[トピックス]原油相場に左右されないロシア資産
4月21日、原油相場は、終値ベースの最高値を更新し、初の117ドル/バレル台で取引を終えた。一夜明けた22日、記録更新された最高値をわずかに下回る価格で取引が開始された。ニューヨーク・マーカンタイル取引所の米国産標準油種(WTI)の5月渡しは117.48ドル/バレル、ロシア産輸出ブレント原油(REBCO)の先物は、108.27ドル/バレルを付けた。また、ロンドン国際石油取引所(ICE先物)における北海ブレント原油の先物は114.43ドル/バレルに達した。
原油高騰の背景には、ドル安の進行以外に、原油の供給不安を煽る地政学リスクがある。先週、ナイジェリアで、ロイヤル・ダッチ・シェルの運営するパイプラインが武装勢力によって襲撃された。ロイヤル・ダッチ・シェルは、フォースマジュール(不可抗力による出荷不履行)を宣言し、ナイジェリアにおける石油生産は中断している。同国南部のニジェールデルタ地域では、武装勢力ニジェール・デルタ解放運動によるパイプラインの破壊が繰り返されている。また、スコットランドの製油所は、北海沿岸で労働組合がストを計画していることを伝えている。
原油に対する需要は拡大の一途をたどっている。石油消費量でアメリカに次ぎ2位となっている中国の2008年3月における原油輸入量は、前年同期比25%増の日量407万バレルとなった。しかし、石油輸出国機構(OPEC)は、原油の高騰を抑制する目的での増産には消極的である。ヘリルOPEC議長は、原油在庫が豊富な状態で増産しても、原油相場に変化はないという見解を示している。
以前、産油国に対して増産を求めていた国際エネルギー機関(IEA)の田中事務局長も、20日から22日に開催されたローマの国際エネルギーフォーラムでは、こうした増産要請を控えた。同氏は、「産油国が現在の水準で生産を維持すれば、消費国の原油在庫は基準量を満たすだろう。そうすれば、市場のバランスはとれてくるだろう」と述べた。
イランのノザリ石油相及びOPECのアルバドリ事務局長を始めとする産油国は、原油高騰を招いたのはドル安との見解を示している。ノザリ石油相は、「ドル相場が下落するや否や、投資家は原料市場に投資先を移行した」と指摘する。
一方、Sobinbank分析部部長のRazuvaev氏は、原油相場の先行きに関して、100ドル/バレル或いはそれ以下の水準に戻る可能性があるとしている。それは、4月30日に開催される連邦公開市場委員会で、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が、政策金利の引き下げを実施しないことが前提である。しかし、政策金利の引き下げは実施される公算が大きい。
しかし、Razuvaev氏は、仮に政策金利が据え置かれれば、全体としてマクロ経済に肯定的な影響を与えることになり、ドル高及び原油価格の下落が見込まれるとしている。この場合、ロシア市場の下落が懸念されるが、Razuvaev氏は、下落したとしても、急激に反発し、RTS指数は最高値を記録するだろうと予測している。同氏は、「原油相場が90-100ドル/バレルで推移しても、ロシア資産は、投資先としての魅力を失うことはない」と強調している。
石油価格の高騰は、ロシアマクロ経済にはプラスに作用するだろうが、インフレを加速させるという点ではマイナスである。Sobinbankでは、鉱物資源採掘税の引き下げが予想されることから、ロスネフチ(ROSN)、ガスプロム(GASP)を始めとする石油ガス関連企業に対する関心は今後も維持されるだろうとしている。
アルファ・バンクのアナリストも同様の見解を示している。原油終値は、6営業日連続で最高値を更新し、44営業日で16回史上最高値を記録した。アルファ・バンクによると、ロシア企業は、石油価格の高騰に慣れてきている。原油相場が現在の水準に止まれば、ロシア企業株の成長が減速することはないだろうと予測される。

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