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[コラム]「マイナス実質金利は増税と同じ」

2008年05月21日 12:44更新 mailメール

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出展:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「真野輝彦客員研究理事コラム 2008年5月21日付」より

 原油価格が125ドルを越え、食料、原材料の値上がりも続いている。しかも自動車向け鉄板価格の引上率が30%に決まったように、値上幅は二桁のものが多いのである。直近の消費者物価指数は1.2%だが、卸売物価は既に3.7%上昇しており、消費者物価が今後大幅に上昇することは疑いがない。その証拠に、長期金利(10年もの国債金利)は、昨年度末3月の1.275%から1.7%近辺にまで上昇している。

 一方、春闘による給与所得上昇率は1%程度にすぎない。Globalizationの浸透で、国内労働力と海外の安い労働力とが競合するからである。値上に見合う賃上げが伴わないため、家計の実質所得は減少しているのが現状である。

 この購買力減少に拍車をかけているのが、マイナスの実質金利である。日銀の市場誘導金利は0.5%であり、銀行の6ヶ月もののスーパー定期預金金利は0.27%である。貯蓄金利からインフレ率1.2%を差し引いた実質預金金利はマイナスであり、このことは預金が毎日目減りすることを意味する。

 逆に実質マイナス金利の最大の受益者は、総債務(借入金、政府短期証券を含む)が1,000兆円を越えている公的部門である。家計部門とは対照的に、借金が毎日実質的に減少するからである。実質マイナス金利は、貯蓄者の所得を公的部門に移転させ、消費や貯蓄に回しうる可処分所得を減少させる実質的増税なのである。
 
 道路財源問題、年金問題、防衛関係予算などの無駄使いの不満に加え、マイナス金利という実質増税が選挙民の不満に拍車をかけ、福田内閣支持率の急低下に繋がっている。政治のリーダシップが欠如する中で、通貨価値の安定維持が任務であり、独立性も保障されている日本銀行の責任は極めて重いのである。

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真野 輝彦(まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
   
  1956年 東京銀行入行。
  フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、
  丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
  1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
  1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
  1999年より現職
   
  日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
  国策研究会 評議委員会議長
  日本国際フォーラム 政策委員
  読売国際経済懇話会 特別会員
  International Club of Bank Economists会員
  国際通貨研究所 評議員
  聖学院大学・大学院 教授
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