[レポート]2月4日週の外国為替市場分析(1)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株)石井 雅博 2008年02月4日付」より
●先週の概況●
FOMC大幅利下げにもモノラインという新たな火種、さらに米雇用統計は予想外の下振れへ
先週28日月曜日は東京時間までリスク回避の円買いが優勢となるも、海外時間以降株価が下げ渋り、NY時間にはドル/円を始め行って来いの展開に。米住宅指標は悪化を示すもリスク回避は限られ、引けにかけて堅調な地合いが継続しました。
週明けの為替市場はドル/円がほぼ前週終値レベルの106.80円付近で取引を開始。東京時間は前週末の弱い地合いを引き継いで軟調な展開となり、ドル/円が午後に入って105.99円と一時106円を割る場面も。また日経が500円以上下落して引け、他のアジア株も大幅安となったことからクロス円も軟調な推移が続き、ユーロ/円は朝方の水準から1円以上安い155円半ばへ下落。またポンド/円は英紙で「現行の金利水準が景気を抑制する」とのブランチフラワー英金融政策委員の見解が報じられたことを受け、朝方から売り優勢で午後には寄り付きから2円以上安い209.32円まで下値を拡大しました。
アジア株は総じて大幅安となり、夕方までリスク回避の円買いが継続。しかし欧州序盤からダウ先物および欧州株が下げ渋ったため、徐々に買い戻しが進み、NY序盤には107円をタッチ。またポンド/円も朝方の水準を上回り行って来いの展開に。NY時間、米12月新築住宅販売件数が予想以上の悪化を示し円高へ一時振れますが、リスク回避の動きは限定的でダウは引け際に170ドル高を示現。ユーロ/円は東京時間の安値から2円以上切り返し158.21円まで同日高値を更新しました。
29日火曜日はFOMCを翌日に控えて全体的に小動きとなったものの、ドル/円・クロス円は株価の反発に支えられじり高で推移。NY時間、米指標や米金融機関のウワサで不安定な値動きとなるも結局ダウが100ドル高で取引を終え、ドル/円は107円台へ乗せて引けとなりました。
朝方までは前日のNYダウ大幅反発を受けた円売り地合いが続いていましたが、東京市場が始まるとにわかにポジション調整の売りが強まり、107円に乗せていたドル/円が昼前に106.37円まで値を下げ、ユーロ/円も158.50円の高値後157円前半へ反落しました。
本邦12月失業率は3%台の低水準を維持するも市場の反応は限定的で、午前11時に始まったブッシュ米大統領の一般教書演説もすでに決定している1500億ドルの減税対策の他に新たな対策は打ち出されなかったため影響は特にありませんでした。日経が390円高で大引けとなるなどアジア株は概ね反発、ドル/円・クロス円も午後には下げが一服し欧州序盤はもみ合いに。そのなかで加ドル/円が金相場の最高値更新や対ドルでのテクニカル的な上昇を受けて上値追いが続き、先週末以来の107円台に乗せ107.74円まで同日高値を更新しました。
NY時間は米指標の結果に左右される展開となり、予想を上回る強い米12月耐久財受注を受けてドル/円が107円台を回復も、その後米12月ケースシラー住宅価格指数が前年比で急低下を示したため106円後半へ下押し。しかし米1月消費者信頼感指数が予想をやや上回ると再び107円へ戻すなど上下に振れる展開に。
一方ユーロ/円はNY序盤、米投資銀行JPモルガン・チェースがデリバティブ取引で40億ドル損失とのウワサでダウが下振れたため157.40円へ下げるも、その後ダウが堅調となったことから158円台へ切り返し、引けにかけてじり高で推移しました。
30日水曜日はFOMCの0.50%の大幅利下げが好感されNY時間株高・円安が先行したものの、直後に金融保証保険会社の格下げによる「モノライン・ショック」でダウが急落、ユーロ/円などクロス円が軒並み行って来いの展開に。
ドル/円は朝方までNYダウの続伸を受けじり高で推移していましたが、東京市場に入ると前日同様にポジション調整売りが強まり、107円を割ってじりじりと軟調に推移。ユーロ/円も158円前半から徐々に値を下げ、夕方には157.38円まで同日安値を更新しました。日経を始めアジア株式市場はFOMCでの利下げ幅が小幅にとどまるとの観測から概ね反落。また米連邦捜査局(FBI)がサブプライム問題に関連して住宅ローン会社や投資銀行など、複数の企業を不正取引などの関与で捜査との報道や、スイス大手銀UBSの決算悪化観測なども上値を重くしました。
しかしロンドン時間に入ると米国との金利差拡大期待を追い風にユーロが対ドル・対円で上昇、ユーロ/円は158円台を回復後も上昇を続けNY序盤に158円後半へ。ドル/円も106.50円から反発、NY入りに発表された米1月ADP全国雇用者数が+13.0万人と予想を大きく上回ると107円を突破。その後発表された米第4四半期GDP速報値は前期比年率+0.6%と予想の1.2%を大幅に下回ったもののドル売りは限定的で、NY中盤にかけて円売りの地合いが継続しました。
そしてNY午後、米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利であるフェデラル・ファンド金利を0.50%引き下げ3.00%に設定。0.50%の利下げは織り込み済みでしたが、インフレ懸念や強い米指標などを背景に小幅利下げ観測も根強かったため株価が急上昇。ユーロ/円も連動して急伸し、159円を突破して前週高値を上回る159.47円を示現。豪ドル/円も15日以来の高値96.47円をつけました。ドルはFOMC利下げを受けて対ユーロなどで大幅に売り込まれるも、ドル/円はクロス円の上昇に支えられ107円前半で底堅く推移。しかしNY終盤、米格付け会社による金融保証保険(モノライン)会社の格下げ観測が報じられると、200ドルを超える上昇となっていたダウが急速に上げ幅を縮小し、その後マイナス圏へ下落。クロス円もユーロ/円、ポンド/円を始め軒並み下げに転じ、ユーロ/円は引け際に158円を割り込む展開に。ドル/円もまた株価とクロス円急落を受けて下げ幅を拡大し106円前半へ。
31日木曜日はモノライン格下げ報道や米指標の悪化を背景にNY序盤まで円高が先行しました。しかし米モノライン大手の格付けが維持されるとの観測を材料にダウが堅調に推移すると、一時105.70円台まで売り込まれていたドル/円が106円台へ反発、引けにかけて底堅い展開に。
NY引け際に報じられた金融保証保険会社(モノライン)格下げ観測を受けて、朝方までリスク回避の円買いが継続、ドル/円が106.01円まで売り込まれた他、ユーロ/円が前日安値を下回る157.23円を示現。しかし午前に米モノラインMBIA社の資本増強が報じられるとドル/円・クロス円とも反発へ向かい、午後にはユーロ/円が158円台へ乗せ、豪ドル/円も直近高安値の半値水準となる95円台を回復しました。ポンド/円も夕方発表された英ネーションワイド住宅価格指数が予想ほど悪化しなかったことを好感して212円へ上昇。しかし夕方以降、大幅高で引けた日経を除いてアジア株が総じて伸び悩んだことが重石となって再び円高へ流れが変わり、106.86円まで同日高値を更新していたドル/円は徐々に上げ幅を縮小、NY序盤には106円前後へ。
NY時間、インフレ指標の米12月個人消費支出(PCE)コアデフレーターは市場の予想通りとなるも、米新規失業保険申請件数が37.5万件と予想以上に悪化。市場では週末の米雇用統計が弱含むとの観測が強まりドル/円が急落、106円を割って24日以来の安値水準105.69円を示現。クロス円も総崩れとなりユーロ/円が157円を割り込んだ他、豪ドル/円も93円台へ下落しました。また加ドル/円はカナダ11月GDPが若干予想を下回ったこともあって105円前後へ大幅に下落。市場予想を下回るも景気分岐点の50以上を維持した米1月シカゴ購買部協会景況指数(PMI)に市場は反応せず、ダウは寄り付きから100ドル以上下げてスタート。しかしすぐ後に米モノラインMBIA社側から資本増強で格付けを維持できるとの見通しが示され、ドル/円・クロス円が安値から急反発。ユーロ/円は安値156.67円から158円半ばへ1円以上切り返す展開に。NY中盤には上昇が一服するもダウが引けにかけて堅調に推移し、ドル/円は106円へ上昇後底堅い値動きに。引け際に米格付け会社が米モノラインFGIC社の格付けを引き下げるも、すでに目新しい材料ではなく市場への影響は限定的でした。
週末2月1日金曜日は予想外の下振れとなった米雇用統計を受けてドル/円が105円台へ急落。しかしその後ISM製造業景況指数が強い結果を示し、またモノライン会社の救済で欧米銀行が連合との報道から株価が底堅い展開となり、ドル/円は結局106円台へ反発。一方クロス円は欧州通貨が対ドルで急落した影響で軟調に推移するも、オセアニア通貨・加ドル/円は一時最高値をつけていた金相場のサポートもあって大幅高となりました。
東京時間は米1月雇用統計の結果待ちのムードが強く、ドル/円は106.10-60円の狭いレンジでこう着。ユーロ/円も158円をはさんで小動きに終始しました。アジア株は中国株が急落する場面があったものの為替市場への影響は限られ、欧州株が寄り付きから堅調に推移すると、夕方からユーロ/円を始めクロス円がじりじりと上昇。豪ドル/円は金相場が史上最高値を更新したこともあって二日ぶりに96円台へ、また同じくコモディティ通貨の加ドル/円も107円前後へ堅調に推移しました。さらにロンドン時間、米ソフトウェア会社マイクロソフトが米インターネットサービス大手ヤフーに買収提案との報道でダウ先物が急伸、米雇用統計を前にドル/円・クロス円は上値追いの展開となり、ドル/円も106.69円まで上値を拡大しました。
しかしNY入りに発表された米1月非農業部門雇用者数が1.7万人の減少を示し、市場予想の6.5万人を大きく下回ったためドル売りが殺到、ドル/円は106円を一気に割り込み105.74円の同日安値を示現。また急速に強まった米景気後退観測を背景にダウ先物も上げ幅を縮小したためクロス円もつれ安に。159円手前まで上昇していたユーロ/円が157円台へ急落した他、ポンド/円も高値から2円以上下落し209円台へ。
ただダウ先物がプラス圏を維持したため、ドル/円は前日安値を下回ることなくその後106円の大台を回復。そして続いて発表された米1月ISM製造業景況指数が50.7と市場予想の47.3を上回り、また景気拡大を示唆する50以上の水準を回復したことから、市場ではドル買い戻しが急加速。また欧米銀行の8行が、新たな火種となった金融保証会社(モノライン)の救済に向けて連合を結成との報道も円売り安心感を誘いました。
ドル/円は一時106.72円をつけ同日高値を更新、またNYダウが100ドル高となり豪ドル/円が米雇用統計前の水準96円台へ反発。しかしユーロ/ドルが史上最高値を目前にして失速したことを受けてユーロ/円の戻りは鈍く、ポンド/円も軟調な推移が続き一時209円割れまで下値を拡大しました。NY中盤以降ダウは前日終値付近で方向感なく推移するも、引けにかけて上げ幅を拡大したため、クロス円は欧州通貨を除いて軒並み前日高値近辺へ上昇。ドル/円も106円半ばまで戻して引けとなり、終値は前週比22銭安の106.58円でした。
なお他の通貨の先週終値は
ユーロ/円157.71円(前週比1.00円高)
ポンド/円209.54円(前週比2.12円安)
豪ドル/円96.35円(前週比2.36円高)
NZドル/円84.58円(前週比2.36円高)
加ドル/円107.22円(前週比1.19円高)
スイスフラン/円97.85円(前週比0.54円高)となっています。
● ●先週の主な要人発言
【1月28日(月)】
「成長下振れリスクがインフレの上振れリスクを上回る」
--------------ブランチフラワー英国金融政策委員
【1月29日(火)】
「FRBの利下げ政策は行き過ぎと認識」
--------------ラガルド仏経財相
「カナダには米国のような景気刺激策は不要」
--------------フレアティ・カナダ財務相
【1月30日(水)】
「米国景気後退の可能性は50%」
--------------グリーンスパン前FRB議長
「利下げによって長期的に経済成長を促進」
「金融市場は依然としてかなりの緊張化にさらされている」
「市場のリスクに対処するため必要であれば行動する」
「米住宅市場の落ち込みが深刻化」
「インフレは数四半期のうちに緩和も、インフレ注視は継続」
--------------FOMC声明文
【1月31日(木)】
「モノラインについて大いに注視」
--------------ポールソン米財務長官
【2月1日(金)】
「欧州中央銀行(ECB)は他の中銀の金融政策を考慮しない」
--------------ガルガナス・ギシシア中銀総裁
「米経済は減速の深刻な兆候を見せている」
「米政府は断固とした対応を取る」
--------------ブッシュ米大統領
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