[トピックス]ロシア、税負担軽減による石油問題の打開か
今年5月のロシア市場ではいつもと異なる現象が起きている。このような状況を作り出している要因には、世界市場に対する投資家の信用が回復しつつあることや、ルーブル建て銘柄の流動性上昇、また新政府の発足など様々なものがあるが、いずれが影響しているかは別として、5月における市場の上昇は2002年以来最高であることは事実である。
メトロポールの投資コンサルタントElena Chernoletskaya氏は、相次ぐ肯定的なニュースは主に「優良株」に影響していると言っている。プーチン首相が鉱物資源採掘税の引き下げを約束したことで投資家の間にはさらに楽観ムードが漂っている。アナリストは、プーチン氏の発言を受け、石油・ガス関連の株式価格が急騰しただけであり、アナリストによる石油企業の再評価は先のことになる。減税により石油ガス部門をめぐる状況が変化すれば、ロシアの石油採掘部門全体に対する評価が世界規模で見直されるかもしれないとFINAMの戦略家Vladimir Sergievsky氏は言う。
最近の経済発展貿易省のデータによれば、2008年第1四半期の石油採掘量は前年同期比0.2%減少の1億2100万トンである。今年3月の石油採掘量は前年同期比1.7%減少した。すなわち、前年同期に比べて2008年第1四半期の石油採掘量は減少しており、この傾向は大部分の石油採掘会社で見られる。同省は「採掘量低下の主な原因は、現在稼動している産地の採掘量の低さと新産地の開発の遅れだけではない。他の要因として、世界的に石油価格が上昇する中、重税のために採掘意欲が低下していることが挙げられる」としている。「ロシア連邦政府は重過ぎる税負担が同部門の成長を妨げていることを認めた。また政府高官も近い将来に税制改革を行う必要性について注目すべき発表を行った。」とUniCredit AtonのArtyom Konchin氏は言う。
石油採掘量の低下傾向は数年前に始まった。2003年ロシアは石油採掘量に関して約11%の増加率を見せたが、その後採掘量は急速に減少し、2007年には石油採掘量は2%しか増加しなかった。「この採掘量増加は主にサハリン沖プロジェクトによるものである。」とAntantaPioglobalのTimur Khairullin氏は言う。西シベリアの内陸産地の採掘は産地の枯渇や重税などにより停滞している。今年もロシアにおける石油採掘量は減少する見込みで、個々の企業では5%ほど減少する見込みである。
しかし、経済的観点からすると今年のうちに減税が行われることはないであろう。だが、新政府の発足によりこの問題が極めて早急に解決される可能性も出てきた。新副首相のSergei Sobyanin氏は2007年に大統領府に移管するまではロシア最大規模の産地が集中するチュメニ州の知事であった。このため、同氏は大手石油会社に太いパイプを持っているとArtyom Konchin氏は述べている。「これらのニュースは石油部門にとって肯定的である。なぜならばこのように高いレベルの政治的支援があれば、減税に関する決定が早期化することが考えられるからである。」
一方で、一部のアナリストは減税により石油部門の現状況が改善されると考えていない。「AntanataPioglobalは、新しい税制(非課税対象の拡大)が導入されても、状況が大幅に変わることはなく、もっともよい場合でも採掘量がわずかに増加するだけであろう考えている」とTimur Khaiullin氏は言う。
専門家の試算では、石油採掘税の引き下げによって石油会社は約40億ドルを節約し、予想時価総額を上げることができる。また、現在、検討されている輸出税の多様化によって、高度に統合されている企業の予想価格は引き上げられるであろう。UniCredit Atonは「輸出税の多様化による影響は現在のところ石油会社の価格評価に反映していないが、今後さらに7-11%の増加が見込まれる。」と予想している。

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