[レポート]週刊マーケットレター
出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org)「曽我純の週刊マーケットレター」より
週刊マーケットレター(08年4月7日週号、No.229)
2008年4月6日
曽我 純
図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html
■主要マーケット指標
■ 減益率拡大中の株価の行方
日経平均株価は前週末比3週連続のプラスだが、あくまでも一時的な戻しであり、近々、収益面から売り込まれる可能性が高い。株価を決める最大の材料である収益を株式市場は甘くみている。これから07年度の業績が発表されるが、下方修正されるだけでなく、08年度の収益見通しは、株式市場をさらに悲観的にさせることになるだろう。
企業収益は下振れしつつあり、どのあたりが底になるのか、まだそれを見極めることは
できない。特に、米国の不動産不況の根は深く、立ち直るには少なくとも数年は要し、そ
の間、世界経済に負の効果を及ぼし続けるだろう。不動産不況がマネー経済だけでなく、
実体経済にもあらわれている。3月の米非農業部門雇用者数は前月比8万人減と3ヵ月連
続の減少となり、米景気は後退しつつあるといってよいだろう。
07年の米実質GDPは前年比2.2%と3年連続の低下となったが、08年はゼロ前後まで低
迷するはずだ。マイナス成長になれば、91年以来、17年ぶりということになる。いずれ
にしても、08年の米国経済は不動産バブル崩壊の苦しみに喘ぎ、成長率は予想を超える悪
化をみせるだろう。当然、日本経済にもその影響はおよび、たどたどしい景気の足取りは
掬われ、企業業績は大幅に落ち込むように思う。
先週、3月調査の『短観』が公表されたが、大企業全産業の経常利益は07年度、前年比横ばいに下方修正された。07年度上期は前年比+6.5%だが、下期は前回12月調査の-2.5%
から-6.6%へと引き下げられた。実際の下期の決算数値は予想(-6.6%)よりも悪く、10%
程度落ち込み、07年度でも減益になるのではないだろうか。
『短観』によると、大企業製造業、非製造業の経常利益は07年度下期、前年比-5.2%、-
8.2%それぞれ減少する見通しである。非製造業は上期、1.9%の小幅増のため、下期の減益
を補いきれず、通期でも3.0%の減益が予想されている。売上高も上期の前年比5.4%から
下期には3.4%へ減速する計画だが、製造業の輸出は13.0%から5.5%へと大幅に低下し、元気のない内需を反映して非製造業の増収率も4.5%から2.4%に低下する見込みだ。売上高の伸び率の低下に、仕入価格判断(「上昇」−「下落」)が第2次石油危機以来の
高い水準に上昇したことが加わり、原価率は悪化、これにより収益は予想以上に減少した
と考えられる。この傾向は08年度入りしてからも変わりなく、企業収益を悪化させ続け
るだろう。
大企業からの値引き要請が厳しくなっているのか中堅、中小企業の経常利益は07年度下
期、前年比8.3%、10.2%それぞれ減少し、通期でもマイナスに陥ることになりそうだ。中
堅、中小企業の減益幅が拡大したため、07年度全規模全産業の経常利益は1.6%減と6年
ぶりの減益になる見通しである。
先週末の日経平均株価の株価収益率は07年度予想で14.75倍である。1株当たり利益が
前年比1.2%増加するとの予想に基づく。これさえも『短観』等の調査が何度も下方修正を
余儀なくされている事実から判断するならば、企業の予測は依然甘いと言わざるを得ない。
すでに08年度入りしていることから、現在の株価収益率は08年度の収益予想に基づい
て計算される必要がある。すでにみたように、米実質GDPと日本の企業収益との間には
高い相関性が認められており、米経済成長率が大幅にダウンしたときには、日本企業の収
益は悪化する傾向がある。たとえば、01年の米実質GDPは0.8%に急低下したのに対して、
日本の大企業営業利益は21.0%も減少した。
07年に2.2%に低下した米国経済は08年にはゼロ程度に落ち込み、対米依存度の高い企
業を中心に日本企業の収益は相当大きなダメージを受けるだろう。08年度の1株当たり利益が10%減、株価収益率を15倍と仮定すると、日経平均株価は1万2000円強となる。も
し1株当たり利益が01年度並み(20%減益)に減少すると、株価収益率15倍を満たす日
経平均株価は約1万円である。日本経済の成長性を感じることができない現実を反映させ
るならば、株価収益率は10倍程度に低下してもおかしくない。そうなると、現状の利益
水準でも1万円以下が妥当ということになる。
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