[レポート]「4月7日週の外国為替市場分析」(2)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株)石井 雅博 2008年4月7日付」より
●今週のポイント●
■ファンダメンタルズ
米景気悪化も市場では織り込み済みか、今週は日欧英の政策金利発表が主要関心事
先週は米3月ISM製造業景況指数の改善を受けて米景気への懸念が後退し、序盤は市場でドル買い・円売りが先行しドル/円が102円台へ大幅高となりました。その後は米雇用関連の指標を受けて一喜一憂する相場展開となり、バーナンキFRB議長が米景気後退リスクに言及したことや、週末の米雇用統計が8.0万人の減少と大幅な悪化を示すと、それまでの楽観的な見方が冷やされドル/円は101円台へ反落して引けとなりました。ただ株式市場ではすでに今月末のFOMCでの大幅利下げを織り込むに至り、欧州大手銀行で損失処理が進んだことも市場のリスク警戒感を後退させ、NYダウを始め各国株価は反発基調を維持。クロス円もユーロ/円が160円台を回復するなど強含みが続きました。米雇用統計が景気後退入りを強く示唆したにもかかわらず、ベアスターンズ・ショックが市場で巻き起こった先月下旬に比べて市場の反応は鈍いものでした。しかし来週15日以降米系銀行の決算ラッシュが本格化することを考えると、サブプライム問題が市場で完全に消化されるには、金融機関のサブプライム評価損の開示がさらに進展する必要があるようです。今週注目される米指標は多くはなく、8日の米2月中古住宅販売保留と先月18日分のFOMC議事録、そして10日の2月貿易収支が主要なイベントになります。先月0.75%の利下げを行ったFOMCではタカ派メンバーとされる2地区連銀総裁が大幅利下げに反対票を投じており、声明文では「インフレ見通しに不透明感が強まった」とインフレ懸念を示す言及がありました。今回の議事録では足元上昇傾向にあるインフレ動向についての見解などが注目されそうです。
ユーロ関連では10日の欧州中央銀行(ECB)理事会が注目材料です。先週のユーロ圏消費者物価指数(CPI)が前年比+3.5%と強い結果を示すなか、ECBが米英に協調して利下げに動く見込みは薄く、今回も4.00%に金利を据え置くと見られています。ただ景気面での減速や景況感の悪化が続いているため、トリシェECB総裁が会見でインフレ警戒の姿勢を維持することになるか注目されるでしょう。また週末のG7では事前に欧州当局から為替問題を議論するとの見解が示されており、対ドルで前年比20%近く上昇しているユーロの水準に関するけん制発言を警戒した神経質な展開になると思われます。一方英国ではユーロ圏と同様にインフレ圧力が強まる傾向にありながらも、本国住宅市場の悪化などを背景にユーロ圏以上に景気下振れリスクが懸念されているため、今回の英国金融政策委員会(MPC)で2月に続いて0.25%の利下げを行うと見られています。
また日銀政策金利発表が9日に予定されていますが、先週の日銀短観が予想外の悪化を示したにもかかわらず、市場での反応は限定的でした。日銀サイドでも短観の結果を想定内と受け止めている可能性があり、ただでさえ0.50%しか利下げ余地の狭い日銀が利下げへ方向転換することは考えにくい状況です。オセアニア圏では10日の豪州雇用統計が注目指標で、失業率はこれまで統計以来の最低水準で推移しており、豪州の堅調な雇用動向が示唆された場合、利上げ期待の増大から豪ドル/円への買いが集まるかもしれません。
●主要な経済指標とイベント●
4月7日(月)
【豪】2月貿易収支 (10:30)
【豪】2月住宅建設許可 (10:30)
【日】2月景気動向指数(速報値) (14:00)
【スイス】3月失業率 (14:45)
【独】2月鉱工業生産 (19:00)
【加】2月住宅建設許可 (21:30)
【米】2月消費者信用残高 (28:00)
4月8日(火)
【日】3月景気ウオッチャー調査 (14:00)
【加】3月住宅着工件数 (21:30)
【米】2月中古住宅販売保留 (23:00)
【米】FOMC議事録(3/18分)(27:00)
4月9日(水)
【日】日銀政策決定会合(8日〜)
【英】3月ネーションワイド消費者信頼感 (08:01)
【豪】4月ウェストパック消費者信頼感 (09:30)
【日】4月金融経済月報 (15:00)
【独】2月貿易収支 (15:00)
【独】2月経常収支 (15:00)
【英】2月製造業生産高 (17:30)
【英】2月鉱工業生産指数 (17:30)
【欧】第4四半期GDP(改定値)(18:00)
【米】2月卸売在庫 (23:00)
4月10日(木)
【日】3月マネーサプライM2+CD (08:50)
【日】2月貿易収支 (08:50)
【日】2月経常収支 (08:50)
【日】2月機械受注 (08:50)
【豪】3月新規雇用者数 (10:30)
【豪】3月失業率 (10:30)
【英】2月貿易収支 (17:30)
【英】BOE理事会 (20:00)
【欧】ECB理事会(総裁会見は21:30〜)(20:45)
【加】2月国際商品貿易 (21:30)
【米】2月貿易収支 (21:30)
【米】新規失業保険申請件数 (21:30)
【米】3月月次経常収支 (27:00)
4月11日(金)
G7財務相・中銀総裁会議(ワシントン)
【日】3月企業物価指数 (08:50)
【加】2月新築住宅価格指数 (21:30)
【米】3月輸入物価指数 (21:30)
【米】4月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(23:00)
■各通貨ごとの分析
アメリカドル/円 USD/JPY
100円台で上値の重かったドル/円は先週1日に2円以上急伸し3月12日以の102円台へ乗せました。ドル/円が1日に2円超上昇したのは、先月18日以来でこの1年のあいだでも2度しかなく、それだけにドル/円の強さを印象付けるものとなりました。週末に101円台へ反落したものの、21日移動平均線の100.52円を上回り強気が維持されています。上値は先週とどかなかった103円到達となるかがまずポイントですが、昨年12月高値から先月安値の下落分に対する38.2%戻しで先週ちょうど上値を抑えられており、102.90円前後がかなり重くなっています。また103円に乗せても昨年12月高値起点の下降トレンドが103円台を通るため、104円で上げ渋る展開が続くと調整リスクが強まるかもしれません。ただ下値も3月25日高値101.01円から21日線が通る100.50円付近が強いサポートゾーンになっており、また95-100円から100-105円へ明確にレンジを切り上げているため、下値での買い意欲は強いと見られます。今週の予想レンジは100.00-104.00円。
ユーロ/円 EUR/JPY
ユーロ/円もまた先週2月末以来の160円の大台へ大幅高となり、一時161円まで上値を拡大しました。また2月下旬に上値を抑えた90日移動平均線を突破し、26週移動平均線(160.25円)もすでに上抜いているため、今後中長期的な上昇トレンド形成へ向かうことになるか注目されるでしょう。上値の主な抵抗線は先週頭を抑えた200日移動平均線と13週ボリンジャー上限の重なる161.20円、2月27日高値161.39円そして162.00円の大台などですが、日足週足ですでにボリンジャー上限に接しているため、調整的な下落にも注意が必要になります。下値では160円の大台が先週後半のもみ合いを経て重要性を失っているため、90日移動平均線の159.20円が目先のサポートになると見られます。また3月20日安値を起点とする急勾配の上昇トレンドは、今週後半に160円台へ切り上がってくる模様。159-160円台で値固めする展開になるか注目したい。今週の予想レンジは158.50-163.00円。
英ポンド/円 GBP/JPY
ポンド/円は先月17日以来上値を抑えていた201.70円を突破して一時204円台まで回復し上昇転換の動きを明確にしてきました。上値では重要な抵抗線が射程圏内に入っており、一段の上昇となるか試される週となりそうです。上値はまず11月1日高値からの中期下降トレンドが差しかかる203円後半が目先の抵抗線で、204円に乗せてくると13週移動平均線や、2月14日高値→3月17日安値の61.8%戻しの重なる205.70-80円が次のターゲットに。上値メドとしては3月高値207.95円が意識されると思われます。一方下値はこれまで抵抗線となっていた201.80円がサポートとなるか試され、201円前後には先週突破してきた21日移動平均線が通ります。また3月17日安値を起点とした上昇トレンドは週半ばから後半にかけて200円台へ切り上がってくるため、200-202円台では底堅い展開となりそうです。今週の予想レンジは199.00-207.00円。
オーストラリアドル/円 AUD/JPY
豪ドル/円は2週大幅続伸となり、先週末の時点で95円手前まで2月下旬以来の高値を更新しました。RSIはまだ相場の過熱感を示しておらず、引き続き上値を追う展開が予想されますが、95円台では90日移動平均線と、2月28日→3月17日の61.8%戻しが重なる95.80円が手ごわい抵抗線になります。次のターゲットは97円前後になりますが、同水準も昨年高安値の半値水準であり、26週線も通るため戻り高値の達成感が出やすく注意が必要でしょう。一方下値は昨年94.30円が目先の強い支持線で、2月28日→3月17日の半値戻しと昨年高安の61.8%押し水準が重なる強いゾーンになります。また3月20日安値起点の上昇トレンドは、週後半に93円台へ上昇し豪ドル/円の下値を支えると見られます。今週の予想レンジは92.00-97.00円。
ニュージーランドドル/円 NZD/JPY
先週のNZドル/円は80円台に水準を切り上げるも、豪ドル/円に比べると落ち着いた伸びにとどまりました。ただNZドル/円は昨年8月以降の大きな三角持ち合いが崩れていないため、中心軸となる83円前後を目指す動きが今後も続く可能性があります。ただ上値は81-83円台に主要な抵抗線が並んでおり、上昇チャネル上限81.90円が目先の抵抗線で、また82円台では2月26日高値から3月17日安値に対する半値戻し(82.40円)やボリンジャーバンド上限(82.50円付近)が抵抗ゾーンに。83円を越えても同61.8%戻し水準と26週線が重なる83.70-90円が次の抵抗ゾーンになるため、83円後半まで上値の重さが意識される展開が続くかもしれません。一方下値では1日の急伸後、80円割れ水準が強い支持ゾーンになっており、21日移動平均線も80円前半を通ることから、80円前後では底堅い展開になりそうです。その他上昇トレンドラインは78円後半を、日足ボリンジャー下限が78円前後にあります。今週の予想レンジは78.50-83.50円。
カナダドル/円 CAD/JPY
加ドル/円は先月中旬に100円を割り込んでから95-100円の往来相場が続いていましたが、先週ようやく100円の大台を突破して、底値圏から離脱する動きを強めてきました。ただ先週は102円前後で上値が重くなっており、同水準を突破する勢いに乏しいと一時的な調整が入る可能性も。下値では再度の100円割れに注意が必要ですが、21日移動平均線などが並ぶ99円前半から半ばが強い支持ゾーンになります。一方上値は102-104円前半に主要抵抗線が並び、102円を突破すると2月26日→3月20日の半値戻し102.65円が次のターゲットに。また103円台も13週線(103.30円)や11月7日高値起点の下降トレンド(103.60円付近)が通過するなど強い上値抵抗を受けると思われます。今週の予想レンジは99.00-104.00円。
スイスフラン/円 CHF/JPY
先週もスイスフラン/円は大幅続伸となり、週末に101.66円の高値を示現し昨年高値101.82円に迫る場面がありました。5日移動平均線を引けで上回る強い展開が続いているため、今週は昨年7月13日高値を再び狙う展開になるか、上値トライの動きに注目したいところ。一方でボリンジャー上限水準にあることから調整リスクも高まっており、短期的なサポートの100.70-80円が破られると21日線(99.90円)付近まで下押しする可能性も。上値は101.82円を越えてくると昨年8月17日安値基準の上昇チャネルの上値抵抗線103.50円付近がターゲットになります。ただ1991年以来の高値圏となるため、高値警戒感の台頭に十分注意が必要でしょう。今週の予想レンジは99.50-102.50円。
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■次回は4月14日(月)更新予定です
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