」を取りまとめ、「サービス」による日本経済の牽引に取組み始めた。

 ここで気をつけなければならないのは、かつて一世を風靡した「工業社会のマネジメント」である。いわゆる、生産性を高めコストを抑制する、機械化に根ざすマネジメントだ。T.レビットによれば、1970年代、ハンバーガーショップなどに代表されるようにマニュアル化が進み、安価な労働力でどの店舗でも規格化された商品が安定的に提供されるようになったという。

 しかし、これは過去の話。近年は、顧客重視のマネジメントへと転換し、工業社会のマネジメントから脱しつつある。もはや、マニュアルによる画一的な対応では顧客をつなぎとめておけない。大量生産・大量販売の時代を超え、サービス時代のマネジメントのカギは「顧客接点」にある。顧客との接点にこそ、優れた経営資源を重点投入し、従来の業務のあり方、経営のあり方を抜本的に見直すことが求められている。

 そして、この顧客接点を維持・管理するために、情報通信技術(ICT)が重要な役割を担っているが、偏重しすぎるのも問題だ。J.F.レイポートとB.J.ジャウォルスキーが「顧客接点のシステム化」で注目するように、ICTだけで対応するのか、ICTを活用しつつ接遇は人が行うのか、ICTではなく人による接遇を基本とするのか、提供しているサービス内容に応じて適性を見極める必要がある。


■「住民接点」として窓口サービスを最適化
 こうしたサービス産業での動きは、行政サービス、電子政府・電子自治体推進のヒントになる。

 これまでの行政経営では、法制度に則って縦割りであまねく均質的に運用されてきた。全国、どこへ行っても、同質のサービスを利用することができる。これは、マニュアル化された工業社会のマネジメントに似ている。一方で、裁量行政のもと担当者の創意工夫によって対応が異なる場合もある。この点では、サービス産業で生じている課題のように、見方を変えれば提供するサービスにムラが生じているとも言える。

 昨今の行政改革では、品質の向上を唱えつつも行政コストの削減だけに眼が向きやすい。従来の行政経営の延長線上に、工業社会のマネジメントに則して「低コスト・高効率」を最優先し、裁量の範囲を限定したマニュアル化を進める傾向にある。また、「顧客接点のシステム化」ともいえる電子政府・電子自治体の電子申請(オンライン申請)は、国も自治体も利用が低迷しているため、投資効果を高めるべく2010年には利用率50%達成を目指すことになった。

 ここでは、とかく、大きな予算を注ぎ込んだ電子申請がクローズアップされがちだが、利用者の利便性を考えるならば、電子申請以外にも眼を向けなければならない。電子申請の使い勝手がよくなれば利用率も高まるが、窓口に行かなければならない手続もあるし、対面で職員に相談をしながら申請する手続もある。電子申請の利便性、利用率向上という問題として矮小化するのではなく、従来からの窓口対応、電話対応、郵便受付、自動交付機など住民との接点を全体最適化する考え方が必要である。

 住民から見た行政の「顔」として窓口サービスのあり方をどうするのか、「サービス・イノベーション」にヒントを求め、サービス時代に適した行政経営へと転換すべきではないだろうか。


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