[トピックス]メドベージェフ新大統領主導の中小企業対策
5月14日、メドベージェフ大統領は、中小企業を対象とした行政手続き等の簡素化を謳った法令にサインした。こうした措置によって、ロシアにおける企業活動の発展は促進されるだろう。しかし、実際に効果が現れるか否かは、こうした対策がどの程度実現されるかにかかっている。
官僚や経済学者は、中小企業の発展がロシアにおけるもっとも重要な課題であると口を揃えて指摘している。B.I.N.BANKのアナリストであるBelashov氏は、中小企業の発展が国内経済の要であると考えている。同氏は、「今後、石油価格の下落等によって世界的金融危機が発生した場合、ロシア経済を支えるのは中小企業である」と言及する。
しかし、中小企業の発展過程には、種々の障害が予想される。Belashov氏は、中業企業にとって、税制負担の緩和、或いは事業をダイナミックに発展させ、事業基盤を確立する上で形式的諸手続きの簡素化を図ることは非常に重要であると考えている。
大統領令によると、今後、税務監査以外の監査が3年毎以上の頻度で実施されることはなくなり、行政機関による臨時監査も検察庁の許可が必要となる。しかし、事業者は、こうした措置に対して懐疑的な見方をしている。事業者が疑問視しているのは、監査等が簡素化された場合、消防士、或いは保健衛生士、警察官等はどこから収入を得るのかということである。事業者側は、行政諸機関が頻繁な監査を自粛することはないのではないかと考えている。投資銀行TRUSTの主任エコノミストであるNadorshin氏も、事業者側と同様の見解を示している。同氏は、監査に関して、実施する側と受ける側で届出をしていない場合が多いことからすると、公式的な監査の削減が、即、行政的負担の緩和とはならないだろうと考えている。
また、事業者にとって、それ以上に重要な問題は、毎年急激に上昇している商業施設の賃貸料が大きな負担となっていることである。これに関しては、中小企業向けに、行政側が長期的に低料金で物件を提供する支援対策が取られる予定である。賃貸期間が3年を超える場合、貸借人は、競売を通さず、分割払いで物件の購入が可能となる。
ロシア政府による一連の中小企業対策の中で、事業者側がもっとも評価しているのは、1996年に導入された税制の緩和である。事業者側は、税制の緩和こそが、中小企業を破綻から救う唯一の手立てであると考えている。しかし、周知のように、大企業が企業を分割して、中小企業向けに緩和された税制の適用を図る事例が頻繁に起きている。ロシア財務省は、制限枠を設けてこうした抜け道を塞ぐ対策を実施するとしている。今後は、業種別に収益及び資産価値の基準が決定される見通しである。一方、中小企業は、現行の税制が改定されることによって、現在でさえ、把握することの困難な税制体系が、より複雑化するのではないかと危惧している。
メドベージェフ大統領は、中小企業の数を増加させる目的で、登記手続きの簡素化を実施し、事業の種類にもよるが、保険に加入することで営業許可証の取得を免除する方針である。メドベージェフ大統領は、中小企業支援策を拡充することによって、2020年までに労働力人口の70%、すなわち、およそ5000万人が事業活動に従事することを計画している。
事業者は、現在、モスクワに商業拠点を開設することは非常に困難であると述べている。激しい競争を避けたいと願うロシアの中流階層は、大企業に勤務することを選んでいる。社会調査期間の情報によると、ロシアの被雇用者の割合は、就業者の95%とヨーロッパ中、第1位である。また、ロシア国家統計局のデータによると、収益全体のうち、事業活動による収益は、この8年間で、15%から10%に減少している。これは、中小企業が発展する条件が整っていないことを示している。
しかし、実業家やアナリストは、メドベージェフ大統領主導の中小企業対策が実現化されれば、ロシア経済にとって大きなプラスとなるだろうと期待している。

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