米政府が31日発表する予定の200ページにも及ぶ金融システム規制強化プランでは、1929年の世界恐慌以来の包括的な米金融システムの再点検案が盛り込まれているという。現在米経済は、信用収縮により大手銀行が巨額の資金損失を計上、米第5位の投資銀行ベアー・スターンズをほぼ倒産間近にまで追い込み、米消費者・事業者の資金借り入れを困難にさせる事態へと陥っている。 米金融市場の動乱に対応するため、金融当局の規制を強化するべきだとの意見も高まっているが、米ポールソン財務長官は「金融市場の動乱に関して金融規制当局の責任を追及するのは正しくない」との見解を示してきた。米金融規制当局では、世界的な経済の一体性が高まる中での米企業の競合力を保持しつつ、米市場の混乱を抑制する計画を立てている。 米政府が計画している案では、米連邦準備理事会(FRB)が米金融システム全体の安定性を管理し、既存の米貯蓄金融機関監督局(OTS)および商品先物取引委員会 (CFTC)などを廃棄し、他の機関にそれらの責任を委託する案も盛り込まれている。 AP通信が入手した22ページにおよぶエグゼクティブ・サマリーによると、ポールソン財務長官は3つの規制当局を設立する3段階におよぶ金融規制プロセスを提案している。米FRBが3つの規制当局のトップに位置し、米金融市場全体の安定を管理するという。また今回の提案ではこれまで米銀行、貯蓄金融機関および信用組合を規制していた5つの機関を1つの規制機関にまとめる案もなされている。 また米証券取引委員会(SEC)はこれら事業の監督と消費者保護を行うスーパーエージェンシーの役割をなすことになるという。 しかしながら、米金融機関の一部からは、米議会が規制強化を急速に進めすぎているとの批判も生じている。2002年にエンロン事件を起に制定されたSOX法適用時と同じで、あまりに早く規制強化案を施行してしまうことにより、米企業の世界における競争力が弱まるのではないかという懸念がなされている。 米議会でも米政府による規制強化の提案には賛否両論がある。米銀行協会(ABA)会長のEdward Yingling氏は30日、「ABAは米政府が提案しようとしている事項の一部に対して失意を感じている」との声明を発表している。同氏は米政府による提案は米銀行業界の機能を弱体化させるとの懸念を示している。