[レポート]週刊マーケットレター
出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org)「曽我純の週刊マーケットレター」より
週刊マーケットレター(08年3月31日週号、No.228)
2008年3月30日
曽我 純
図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html
■主要マーケット指標
■ 実質ベースでは前年比1%台に低下した米消費支出日経平均株価は2週連続して回復したが、1万2,000円台を抜け出すことができず、株式市場は依然厳しい状態に置かれていることに間違いない。欧米金融市場の混乱は一層深まっており、資金の流れは詰まり気味だ。3月第3週の外人売り越し額は第2週に比べれば縮小したが、欧米金融市場の混迷に収拾がつかなければ、日本株を買い増すことはできないように思う。4月にもFRBは1千億ドルの資金を供給し、ECBも6ヵ月物という長い期間の資金を総額1,500億ユーロ貸し出すと発表。FRBの資金供給量が大幅に拡大していることから窺うことができるように、ベアー・スターンズの実質倒産以降、信用不安はさらに強まっている。CDO、SIVといった仕組み債は米国だけでなく、欧州を中心に世界中に販売されており、信用不安を創り出しているが、その影響が欧州に強くあらわれているように思う。
だから、ECBは消費者物価の上昇率が許容範囲を超えていても、政策金利を引き上げることができないばかりか、資金供給の拡大に踏み込まなければならなくなった。
住宅ローン担保証券の価値を左右する米住宅価格は1月、前年比-11.4%と13ヵ月連続の
マイナスとなり、しかも下落率は大きくなっている。新築1戸建て住宅販売も底がみえず、需要家は購入を控えたり、購入を諦めたりしているのだろう。3月の消費者信頼感指数(85年=100)は64.5、前月比11.9ポイントも下落した。特に、先行きについては、47.9と1973年12月以来の低水準に落ち込み、消費者マインドはかなり冷え込んでいることがわかる。
先行き悲観的になっていることは、長期間返済しなければならない住宅ローンなどを、多くの家計は借りることはできない状態に追い詰められている。
2月の米個人消費支出は前月比0.1%の低い伸びにとどまった。前年比では5.1%と昨年11
月の6.5%をピークに3ヵ月連続の低下だが、それほど悪化していない。個人消費支出と住
宅着工件数は相関性が強いが、今のところ住宅着工件数が急激に減少しているわりには、
個人消費は持ち堪えているといえる。だが、消費者信頼感指数の落ち込みなどから判断す
れば、向こう数ヵ月のうちに、消費支出は急速に悪化するかもしれない。すでに、実質ベ
ースでは前年比1.1%と昨年9月以降、6ヵ月連続の伸び率低下となり、前回不況期の01
年9月以来、6年5ヵ月ぶりの低い伸びだ。消費の冷え込みが本格化すれば、もたついて
いる資本財受注も加速度的に悪化し、米景気はさらに深刻になっていく。
■ 下方修正が続く日本の企業業績
日本の貿易統計からも米国景気が後退しつつあることがわかる。2月の対米輸出(数量)は前年比5.0%減と1年以上前年を下回っている。米国とは対照的に、EU向けは15.7%、対アジアも16.7%と対米の落ち込みを埋めて余りある伸びをみせた。全体では前年比14.7%と2ヵ月連続の2桁増となり、内需の不振を輸出で補う動きがますます強くなっている。
金額ベースの輸出は機械や自動車の伸びにより前年比8.7%増加したが、電気機器は半導
体等電子部品が13.1%減と02年2月以来、6年ぶりの大幅減となったことなどから、前年
を2.2%下回った。半導体等電子部品は米国向けも2.5%減少したが、特に、対アジアが-15.7%の大幅減となり、4ヵ月連続のマイナスだ。半導体等電子部品の輸出が悪化すれば、国内の半導体生産も落ち込むことは避けられず、半導体のウエイトが高い鉱工業生産にも影響をおよぼすだろう。
家計の消費支出は前年比1.1%とプラスだが、うるう年の影響を除けば、2.4%の減少となる。2月の失業率は前月比0.1ポイント上昇の3.9%、非農林雇用者は前年を割れ、有効求人倍率は0.01ポイント低下の0.97倍と雇用関連指標は悪化しつつある。
『法人企業景気予測調査』(2月25日調査、円ドルレート107円45銭、日経平均株価
1万3,914円)によると、大企業全産業の経常利益は07年度上期の前年比6.2%から下期
は-7.1%の減益になる見通しである。前回調査では下期-5.3%であったが、今回、下方修正され、07年度でも0.5%の減益になりそうだ。
米国景気が後退していることや資源高、円高等が進んでいることを考慮するならば、07
年度の企業業績は現状以上に悪化すると考えられる。収益悪化により大企業全産業の設備
投資(ソフトウェアと土地を除く)は07年度下期、前回調査の前年比12.9%から今回7.5%
に下方修正された。収益悪化が深刻になるにつれて、設備投資はさらに絞り込まれ、08年
度は大幅なマイナスになるであろう。
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