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[FINAMレポート]急上昇するロシアの石炭価格

2008年03月03日 22:21更新 前の記事 次の記事  ロシア経済・資源・エネルギー一覧
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2007年から石炭価格は上昇傾向にあった

 2007年、石炭製品のロシア国内価格が40%以上上昇した。価格上昇の原因のひとつとして、Yuzhkuzbassugolで起きた事故が挙げられる。事故によって、国内市場でコークス炭が大きく不足した。年末には、国内市場におけるコークス炭の現物取引価格が100ドル/トンを超え、その後も価格上昇が続いた。このためロシア国内における2007年の年間平均石炭価格は95ドル/トンに達した。ロシア国外における石炭価格も上昇した。中国では石炭の需要が急速に伸び、生産不足が価格を押し上げる材料となった。

2008年も価格上昇傾向は継続している

 2008年2月にかけてコークス炭の現物取引価格は140ドル/トンに達し、一般炭は35-50ドル/トンで取引された。コークス炭の価格は、急激な上昇を示しており、2008年末までには50-70%の価格上昇が見込まれ、平均価格は170-180ドル/トンになると予測される。ただ、一般炭部門の価格上昇はそれほどにはならないとと思われる。2008年、ロシアでは石炭採掘産地の新規開発計画がないため、消費の自然増が4-6%に止まることが望ましい。FINAMは、一般炭の価格上昇は、インフレ率より若干高い15-20%であるだろうと予測する。国外市場におけるエネルギー石炭の価格は、ロシア国内の市場価格にはあまり影響しない。

石炭採掘事業が世界的に問題を抱えていることによって、石炭価格は更新されていくだろう

 近年、石炭生産部門を代表してきたオーストラリア・中国・南アフリカ等の石炭採掘事業が大きな問題に直面している。中国では、積雪のために石炭採掘が中断され、産地によっては気象条件が良くなることを待つしかない状況におかれている。南アフリカでは電力不足のために大手石炭採掘事業者が採掘を中止した。電力供給元である国営企業のEskonは、石炭採掘に必要な電力量のうち供給可能な電力は70-80%であり、今後もこうした状況が改善される見込みはないと発表している。オーストラリアは、2012年まで深刻な水害に苦しんでいる。代表的な石炭採掘事業者は、生産施設が浸水し石炭採掘ができないことを公表した。水害は、石炭採掘のみならず、石炭埋蔵量にも影響を及ぼすことが考えられる。石炭採掘量の大幅な減少によって、消費者の石炭備蓄量にすでに影響が出ている。
 2008年当初、明らかとなった石炭採掘量が減少するというニュースは、石炭価格の大きな上昇材料となるだろう。

CIS諸国においても石炭採掘に問題が生じている

 ロシアでは、すでに述べたように、Evraz傘下のYuzhkuzbassugol炭鉱で起きた事故により採掘が中止されている。現在、長期にわたる調査が完了し、Yuzhkuzbassugolの50%が買い取られたことで、炭鉱は再稼動されたが、採掘量が予定の水準に達するのは、今年半ば以降になるとみられる。ウクライナでは、国内全石炭採掘量の3分の1を生産するZasyadko炭鉱で問題が発生している。需要を満たすためには、ロシアからの石炭輸入が必要となるだろう。また、カザフスタンの炭鉱ArcelorMittalTemirtauでも、生産を妨げる大きな事故が発生した。

需要の増加も石炭価格の上昇材料となる

 アメリカ経済の減速が懸念され、石炭に対する需要が低下しているが、発展途上国では石炭を必要とする分野の需要上昇が継続している。中国では2007年鉄鋼生産量が15.7%増加した。中国における鉄鋼生産量は増加の一途であり、需要も増大している。FINAMは、中国における鉄鋼の需要は毎年9%増加していくと予測している。ロシアでは年間6%の増加が見られる。

 ロシアでは、採掘量の増産計画が実施されているにもかかわらず、依然需要が供給を上回っている。FINAMの予測する2008年の石炭生産量は3億2100万トンである(2006年比3.8%増)。種類別では、コークス炭の26%、一般炭の74%であろう。コークス炭の不足による影響がもっとも懸念されるのは、脂肪炭の消費者である。2008年、脂肪炭不足量は600万トンに達するだろうとみられる(コークス炭生産量の8%)。ノヴォリペツク製鉄(NLMK)が所有するAltay-Koksは、アメリカから石炭を輸入する契約を結んでいる。他の石炭生産企業も脂肪炭を供給することは難しくなるだろう。ロシア経済における石炭分野は、精鋼分野と同様、国内価格が輸出価格を上回る傾向にある。

FINAMは、今後、石炭採掘企業の時価総額が上昇すると予測

 主に、コークス炭、或いは混合石炭(コークス炭と一般炭)を生産する企業の時価総額は上昇するだろう。2007年、ラスパドスカヤ石炭(RASP)とBelon(非取扱銘柄)の株価推移は目覚しく、それぞれ252%、143%上昇した。急激な株価上昇にもかかわらず、両社の株価がさらに上昇する余地は残されている。大きく上昇する可能性は、石炭分野の全企業にいえる。ロシアの石炭企業の株式は、世界の石炭業者よりはるかに安価で取引されている。ロシアの石炭企業における2007年の株式利益率(PER)は21.0であるのに対し、世界の石炭企業の株式利益率(PER)は平均して45.5であった(53%の差)。EV/EBITDA倍率は、前者が13.4、後者の平均が31であった(56%の差)。この数字は、ロシアの石炭会社が世界の石炭会社と比較して、平均で半分であることを示している。または、2008年末の財務指数にも大きな上昇が見込まれている。FINAMでは、2008年も2007年と同様に、引き続き石炭分野に対する評価の見直しがなされ、非常に速いテンポになるのではないかと期待している。石炭分野は、ロシアの産業分野において重要な分野であり、投資家は同分野に属する企業により注目すべきであると考える。

石炭の価格上昇を受け、ロシアの冶金工業にも良好な業績が期待できる

 銑鉄製造の主原料としてコークス炭を必要とする製鉄会社の業績は原料価格の動向に大きく左右されるが、FINAMは、2008年における冶金工業の業績は良好であると考える。冶金工業を代表する5社のうち、セヴェルスタリ(CHMF)・Evraz(非取扱銘柄)・メチェル(MTLR)の3社は石炭を自社製品で賄うことができる。ノヴォリペツク製鉄(NLMK)は、子会社であるAltay-Koksで出るコークスの余剰分を売却することで石炭価格の上昇による損失を防いでいる。石炭価格の上昇による影響がもっとも懸念されるのは、マグニトゴルスク製鉄(MAGN)であるが、同社は2007年のうちに固定価格で石炭の供給を受ける長期契約を締結しているため、前述の企業ほどではないにせよ、価格上昇に持ちこたえることができるだろう。2008年、原料価格の上昇によって精鋼製品の価格上昇が見込まれており、その上昇率は少なくとも12%に達すると考えられる。なおかつ、低価で原料を調達できることで、ロシアの冶金工業は追加的な利益を得ることができるだろう。

 FINAMの予測では、ロシア企業は追加的な利益を得るばかりか、国外の競合企業よりも有利に新市場で競争ができるだろう。


ARUJI GATE
※この記事は、日本初のロシア株 取扱証券会社であるARUJI GATE証券株式会社の提供です。
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