[レポート]「5月19日週の外国為替市場分析」(2)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株) 石井 雅博 2008年5月20日付」より
●今週のポイント●
■ファンダメンタルズ
今週はFOMC議事録が注目材料、利下げ休止観測にらんだ展開になるか
週明けからドル/円・クロス円の買い戻し優勢で始まった先週は、14日を前後して週高値をつけるも、ドル/円は週半ばから弱い米指標を受けて軟調に推移、週末に103円半ばまで下値を拡大しました。一方クロス円は概ね強く反発し、ユーロ/円が3円近く上昇した他、豪ドル/円や加ドル/円などの資源国通貨は原油相場の続伸に支援され、それぞれ大幅高で引けています。また12日に発生した中国四川省での大地震は為替・株式市場への影響が限定的なものにとどまり、先週の株式は日経やNYダウを始め大幅反発し円売りを支援しました。
先週の米指標は小売売上高や住宅指標が強かったものの、NY連銀製造業やミシガン大学消費者信頼感指数など悪化を示した指標も多く、米景気の先行き不透明感が依然としてドルの重石になっています。一方インフレ動向については米CPIの伸び率が総合指数・コア指数とも市場予想を下回り、市場でインフレ懸念の後退が好感される場面がありましたが、一方でFRB当局者からはさらなる金融緩和に否定的な発言が相次ぎ、来月FOMCでの利下げ打ち止め観測はそのまま引き継がれています。また英国では生産者物価指数(PPI)とCPIが予想以上の強い結果となり、14日の BOEインフレ報告でも高インフレの持続が予想され、来月6月の利下げ観測が大きく後退しています。しかしキングBOE総裁は先週住宅価格のさらなる下落に言及しており、英住宅市場の低迷を背景とした英景気減速懸念は根強いものがあります。ユーロに関しては先週の独・仏・ユーロ圏GDPが強含んだことや、無難な内容に終わった欧州金融機関決算、そして相関性の高い原油相場の最高値更新に支えられ対円・対ドルで堅調に推移しました。ただしユーロ圏経済成長が第2四半期に落ち込むとの欧州当局者発言がユーロ売り材料になり、ユーロ/円は163円を突破できず引けとなっています。
今週21日に発表されるFOMC議事録(4月29、30日分)は、同声明文で利下げ打ち止めが示唆されていたため、FRBのインフレ警戒色を一段と鮮明にする内容になるか注目されます。ただしインフレ圧力の増幅が必ずしもドル買いに結びつかず、英国同様にむしろ景気減速とインフレ圧力の並存が意識されると結果的に株価下落やドル売りを招く可能性があります。20日の米4月生産者物価指数(PPI)は、より注目されるCPIが先行して先週発表されているため、市場の反応も限定的になると見られますが、市場の予測範囲を大きく上回るインフレ圧力を示す場合には、折からのインフレ懸念を増大させることになりそうです。また米中古住宅販売件数は今年1月分でいったん底をつけてから横ばい状況が続いており、先週の米住宅着工件数の強い結果を受けて米住宅市場の底打ち期待が高まっているなか、中古住宅市場の改善傾向を示す内容となれば強いドル買い要因になると見られます。
その他の国では21日のBOE議事録が英6月利下げ観測を探る上で重視され、前回の金利据え置きが大多数の据え置き票によって決定されたことが明らかになる見込みです。ただ6月の利下げが見送られるとの見方が強まっても、深刻な景気減速リスクとインフレ圧力の台頭によるスタグフレーション懸念でポンド売りに市場が傾斜するリスクが少なからずあります。ユーロ圏では20日の独ZEW景況指数と翌21日の同Ifo景況指数が注目され、先行き悪化が懸念されるユーロ圏の景況感をめぐって一喜一憂する相場展開になりそうです。
主要な経済指標とイベント
5月20日(火)
【日】日銀政策決定会合(19日〜)
【日】3月景気動向指数(改定値)(14:00)
【独】4月生産者物価指数 (15:00)
【日】4月金融経済月報 (15:00)
【日】白川日銀総裁記者会見 (15:30)
【スイス】4月生産者・輸入価格 (16:15)
【独】5月ZEW業況指数 (18:00)
【欧】5月ZEW業況指数 (18:00)
【欧】3月建設支出 (18:00)
【加】3月卸売売上高 (21:30)
【米】4月生産者物価指数 (21:30)
5月21日(水)
【豪】3月ウェストパック先行指数 (09:30)
【独】5月Ifo景況指数(17:00)
【英】BOE議事録 (17:30)
【英】4月マネーサプライM4(速報値)(17:30)
【加】4月消費者物価指数 (20:00)
【加】4月景気先行指数 (21:30)
【米】FOMC議事録(4/29・30分)(27:00)
5月22日(木)
《 独 : 聖体節 》
【日】4月貿易収支(通関ベース)(08:50)
【英】4月小売売上高指数 (17:30)
【加】3月小売売上高 (21:30)
【米】新規失業保険申請件数 (21:30)
5月23日(金)
【日】日銀金融政策決定会合議事要旨(4/8・9分)(14:00)
【スイス】4月貿易収支 (15:15)
【英】第1四半期GDP・個人消費(改定値)(17:30)
【米】4月中古住宅販売件数 (23:00)
■各通貨ごとの分析
アメリカドル/円 USD/JPY
先週のドル/円は12日に102.56円をつけた後、14日に105円台へ急反発しますが、5月2日高値は突破できず週後半にかけて103.51円まで下落して引けました。先月下旬からの動きを見るかぎり102.50-105.70円のレンジ内に収まる持ち合い相場が続いており、ボリンジャーバンドも先週末102.90-105.40円のレンジに収縮。また21日・90日移動平均線も横ばいになり当面は持ち合った相場展開が予想されます。上値はボリンジャー上限の105円前半付近が引き続き強い上値抵抗線になります。下値は今週103.40円から週末104.00円へ切り上がる上昇トレンドラインや、先週末16日安値103.51円が目先のサポートに。ボリンジャーバンドの102.90円を大きく割ってくると、3月17日→5月2日までの上昇分に対する38.2%押し水準101.90円が狙われますが、同水準が支えとなる場合3月半ばからの上昇基調が続く見込みです。今週の予想レンジは102.50- 105.50円。
ユーロ/円 EUR/JPY
先週のユーロ/円は158.59円の安値から4円以上反発、5月7日以降の下落分を相殺する行って来い相場になりました。しかし162.93円の高値をつけてからは伸び悩み、163円を突破できずに162.28円で引けています。また21日移動平均線が通る162.20円前後が強い上値抵抗線になっており、同水準で上値を抑えられるとレンジ相場が意識され調整入りする可能性も。ただ下値は159.90円に26週線や直近高安値の38.2%押し水準があり、90日線(159.00円)や半値押し水準(158.30円)は下値メドとして意識されやすいでしょう。一方上値は4月23日と5月15日の高値をつないだ下降トレンドが今週162.70円から162.30円へ下降し、163円突破は容易ではなさそうですが、先週末時点で5日短期線が21日線を上抜け寸前であるなど上昇トレンドが継続する見込みが高く、21日線を引けで大きく上回れば163-165円へ上値を切り上げる展開が想定できそうです。今週の予想レンジは159.50-164.50円。
英ポンド/円 GBP/JPY
先々週9日に一時200円を割ったポンド/円は、先週大きく反発して205円手前まで買い戻されました。しかし上値をちょうど21日線に抑えられてから頭が重くなっており、今週は同線の通る204円後半を突破できるかどうかが目先のポイントになります。また205円を越えても90日線が205.70円付近に下降してくるため、同水準で上値が重くなるともみ合い相場をつくる可能性も。下値は3月17日と5月9日安値をつないだ緩やかなトレンドラインが今週 200.00円から201.60円へ切り上がる予定で、ボリンジャーバンド(201.50円)と合わせて堅い同水準を大きく下回らなければ上昇基調が継続する見込みです。今週の予想レンジは199.00-207.00円。
オーストラリアドル/円 AUD/JPY
豪ドル/円もまた先週は96円台から大幅反発し、週末に99.76円まで高値を更新する強い相場展開になりました。上値はやはり100円の大台突破が意識されますが、ボリンジャー上限に先週末の時点で到達し、達成感から調整が入りやすい水準でもあります。21日移動平均線が98.20円から98.80円へ切り上がる予定で下値が同水準で支えられるか、もしくはその下を通るトレンドライン(週明け97.50円→週末98.30円)で下げ止まるならば、 100円を目指した上昇相場が続く公算が高くなります。しかし97.50円を明確に下抜けると90日線の95.70円付近まで下落余地が拡大するため注意が必要です。上値は100円を越えてくると2月28日高値100.48円や週足ボリンジャー上限の101.60円が直近の抵抗線になりますが、100円台で値固めができれば昨年高値107.85円が視野に入ってくるでしょう。今週の予想レンジは97.00-102.00円。
ニュージーランドドル/円 NZD/JPY
先週のNZドル/円は前週比1.31円の上昇と、ほぼ全値戻しとなった豪ドル/円に比べて弱い反発にとどまりました。しかし先週引けで80円台を回復し、80円以下の水準での底堅さが示されています。今週は6日高値82.99円を目指した戻り相場が継続することになるか注目され、その途上にある21日線(81.10円)や90日線(82.00円)が主要な上値抵抗線になります。一方で先週16日高値80.84円が5月6日→5月9日下落分のほぼ半値戻し水準にあたることから、同水準で上げ渋ると戻り達成感が出やすく、81円へ乗せるまでは再度の下落局面入りに注意する必要があります。80円割れでは 15日安値79.12円が目先のサポートになり、79円を割っても78円後半に、3月17日と5月12日安値をつないだ新たなトレンドラインが通るため、 78円台が引き続き下値のメドとして意識されそうです。今週の予想レンジは78.50-83.00円。
カナダドル/円 CAD/JPY
先週の加ドル/円は前週終値比1.71円高の堅調な展開となるも、105円台が高値のメドとして意識され、14日に105.56円をつけるも週末には 104円前後へ押し戻されて引けとなりました。しかし21日線など主要な移動平均線を上回る強い地合いが続いており、先週上値を抑えた26週線(今週は 105.40円付近)を越えてくれば、中期的なターゲット107.50円(週足ボリンジャー上限)を目指した上昇も今後考えられます。一方下値は21日移動平均線が103.30円から103.80円へ切り上がる予定で、90日線も103円前半をサポートしています。4月21日週から引かれた上昇トレンドの 102.20円付近で支えられるならば現状の上昇トレンドが継続する見込みです。今週の予想レンジは102.00-107.50円。
スイスフラン/円 CHF/JPY
先週のスイスフラン/円は0.52円の小幅高の展開。一度は99.86円まで戻り高値を更新したものの、心理的な節目であり直近高安値(4月22日→5 月8日)の38.2%戻しと重なる100円の大台を突破できず99.36円で引けとなりました。21日線が依然下向きで、RSIも50%以下の水準にとどまるなど軟調な地合いが示唆されており、今週のスイスフラン/円は下値を模索する展開になるかもしれません。下値は今月8日安値98.24円や週足ボリンジャー下限の98.00円が目先のターゲットで、当面は98円割れの展開に注意が必要です。しかし98円台を維持するならば98.00-100.00円で持ち合い相場を形成する可能性も出てくるでしょう。上値は今週100.00円から99.60円へ切り下げてくる21日移動平均線が主要な抵抗線になり、同線を巡る攻防に注目したい。今週の予想レンジは98.00-100.50円。
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■次回は5月26日(月)更新予定です
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