[レポート]「4月28日週の外国為替市場分析」(1)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株)石井 雅博 2008年4月28日付」より
●先週の概況●
序盤は欧州タカ派発言でドル弱含むも、FOMCの利下げ打ち止め観測受け週末再びドル/円が104円乗せ
先週21日月曜日はドル/円・クロス円とも前週の円売り地合いを引き継ぎ、小幅高で始まりますが、ロンドン時間予想を下回ったバンカメ決算を嫌気して株価が下落すると、市場でリスク回避の円買いが加速。特にBOEの不十分な支援策を失望した売りでポンド/円が4円以上急落。ドル/円も一瞬103円を割れる場面がありましたが、ダウ平均が決算悪化にも底堅く推移したため、NY中盤以降は円買いが一巡し小動きに。
週明けの東京時間は前週末の強いリスク志向を受け継いで朝方から円売りが活発化し、ドル/円が前週終値より30銭ほど高い104.04円で寄り付き、クロス円も同様に小幅高で取引を開始しました。しかし早朝の買いが一巡するとドル/円は104円手前で上値が重くなり103円後半へじり安で推移。一方クロス円は高値圏でもみ合いとなり、そのなかで豪ドル/円が午前に発表された豪州第1四半期生産者物価指数(PPI)の強い結果を受けて堅調に推移、午後には前週高値を越えて97.94円まで高値を更新しました。しかし夕方に入って、朝方発表された英住宅指標の伸びが大幅に縮小したことを蒸し返す売りでポンド /円が軟調に。その後イングランド銀行(BOE)が英銀行の所有する住宅担保証券と英国債を交換可能とする住宅金融支援策を発表しますが、事前に報道されていた内容とほぼ同じで新鮮味に欠ける上、米FRBの対策を模倣したにすぎないとの見方から、かえって市場の失望感を買う結果となり市場でポンド売りが殺到。英大手金融機関で巨額の資本増強が必要との報道も重石となり、ポンド/円は朝方の高値208円前後から大きく値を崩して205円台へ急落しました。ドル/円もポンド/円の下落につれて104円前後から103円前半へ反落、他のクロス円も円高傾向を強めますが、ユーロ/円はユーロ/ドルの急伸を受けて下げ幅が限定的で164円台前半で底堅い展開となりました。ロンドン市場中盤、いったんは円買いが落ち着いたものの、その後発表された米銀行バンク・オブ・アメリカの決算がサブプライム評価損の計上で大幅な収益減となったため、市場で再びリスク回避の円買いが加速、ドル/円が103円を割って102.97円の同日安値を示現した他、ユーロ/円も163.80円台まで下振れ、豪ドル/円も一時97円割れとなりました。NY時間序盤にユーロ/円がストップロスを行使して164.84円へ急反発する場面がありましたが、ダウがシティグループの格下げ報道や信用収縮懸念を背景に軟調に推移し、その後164円割れへ下落し行って来いに。ただダウが下げ渋ったため、NY中盤以降ポンド/円を除いて概ね円高が一服。ドル/円はロンドン時間につけた安値を下回ることなく 103円前半で底堅い値動きが続きました。
22日火曜日はユーロ主導の値動きとなり、NY時間にユーロ/ドルが米当局者の弱気発言とECB利上げ観測を受けて1.60ドルを示現。一方ドル/円は一時102円半ばへ下押ししますが103円割れでは底堅く、ダウが100ドル安となっても下値は限定的でした。
東京市場はドル/円が前日からの軟調な地合いを引き継ぎ、午前に103円を割り込んで102.70円台へ下落。日経が200円以上下げ、株価軟調の値動きが続くなか、クロス円も欧州通貨を中心に下げ基調が続き、ユーロ/円が164円を割って163円半ばへ反落した他、ポンド/円が203円前半へ大幅続落しました。午前に入ると円高がいったん落ち着きますが、夕方にドイツの金融機関を巡る信用不安でユーロ売りが強まり、ユーロ/円が一時163.26円まで安値を更新。しかし欧州当局者によるインフレ警戒発言や、独銀行が先の報道を否定したことを受けて、市場はユーロ買いへ反転。ユーロ/円は164円台へ急反発し、164円後半まで上値を拡大しました。ポンド/円も英銀行大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの評価損見通しが市場の予想範囲内であったことや、「イングランド銀行(BOE)は物価安定に照準を合わせるべき」との英政策委員のタカ派的発言を受け、203.32円の安値から大幅反発し205 円台へ上昇しました。一方ドル/円の値動きは限定的で103円前半でもみ合いとなり、他のクロス円はユーロ/円の上昇につれる形でじり高推移となりました。NY時間はカナダ銀行(BOC)が政策金利を0.50%引き下げ3.00%に決定。声明でさらなる緩和政策が必要と言及したため、加ドル/円が一時 101円後半へ下振れしますが、下押しは限定的で原油高もあって102円前半で底堅い展開に。そして米3月中古住宅販売件数は市場予想を若干上回り、発表後ドル/円が103.53円の高値を示現しますが、フィッシャー・ダラス連銀総裁が今年4-6月の成長が1-3月分を下回ると発言すると高値から反落、さらに市場で「次回の欧州中央銀行(ECB)会合で利下げもありうる」との欧州関係者の発言が報じられるとユーロ/ドルが史上最高値の1.60ドル台へ上昇、ドル/円は前週末のシティグループ決算発表前の水準102.66円まで一時売り込まれました。またNYダウは前月比で再び減少した米中古住宅販売件数や原油相場の高騰を嫌気して100ドル以上下落し、NY中盤以降ドル/円・クロス円は上値の重い展開に。ただドル/円は103円割れ水準で底堅く推移し、 103円前後の水準を維持しました。
23日水曜日はオセアニア通貨が買われた一方で、欧州通貨の売りが目立ち、ユーロ/円は欧州当局者の口先介入やドイツの景況感悪化観測を背景に一時 163円後半へ下げ幅を拡大。一方ドルが主要通貨に対して幅広く買われたことから、ドル/円がNY時間以降強含みで推移し、底堅い株価動向にも支えられ 103円後半へ上値を切り上げました。
東京時間は強い指標結果を受けてオセアニア通貨が強含みで推移。午前発表の豪第1四半期CPIが予想を上回り、豪ドル/円は上げ幅を1円以上拡大して、午後には98円台へ上昇。NZドル/円もつれ高となって82円後半へ急伸しました。一方ドル/円は材料難から103円前後でもみ合いとなり、オセアニア通貨を除くと全体的に小動きが継続。しかし海外時間になると欧州通貨を中心に荒っぽい値動きとなり、「現在のユーロ相場はG7の声明で意図したものではない」とのユンケル・ユーログループ議長発言が伝えられる一方で、ユーロ圏サービス業PMIと同製造業受注が強い結果を示し、ユーロ/円は164円半ばをはさんで上下動する展開に。またイングランド銀行(BOE)議事録では、今月の利下げ決定の際、2人のメンバーが利下げ反対票を投じていたことが明らかとなり、早期の追加利下げ観測が後退し、ポンド/円が206円台へ1円近く急伸しました。しかしその後金融保証会社(モノライン)大手、米アムバックの決算が市場予想を大幅に下回る結果となったため、株価が反落し市場でリスク回避の円買いが再燃。ポンド/円が204円前半へ急反落した他、海外市場序盤まで堅調だった豪ドル/円も98円を割って97円半ばへ下落、また加ドル/円はカナダ2月小売売上高が前月比マイナスへ弱含み、高値から1円以上下落し一時101 円割れとなりました。さらにNY序盤、ドイツ経済との相関性が高いベルギーの景況指数が大幅な悪化を示したことから、翌日発表される独Ifo景況指数が大きく下振れるとの思惑が強まり、ロンドン時間に164.95円まで高値を更新していたユーロ/円が163.78円まで大幅反落、その反面ドル/円は対欧州通貨での買いに支援されNY序盤103円後半へ反発。ダウが全体的に底堅い企業決算を好感して100ドル高を示現すると103.77円まで高値を更新しました。クロス円もドル/円に引っ張られる形で豪ドル/円が再び98円台を回復し、ユーロ/円も164円半ばへ切り返し、NY時間には円買いが一服、概ね底堅い値動きが続きました。
24日木曜日は強い米雇用指数などを受けてドルが主要通貨に対して続伸し、ドル/円は104円台へ上昇。一方ユーロ/円は弱い独Ifo景況指数や相次ぐ欧州当局者のけん制発言で2日続落し前週18日以来の162円台へ。
早朝オセアニア時間、NZ準備銀行(RBNZ)は政策金利を8.25%に据え置きとしました。しかし声明でNZ経済の下振れリスクが示唆されたため、 NZドル/円が82円前後へ急落。東京時間は手がかり難から小動きが続いていましたが、午前に中国当局が印紙税率の引き下げによる支援策を発表すると上海総合株価が9%超上昇し、リスク志向のドル買いを受けてドル/円が103円後半へじり高推移。一方クロス円は午前やや円高が先行し、ユーロ/円が164円を割る場面があったものの、ドル/円の上昇につれて概ね反発へ。しかし海外時間に注目された独4月Ifo景況指数は、前日のベルギー景況感指数の悪化が示唆した通り市場予想を下回り、市場でユーロ売りが殺到。主要通貨に対して幅広く売り込まれユーロ/円が164円を大きく割り込み、一時162.87円まで安値を更新。一方ポンド/円は英3月小売売上高指数が前月比で予想を下回るも、前年比では伸び率が上昇し、前回の結果も上方修正されたため下落は限定的でした。ドル/円は対ユーロでの急騰を受けて103.93円まで上昇、ただユーロ/円の大幅下落につれて徐々に円高へ振れ、その後103.30円台へ値を下げ、ポンド/円も前日安値に迫る204.12円まで安値を更新しました。しかしNY入りに発表された米新規失業保険申請件数が前回の37.5万件から 34.2万件へ大幅な改善を示し、FRBの利下げ継続観測が後退したため市場でドル買いが再燃。また耐久財受注は総合指数が弱含んだものの、輸送機器を除くコア指数が予想を上回りドル買いをサポート、ドル/円は21日以来の104円台へ上昇しました。続いて発表された米新築住宅販売件数が市場予想を大きく下回る悪化を示したため、ドル/円は一時103.74円へ下振れしますが下落は一時的で、相次ぐ欧州当局者のユーロ高けん制発言――サルコジ仏大統領「ユーロは信じがたいほど高水準」、トリシェECB総裁「急激な相場変動を懸念」、グロース独経済技術相「ECBはユーロ高に招く政策を採るべきでない」 ――を受けて再びユーロが弱含み、ドル/円はすぐに104円台を回復。NY中盤は米メリルリンチの配当額据え置きを好感して金融株が上昇し、ダウが100 ドル高を示現。市場で引き続きリスク志向のドル高・円安が進行し、ドル/円はNY時間104.53円まで高値を更新しました。ユーロ/円も安値からじりじりと戻して163円後半へ上昇、ポンド/円は206円台へ安値から2円以上大幅反発。しかし原油など商品相場の大幅反落を受けてオセアニア通貨や加ドル/ 円など資源国通貨は伸び悩み、豪ドル/円は98円前後でのもみ合いに終始しました。
先週末25日金曜日もドル買い基調続きドル/円が週高値を104.81円まで更新、海外時間は弱いミシガン大学消費者信頼感や地政学的リスクを背景に 104円を割り込む場面があったものの、ダウが金融株の上昇に支えられ底堅い展開となったため104円台へ反発して取引を終了。一方ユーロ/円やオセアニア通貨は米国との金利差の思惑で売られ、ユーロ/円は162円後半へ下落して引けました。
東京時間は典型的な週末相場で、ドル/円は104円前半でこう着した展開。一方ユーロ/円は前日急落した水準から1円近く戻し163.80円まで上昇するも昼前から軟調な値動きになり、欧州序盤に市場でドル買いユーロ売りが再燃すると、ユーロ/ドルのつれ安となって下落。163円を割り込むと 162.63円まで安値を大幅に更新しました。また米金利先安感の後退でオセアニア通貨などの高金利通貨に売りが殺到し、豪ドル/円が98円前後から97 円前半へ大幅下落。一方でドルやポンドなどこれまで金利先安感の強かった通貨に買いが集まり、ドル/円は対ユーロ、対オセアニア通貨での全面ドル高を受けて104円後半へ上値を拡大し、先週18日高値を越えて104.81円を示現。またポンド/円は英第1四半期GDP速報値が市場の予測内にとどまったものの、対ユーロでの上昇に支援され21日以来の207円台へ急騰しました。ただ市場のドル買いは一時的でドル/円は高値後、NY序盤にかけ上げ幅を縮小、ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値が速報値を下回った他、米海軍がイラン国籍の船舶に威嚇射撃を行ったとの報道が入ると地政学的リスクを意識したドル売りが入り、NY中盤に104円を割って103.88円の同日安値をつける場面がありました。NYダウは予想を下回った米マイクロソフトの第2四半期業績見通しなどを受けて100ドル以上落ち込むも、金融株を中心に下げ渋りその後前日比プラス圏へ回復。ドル/円も株価の持ち直しや米債券の利回り上昇を受けて再び104円台を回復し、104円半ばへ戻した後、前週比89円高の104.40円で取引を終えました。その他オセアニア通貨は引けにかけて若干戻すもほぼ安値圏で引けとなり、ユーロ/円も162円後半で取引を終了しています。
なお他の通貨の先週終値は
ユーロ/円162.78円(前週比1.12円安)
ポンド/円206.96円(前週比0.14円高)
豪ドル/円97.26円(前週比0.41円高)
NZドル/円81.48円(前週比0.51円安)
加ドル/円102.70円(前週比0.44円安)
スイスフラン/円100.70円(前週比1.04円安)となっています。
●先週の主な要人発言
4月21日(月)
「BOEの流動性対策の上限は設定していない、500億ポンド超える可能性」
--------------キング・イングランド銀行(BOE)総裁
「ECBに利下げの余地はない」
--------------リープシャー・オーストリア中銀総裁
「ドルは依然として外貨準備通貨の支配的な地位を占める」
--------------ノワイエ仏中銀総裁
「ECBは常にインフレに対し行動する用意がある」
--------------トリシェECB総裁
4月22日(火)
「流動性対策によって、BOEは物価安定に照準を合わせることが可能」
--------------ベズリー英国金融政策委員
「今後一層の金融緩和が必要となる可能性」
--------------カナダ銀行(BOC)声明
「経済成長の停滞が長引く可能性がある」
--------------フィッシャー・ダラス連銀総裁
4月23日(水)
「(今回の)強い消費者物価指数(CPI)はインフレ圧力が経済の広範にわたっていることを示唆」
--------------スワン豪財務相
「最近のユーロ相場は懸念すべき水準」
--------------ジュイエ仏欧州問題担当閣外相
「カナダ銀行は追加利下げの余地がある」
--------------フレアティ・カナダ財務相
4月24日(木)
「NZ経済は予想以上に減速」
「政策金利をしばらく据え置く必要がある(前回の「かなりの期間」が削除された)」
--------------NZ準備銀行(RBNZ)
「為替市場に急激な変動が見られた」
--------------トリシェECB総裁
「ユーロは信じられない水準に上昇した」
--------------サルコジ仏大統領
4月25日(金)
「ECBはユーロ高に招く政策を採るべきでない」
--------------グロース独経済技術相
「ユーロ圏のインフレ水準は容認できない」
--------------スマギECB専務理事
「現行の金利水準は物価安定に依然として適切」
--------------ロート・スイス国立銀行総裁
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