[レポート]「3月24日週の外国為替市場分析」(1)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株)石井 雅博 2008年3月25日付」より
●先週の概況●
週明けから円一段高の展開となるも、FOMCを経てドル/円は週末にかけて堅調に回復
17日月曜日は前週末のFRBによる米投資銀行ベア・スターンズへの資金供給を機に強まった流動性懸念を背景に、パニック的な円買いでドル/円は99円台から一気に95円台へ急落、クロス円も大幅続落する展開に。
週明けの東京時間は朝方からパニック的な円買いに見舞われ、98円後半で寄り付いたドル/円は午前のうちに98、97、96円と相次いで大台を破り95.73円まで安値を更新。朝方FRBが緊急で公定歩合を0.25%引き下げ3.25%とした他、米JPモルガンが米ベア・スターンズ社の買収を発表したものの市場の混乱を押しとどめるには至らず、ユーロ/円が155円前後で寄り付き後、1月安値水準の152円前後まで急落するなどクロス円も大崩れの展開に。日経が500円以上下げ幅を拡大するなどアジア株は全面大幅安となり、ポンド/円は7円以上下落して192円台を示現し、豪ドル/円も90円を大きく割り込み昨年8月17日安値以来の88.11円をつけました。ただあまりに急激な円高であったため、昼過ぎには若干買い戻しが入り、ドル/円は夕方にかけて97円半ばへ反発。しかしロンドン時間は再び下攻めの展開となり、ユーロ/円が152円を割って151.77円まで下落、昨年8月17日以来の安値を更新しました。各国当局から為替相場の過度な変動を懸念する声が聞かれるなか、ドル/円は97円前後の安値圏でもみ合いが続き、予想を下回った3月NY連銀製造業指数など米指標への反応も限定的。NY時間ダウが下げ渋ったことから、ようやくドル売り・円買いが一段落しドル/円は97.74円まで戻り高値を更新、その後は97円前半で底堅い展開が続きました。
18日火曜日はFOMCが0.75%の大幅利下げを行い、市場では思惑から売買が入り乱れ乱高下の展開に。結局ダウが400ドルの大幅反発を示したことからドル/円・クロス円とも大きく上値を拡大し、ドル/円が99円後半へ上昇するなど軒並み前日の下落分を相殺する展開となりました。
東京時間は前日の下げ一服感から全体的に小動きでドル/円は97円を割れる場面があったものの下値は限定的。また午前に公表された豪州準備銀行(RBA)議事録で追加利上げが示唆されましたが、こちらも豪ドル/円への影響は特に見られず。ただアジア株は中国を除きほぼ反発を示し、欧州株も株高の流れを引き継いだことから夕方以降徐々に円売り傾向が強まり、ドル/円は98円手前へじりじりと上昇。またポンド/円は英2月消費者物価指数(CPI)が市場予想通りであったものの堅調な値動きが続き、加ドル/円も強いカナダ2月CPIを受けて徐々に上値を切り上げ、NY中盤に100円台を回復しました。NY序盤は米投資銀行ゴールドマン・サックスとリーマン・ブラザーズがともに好決算となったことからダウ先物が上昇しドル/円もつれ高となって98円を突破。強弱まちまちの結果となった米住宅指標には反応薄で、金融機関の信用収縮懸念の後退を受けて株高・円安の流れが続きました。特にユーロ/円はFOMC前に前週終値水準の155円台へ戻すなど強い展開に。そして米連邦公開市場委員会(FOMC)は政策金利を0.75%引き下げ2.25%に決定。しかし市場では1.00%の利下げ期待が広がっていたため、直前まで300ドル高で推移していたダウが100ドル以上急落、クロス円も大幅反落してユーロ/円が154円前半へ下落した他、91円台まで戻していた豪ドル/円が90円台へ押し戻されました。ドル/円も一時97円後半へ下落する場面がありましたが、利下げ幅が予想ほど大きくなかったことからその後買い戻され、ユーロ/ドルの急落もサポートとなってその後98円台を回復。金利先物市場で4月FOMCでの大幅利下げ観測が強まると、ダウが再び300ドル高へ反発し、クロス円も上昇に転じてFOMC後の下げ幅を完全に相殺。ドル/円も99円を突破して前週末の水準を回復、さらにダウ引け後も円売り地合いが継続し朝方には100円乗せを達成しました。
19日水曜日はFOMC後の円売りでドル/円を始め軒並み高値圏で始まるも、金融機関に対する不安感は払拭されず、海外時間以降急速に円買いが加速。また金や原油など商品市況が続落した影響で豪ドル/円など資源国通貨が大きく売られ、週末休暇を控えてダウのもち高調整も強まったため円高の地合いが続きました。
ドル/円は前日のFOMC後のリスク志向を受けた円売りで、朝方100.44円まで高値を更新するも、その後に実需勢や利益確定の売りで99円台へ再び押し戻され、クロス円も同様に高値から反落。157円をタッチしていたユーロ/円が155円台へ下落した他、201円後半まで回復していたポンド/円も再び200円割れへ。日経が一時400円高となるなどアジア株が軒並み上昇したものの、欧州金融機関破綻のウワサなどが相次いで流れ、ドル/円・クロス円は午後にかけて軟調な値動きに。夕方に入ると急速にリスク回避の円買いが強まり、ドル/円が99円、98円と続けて大台を割って97.65円まで安値を更新した他、ユーロ/円も対ドルでの下落に引っ張られて154.04円まで安値を更新しました。また英イングランド銀行(BOE)議事録では今月の金利据え置きが7対2で決定され、利下げが2票と予想より多かったことからBOEの追加利下げ観測が強まりましたが、ポンド/円は195円後半まで安値を更新していた後であったため下落は限定的でした。ロンドン時間、円買いが一服すると概ね買い戻しが優勢となり、ドル/円はNY入りに発表された米モルガン・スタンレーの強い決算を受けて99円後半まで大幅に切り返し、ユーロ/円も156円台へ反発しました。一方ファンド勢が週末のイースター休暇をにらんで商品市場から資金を引き揚げたため、金などの商品相場が急落。豪ドル/円や加ドル/円などコモディティ通貨がつれ安となって下落し、豪ドル/円は90円前後まで下値を拡大しました。ダウも米系証券の評価損拡大観測や、商品の下落に合わせたポジション調整で下げ幅を200ドル以上に拡大し、ドル/円は98円半ばへ再び下落。ユーロ/円も154円前半へ下押しするなど終始軟調な値動きが続きました。
20日木曜日はドル/円が欧州序盤100円台へ戻す場面があったものの、NY時間にかけて急反落し行って来いの展開に。またユーロが対円・対ドルで大幅続落するなど円が幅広く買われ、ユーロ/円は151円台まで年初来安値を更新。ただNYダウが200ドル以上反発したため、引けにかけて円売りに反転しドル/円・クロス円とも買い戻しが優勢に。
東京時間は午前にドル/円が99円台へ乗せてきたものの、東京市場が休場の関係で全体的に値動きに乏しくユーロ/円は154円台でもみ合い、前日商品相場に連動して急落した豪ドル/円は90円台、加ドル/円は97円台で小動きとなりました。ただ海外時間に入るとドル/円を中心に買い戻しの動きが強まり、ドル/円はストップロスをつけて一時100.19円まで上げ幅を拡大。ポンド/円も強い英2月小売売上高を受けて198円台へ急伸しました。しかしドル買いは続かずNY入りに米新規失業保険申請件数が高水準を示すとドル/円は99円前後まで反落し、またユーロ/ドルの大幅反落を受けてユーロ/円が152円台へ大きく下値を拡大。米3月フィラデルフィア連銀指数が予想より改善を示すもドル買いは限定的で、NY中盤に米シティグループの人員削減計画やスイス大手銀の赤字決算見通しなどが報じられるとドル/円が98.44円、ユーロ/円が152円を割って151.67円まで年初来安値を更新するなど円が一段高へ。また商品相場の続落を受けて豪ドル/円が17日安値水準の88円手前まで下げた他、加ドル/円が96円を割り込んで17日以来の安値を更新しました。しかしダウが金融株を中心とした買い戻しで200ドル以上を示現したため結局はドル/円・クロス円とも安値から大幅に反発し、ドル/円が99円台を回復、ユーロ/円も153円へ切り返して引けとなりました。
週末21日金曜日は前日の東京市場クロス円を中心に堅調な推移が続いたものの、海外時間になると欧州市場と米国株式市場が休場の影響で全体的に動意薄の展開となり、ドル/円は99.50円をはさんで小幅な値動きにとどまりました。
前日のダウ大幅反発を受けて、東京時間は円売り地合いが継続し、ユーロ/円が夕方に154.14円まで高値を更新。ドル/円も午後にかけて99.73円までじり高で推移しました。ただイースター休暇で欧州市場が休場のため海外時間に入ると円売りが一巡。ユーロ/円が153円前半へ押し戻される場面がありましたが、値動き自体は限定的でその後はこう着した展開に。NY時間も米国株式・債券・商品市場が休場となった関係で材料難からこう着しドル/円は99円半ばをはさんでもみ合いに終始しました。若干弱含みのポンド/円を除くと概ね前日終値水準で取引を終え、ドル/円は前週比10銭高の99.41円で引けています。
なお他の通貨の先週終値は
ユーロ/円153.45円(前週比2.18円高)
ポンド/円197.07円(前週比3.70円安)
豪ドル/円89.59円(前週比3.46円安)
NZドル/円78.72円(前週比2.01円安)
加ドル/円97.05円(前週比3.64円安)
スイスフラン/円98.51円(前週比0.89円安)となっています。
先週の主な要人発言
3月17日(月)
FRB当局「米ベア・スターンズの問題がFRBの行動(公定歩合引き下げ)を促した」
福井首相「急激なドル安は好ましくない」
グリーンスパン前FRB議長「現在の米国金融危機は第2次大戦後最悪」
3月18日(火)
豪州準備銀行(RBA)議事録「豪州の経済状況は追加利下げの必要性を示唆」
ユンケル・ユーログループ議長「為替動向に可能なかぎり注意を払って監視」「ドルの無秩序な変動を回避」
FOMC声明文「金融市場は引き続きかなりの緊張化にある」「経済成長への下振れリスクは引き続き存在」「インフレ見通しは不確実性を増した」「フィッシャー・ダラス連銀総裁とプロッサー・フィラデルフィア連銀総裁(いずれもタカ派メンバー)が0.75%の利下げに反対」
3月19日(水)
英国金融政策委員会(MPC)議事録「前回は7対2で政策金利の据え置きを決定」「連続で利下げを行うとMPCは経済を重視していると間違ったシグナルを市場に送りかねない」
福井日銀総裁「日銀のトップが不在では組織に負荷がかかる」
3月20日(木)
パパデモスECB副総裁「最近の為替相場の過度な動きは懸念事項」
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