[コラム]新しく住んでもらえる地域へ〜個性的で積極的な「移住戦略」のススメ〜
2008年02月05日 16:23更新
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 社会経済コンサルティング部 金澤 雅樹 2008年2月5日付」より
最近は、話題性のある知事の効果もあり、マスコミ等で「地域格差」や「地域再生」が取り上げられることが多くなってきているように思う。わが国は、国全体としてはここ数年で人口減少社会に突入したわけだが、多くの地域では既に何年も前から人口減少社会を経験しており、地域の活力をどう維持していくかは、当事者にとっては切実な問題となっている。そのようななか、近年は、少しでも定住人口を確保して、人口減少を食い止めようとする自治体が増えてきている。
ひとつの流れとして、人口の多い都市部から、積極的に地方に「移住」してもらうことで、地方の定住人口を確保していこうという動きがある。特に大きなターゲットとなるのが、退職後のいわゆる団塊世代である。典型的なケースは、地方から就職のために都市部へ出て行った出身者を対象に、ふるさとの良さをアピールし、退職後はふるさとに戻って、家庭菜園を楽しむなどして悠々自適に暮らしてもらおうというものである。
よく見られる施策としては、自然が豊かな地域では、観光・交流事業と絡めて、お試しで移住体験を企画するものがある。具体的な定住支援となると、農地付きの宅地を無料で貸したり、空家情報を整備したりという個別のものから、福祉医療や交通の分野とも連携して、地域全体で住みやすい環境を整えようとする例まである。特に力を入れている自治体の場合は、定住や移住のための専任部署を設置したり、これまでの施策体系を定住・移住という観点から整理し、定住ビジョンを策定したりしている。県レベルでも、市町村と連携して、都市部で田舎暮らしフェアを展開するなどして、何とかその地域の良さを知ってもらおうとしている。
このような取り組みにおいて、受け入れる地域の側としてどのようなことに留意すべきであろうか。まず、相当数の自治体で、既に移住受け入れを狙う施策が展開されてしまっているという現実がある。例えば、昨年10月にNPO法人ふるさと回帰センター主催の「ふるさと回帰フェア2007」(※)では、道府県、市町村をあわせて300近い自治体が参加している。そのため、受け入れの地域側は、移住希望者から移住先の地域として「選んでもらう」というプロセスがあることを再認識する必要があるようだ。つまり、その地域ならではの良さ、他の地域と「差別化できる要素」をもう一度見直し、わかりやすく情報発信していかなければ、同じような地域間で情報が埋もれてしまう恐れがある。
さらに今後は、闇雲に移住者を求めていくのではなく、特に担い手の少なくなってきている中山間地域等では、「産業の担い手となる人材」、「生産者としての人材」を求めていく姿勢がより大切になってくる。これは、地域が今抱えている課題解決のために、専門性のあるスキルや人的ネットワークをもつ人材を活用していこうという視点である。そのためにも、それぞれの地域が、再度足元から地域を見つめなおし、「求める人材像」を明らかにしていくこと、つまりは、ターゲットを絞った「移住戦略・定住戦略」が必要になってくるのではないだろうか。
実際のところ、移住者は相当の覚悟を持って生活の場を移すのであるから、対象となる人材が限られてくるのも事実である。したがって、取り組みを始めたすべての地域で人口が増加に転ずるといった数字上の効果を求めるのはかなり難しいに違いない。しかしながら、これからの地域が持続的な社会を築いていくためにも、地域内外の様々な関係者と連携し、内部の住民の合意もとりながら、「地域外からの人材の獲得」について真剣に向き合っていかなければならない。
一方、それらの地域のターゲットとなるべき、都市部で生きる"企業戦士"は、仕事の合間にでも、出身地や興味のある地域のホームページを覗いてみるのはいかがだろうか。筆者が調べた限りでは、38の道府県で定住・移住の窓口となるホームページを開設している(下表参照)。案外、なつかしい風景や、お得な情報が目に止まり、新たな人生の扉が開けるかもしれない。
※認定NPO法人ふるさと回帰センター「ふるさと回帰フェア2007」 http://www.furusatokaiki.net/past/furusatofair2007/index.html
| 表:38道府県の移住・定住のポータルサイトの紹介(平成20年1月末現在) |
※平成20年1月末現在
※各道府県の移住・定住に関する情報が最も集まっていると思われるページを集めたもの。交流や観光がメインの情報サイトでも移住情報が充実している場合はそれを示した。
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