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[レポート]週刊マーケットレター

2008年05月19日 07:01更新 前の記事 次の記事  コラム・経済情勢一覧
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出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org
週刊マーケットレター(08年5月19日週号、No.233)
2008年5月18日
曽我 純 

■主要マーケット指標

■ 需要低迷で米消費者物価落ち着く
原油価格は週末ベースで過去最高を更新、前年比では約2倍に上昇した。CRB指数も過
去最高値近辺にあり、世界的な資源高は青天井の様相を呈している。しかも、OECD景気
先行指数が示すように、世界景気減速のさ中の上昇というこれまでの経済法則が通用しな
い値上りである。

世界的に消費者物価が安定していることが、資源高を長期間持続させていると考えられる。今後、消費者物価が急上昇し、その過程で需要が大幅に落ち込み、原油価格が暴落するのか、世界景気悪化の進行で需要が減少し、消費者物価の急激な上昇をみることなく原油高が崩れていくのか、というシナリオが描かれるが、日米の原油輸入量が減少していることなどから判断すれば、今後の成り行きは後者のシナリオに沿うように思う。

OECD景気先行指数は3月、前月比-0.5%と7ヵ月連続の前月比減となり、世界景気は冴
えない。世界景気が悪化しつつあるにもかかわらず、原油価格は上昇傾向を強めている。
が、4月の米消費者物価指数のコア(食品・エネルギーを除く)は前年比2.3%と前月より0.1ポイント低下した。エネルギー関連は上昇しているが、耐久消費財等の価格低下で全体的には落ち着いているといえる。

前号でも指摘したように労働コストの伸び率鈍化のほかに、設備稼働率も4月、79.7%
と05年9月以来2年5ヵ月ぶりの低い水準に低下し、供給面からのインフレ圧力は低下
している。鉱工業生産指数も前年を0.2%上回っているに過ぎず、マイナスに転落するのは時間の問題だ(ハイテクを除く生産は前年比-2.1%)。自動車販売の不振で自動車・同部品の生産は4月、前月比8.2%も落ち込み、前年では16.8%も減少した。住宅不況により建設資材や家具等も5.1%、11.0%それぞれ減少しており、早晩、投資財も前年割れとなるだろう。住宅と自動車の裾野の広い部門が不振を極めていることは、物価にも当然ネガティブに作用するだろう。需要の不振が原油高による物価上昇圧力を封じ込めているように思える。


■ マイナス成長に陥った日本経済
日本経済は水面下に落ち込んだ。1−3月期の名目GDPは前年比-0.4%と03年7‐9月期以来、4年半ぶりマイナス成長になった。うるう年を加味すれば-1.5%となり、02年4‐6月期以来の深刻な落ち込みとなり、日本経済は米国以上に酷い状態にあることを証明した。四半期ベースでの米名目GDPの前年比マイナスは、50年前の1958年まで遡らなければならない。これほど米国では稀なことが、日本では90年代後半以降しばしばみられ、年度ベースでも過去10年間で4回もマイナス成長を記録している。07年度は0.6%と06年度から1.1ポイントも低下した。07年度までの5年間の平均成長率は1.0%であり、景気は拡大しているとはいえ、とてもそうしたことを国民が実感できたとはいえない。

米国同様、日本も住宅と自動車の販売が低迷しており、これが景気悪化の原因になって
いる。1‐3月期の住宅は引き続き2桁減となり、好調を維持していた設備投資も2.2%減
と03年1‐3月期以来5年ぶりの前年割れとなった。4‐6月期の「機械受注見通し」
によると、船舶・電力を除く民需は前年を下回る可能性が高く、また鉱工業生産の資本財
出荷(輸送機器を除く)は3月、前年比3.1%減となるなど、先行き設備投資は絞り込まれる可能性が高い。

1‐3月期のGDPデフレーターは前年比1.4%下落したが、最終消費支出は0.3%と10
年ぶりのプラスとなった。ただ不振の住宅は1.1%と07年4‐6月期の2.6%をピークに3
四半期連続の伸び率低下となったほか、設備投資も0.2%と前期と同じ伸びにととまるなど、物価を鎮める要因もある。

消費者物価指数のウエイトの約半分を占めるサービスが落ち着いていることも、物価安
定に寄与している。企業向けサービス価格は1‐3月期、前年比0.5%と前期よりも伸び率
は0.9ポイントも低下し、企業活動が弱くなっていることを示唆している。成長率がマイナスになり、需要が弱いことから原材料価格の上昇を製品価格に転嫁することが難しく、交易条件は悪化しつつある。特に、中小企業はその影響を受けやすく、商工中金によれば、景況感や採算状況は02年前半以来の水準に落ち込み、中小企業の経営状態はまさに不況下にあるといえる。

マスコミなどは、1‐3月期の実質GDPは前期比年率3.3%成長したと報じた。日本の
成長率は米やユーロ圏よりも高い。これほど成長しているのに、なぜ中小企業の景況感が
これほど悪いのだろうか。物価がマイナスとなり、その分実質ベースではGDPが嵩上げ
され実体経済を反映していないからだ。物価が下落しているときには、名目でみなければ
正しい判断はできない。3.3%成長に騙されてはならない。


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Gesell Research Society Japan
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