[レポート]「4月14日週の外国為替市場分析」(2)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株)石井 雅博 2008年4月14日付」より
●今週のポイント●
■ファンダメンタルズ
今週から米銀行の決算ラッシュ、信用収縮懸念台頭ならドル安・円高加速か
先週は10日のシンガポール当局による金融引き締め政策や、翌11日の米GEの決算悪化見通しなどを受けて円高が急激に進行、NYダウも週末250ドル安で取引を終え、市場全体で急速にリスク許容度の低下が見られました。今週は米ベア・スターンズなど主要米系銀行の決算発表が予定されているため、信用収縮問題の拡大によって市場のリスク回避行動が一段と加速する恐れがあります。一方で大手銀行の資本増強策やFRBなど各国中銀の資金供給を背景に、信用収縮問題が峠を越したとの認識も強まりつつあるため、米系銀行の決算発表が市場の想定内であり、また追加的な資本増強計画など、金融破たん回避に向けた姿勢が合わせて示されることになれば市場の反応も限られてくるでしょう。決算発表後にアク抜け感が強まれば安心感からの円安・株高の動きも期待ができます。
先週のワシントンG7では各国当局者が為替問題の議論に多くの時間を割き、8年ぶりに為替に関する声明を大きく変更、主要通貨の急激な相場変動に懸念を表明し、暗に過度なドル安をけん制する内容となりました。G7声明を受けて週明け14日東京市場はドル買い・ユーロ売りで始まりましたが、ドル安へ誘導する具体的な策や行動については触れられていなかったため、同日午後には再びユーロを始め主要通貨に対してドルが売り込まれました。市場では米景気減速観測や金融不安を背景としたドル先安感がなお根強く、G7声明によってもドル相場安定に向けた根本的な解決には至らなかったようです。
今週は米金融機関の決算の他に米3月小売売上高や同消費者物価指数(CPI)などが発表予定で、米景気動向や月末のFOMCでの利下げ観測を左右する要因になります(14日発表の小売売上高は前月比+0.2%(予想±0.0%)と強い結果となりドル買いで反応)。先週のFOMC議事録ではFRBの関心がインフレ圧力よりも、金融市場の混乱や住宅市場の減速が米景気へ与える影響にあることが示されており、インフレ指標がある程度上振れても月末の利下げ観測への影響は限定的なものにとどまりそうです。ただ利下げ幅について市場では見方が分かれており、0.50%の大幅利下げをFRBがためらうと市場で受け取った場合、失望売りで株安・円高へ波及する可能性があるため注意したい。今週二つの住宅指標が発表になりますが、市場ではまだ米住宅市場の減速が続く見る向きが大勢であるため、こちらも大幅な悪化とならないかぎり株価や円相場への影響はかぎられそうです。ユーロ圏では4月独ZEW景況指数の動向が注目され、3ヶ月連続で改善を示すようだとドル売りユーロ買いの流れに拍車がかかるかもしれません。また英国では15日の消費者物価指数(CPI)と翌16日の失業率(失業保険申請件数)が注目材料ですが、イングランド銀行(BOE)はインフレ圧力の低下見通しを背景に利下げ政策を継続する見込みのため、インフレ指標や雇用統計が予想以下の結果を示すと利下げ観測からポンド売りが強まる可能性があるので注意が必要です。
■主要な経済指標とイベント
4月14日(月)
【NZ】2月小売売上高指数 (07:45)
【日】日銀金融政策決定会合議事要旨(3/6・7分)(08:50)
【英】3月生産者物価指数 (17:30)
【欧】2月鉱工業生産 (18:00)
【米】3月小売売上高 (21:30)
【米】2月企業在庫 (23:00)
4月15日(火)
ベア・スターンズ、ワシントン・ミューチュアル決算
【NZ】第1四半期消費者物価 (07:45)
【英】3月RICS住宅価格 (08:30)
【英】3月消費者物価指数 (17:30)
【英】3月小売物価指数 (17:30)
【英】2月DCLG住宅価格 (17:30)
【独】4月ZEW業況指数 (18:00)
【欧】4月ZEW業況指数 (18:00)
【米】3月生産者物価指数 (21:30)
【米】4月ニューヨーク連銀製造業景気指数 (21:30)
【米】2月対米証券投資(ネット長期TICフロー)(22:00)
4月16日(水)
JPモルガン・チェース決算発表
【豪】2月ウェストパック先行指数 (09:30)
【独】3月消費者物価指数 (15:00)
【英】3月失業保険申請件数 (17:30)
【英】3月失業率 (17:30)
【欧】3月消費者物価指数(確報値)(18:00)
【加】2月製造業出荷 (21:30)
【米】3月建設許可件数 (21:30)
【米】3月住宅着工件数 (21:30)
【米】3月消費者物価指数 (21:30)
【米】3月鉱工業生産 (22:15)
【米】3月設備稼働率 (22:15)
【米】地区連銀報告(ベージュブック)(27:00)
4月17日(木)
メリルリンチ決算発表
【日】2月鉱工業生産(確報値)(13:30)
【日】2月設備稼働率(確報値)(13:30)
【スイス】2月実質小売売上高 (16:15)
【欧】2月貿易収支 (18:00)
【加】3月消費者物価指数 (20:00)
【米】新規失業保険申請件数 (21:30)
【米】3月景気先行指数 (23:00)
【米】4月フィラデルフィア連銀景気指数 (25:00)
4月18日(金)
シティグループ、リーマンbros、G・サックス決算発表
【豪】第1四半期輸入物価指数 (10:30)
【日】3月消費者態度指数 (14:00)
【独】3月生産者物価指数 (15:00)
【英】3月マネーサプライM4(速報値)(17:30)
【欧】2月建設支出 (18:00)
【加】3月景気先行指数 (21:30)
【加】2月卸売売上高 (21:30)
■各通貨ごとの分析
アメリカドル/円 USD/JPY
先週もドル/円は強い上値抵抗線となった103円を突破できず、週後半からの急激なドル安展開で一時100.01円を示現しました。ただ短期的な上昇トレンドは維持されており、21日移動平均線も上回って引けているため、下降相場への転換はまだ示唆されておらず、今週も100-103円のレンジ内で方向感を探る展開が予想されます。下値では先月17日安値起点の上昇トレンドが週前半100円後半をサポートする形になり、先週末安値100.63円も21日線(100.60円)とともに支持線として意識されそうです。また10日に100.01円をつけてから急反発し、102円まで戻しているため、100円前後では買い戻し圧力が強いと見られますが、万一100円を割ってくると先月27日安値98.54円がターゲットになるため注意したい。一方上値は12月27日高値起点の下降トレンドが102円台に差しかかり、102.00-103.00円では上値が重い印象。それでも103円を突破するとレンジ相場上抜けによって、短期的にチャネル上限の104-105円を目指した動きが想定されてくるでしょう。今週の予想レンジは99.50-103.50円。
ユーロ/円 EUR/JPY
先週ユーロ/円は161.69円まで高値を更新したものの、週末にかけて上げ幅を縮小し、結果的に160円を割って159円半ばで引けとなりました。RSIなどオシレーター系指標がそろって低下傾向にあり、目先は調整がどこまで進むかが焦点になります。昨年8月以降、いったん160円を大きく割り込むと150-152円までオーバーシュートするパターンが続いているため、上昇を維持している21日移動平均線(157.80円)も下回ってくるようだと一段の下落を警戒する必要が出てくるかもしれません。下値は3月20日安値→先週8日高値基準の38.2%戻し157.90円や21日線が目先の支持線で、ここが破られると156円手前まで狙われる可能性も。一方13週ボリンジャー上限(160.70円)や26週線(160.00円)を2週連続引けで下回っているため、上値はドル/円同様重い印象で、今年に入って戻り高値を3度にわたって抑えられている161-162円前半を突破しないかぎり下落リスクが付きまとうことになりそうです。今週の予想レンジは157.00-162.00円。
英ポンド/円 GBP/JPY
先週のポンド/円は上値を徐々に切り下げる軟調な地合いが続き、10日に200円の大台を割り込むと198.05円まで下落。週末は21日移動平均線を下回り198円後半で取引を終えました。4日高値の205.09円から一時7円以上下落するなど、軟調な地合いが続いていますが、弱気相場へ移行したとみなすには、3月31日安値や直近高安値の半値押し水準が並ぶ197.00-30円ゾーンを破る必要があります。今週はポンド/円に上昇余地がまだ残されているかを探る展開となり、上値は200円前後に21日移動平均線や38.2%押し水準が位置するため、引けで200円を突破してくると202-203円を視野に入れた動きが出てくると見られます。ただ昨年12月27日高値から引かれた下降トレンドが202-203円台で上値を抑えるため、この中期トレンドを突破できるかが焦点になるでしょう。今週の予想レンジは197.00-204.00円。
オーストラリアドル/円 AUD/JPY
豪ドル/円は3月12日以来の高値95.75円をつけるも週後半にかけて大幅反落し、先々週終値と同水準の93.60円台まで押し戻されて引けとなりました。今週はこの下落局面が調整的なものにとどまるか、もしくは本格化な下落相場につながるか、方向性を見極める週になります。チャート上ではボリンジャー上限の96円手前へ到達後反転しているため、短期的に横ばい推移する21日移動平均線(92.30円付近)への調整が考えられます。引けで同線を下回ってくると調整色が一段と強まるので注意が必要です。92円台では92.00-92.50円のゾーンに、3月28日高値92.54円や21日線、3月17日安値→4月9日高値基準の半値押し水準が並び、豪ドル/円の下支えとなるか注目されるでしょう。一方上値は9日につけた高値がちょうど90日移動平均線、および2月28日高値→4月14日安値の61.8%戻し水準で抑えられていることから95円後半が引き続き強い上値抵抗ゾーンになり、目先は同半値戻し水準の94.30円がターゲットに。今週の予想レンジは91.50-96.50円。
ニュージーランドドル/円 NZD/JPY
NZドル/円は3月17日以来の高値82.08円をつけるも、ボリンジャー上限など主要抵抗線に上値を阻まれ、先々週終値レベルの80円前後へ反落して引けました。ただ3月17日基準のチャネルに沿った値動きが続いているため、ボリンジャーバンドとチャネルの下限が並ぶ79円前半が破られないかぎり、現状の緩やかな上昇トレンドが続く公算が高いといえます。一方で先週も2月26日高値→3月27日安値の38.2%戻し81.05円を週終値ベースで越えられなかったことから、81-83円台では強い上値抵抗が予想され、主要な抵抗線であるボリンジャー上限の82円前後、チャネルの上限の82円後半を突破できるかが上値のポイントになります。今週の予想レンジは78.50-83.50円。
カナダドル/円 CAD/JPY
他のクロス円に比べて加ドル/円は先週大きく下げ幅を拡大し、100円を大きく割り込んで前週より2円安の98円後半で取引を終えました。年初来安値の95.67円が射程圏内にあるため、当面は下値を探る動きに注意で、3月20日安値→4月7日高値の61.8%押し水準98.18円が目先の支持線。ここが破られると心理的な97円が試されますが、96円後半は3月20日以降のレンジ下限であり底堅い値動きが予想されます。また先週始めから上値を切り下げる軟調な地合いが続いているため、戻り局面では節目のポイントでの戻り売り圧力が強まると見られ、目先は21日移動平均線と3月20日安値→4月7日高値の半値押し水準が重なる99円前後や、100円の大台などが抵抗線になります。再び102円台を目指すためには少なくとも先週末高値100.54円を越える必要があるでしょう。今週の予想レンジは96.50-101.50円。
スイスフラン/円 CHF/JPY
スイスフラン/円は9日に昨年7月13日高値に迫る101.79円を示現、その後100.60-101.80円のレンジでもみ合いが続きましたが、週後半の円急騰を受けて100円後半へ反落、ほぼ先週の安値圏で引けとなりました。しかし先週も21日線を上回る強気を維持しており、101.82円の昨年高値を更新する可能性がまだ残されています。102円を突破すると1991年2月以来の高値圏となり、まず1月21日安値起点のチャネル上限102.40円がターゲットになります。一方下値は21日線の通る100.30円前後が強い支持線で、同水準が破られなければ100円台での定着を一層強めることになります。今週の予想レンジは99.50-102.50円。
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■次回は4月21日(月)更新予定です
※掲載内容は情報提供を目的としており、勧誘等を目的としたものではありませんので、お取引の最終判断はお客様ご自身の責任で行うようお願い致します。
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