[トピックス]ロシア観光分野の見通し
ロシアにとって観光分野は将来の社会的、経済的発展のためにもっとも優先すべき分野の1つである。5月22日に開催されたRIA-Novostiの会議において、連邦観光局のVladimir Strzhalkovsky局長が、ロシア連邦における2015年までの観光産業発展戦略(以下、2015年戦略)について話した。現在、国際的なサービス部門において、全世界的にもっとも成長が著しい分野は観光事業であり、ロシアも例外ではないと同氏は言う。
世界観光・旅行評議会の予想によると、2007年、ロシアにおける観光事業からの収入はGDPの6.7%であった。さらに、同評議会の資料によると、観光事業に従事しているのは全労働人口の1%で、関連事業を含めると5.7%であった。また、ロシアにおける観光産業への投資は総投資額の12.1%を占めた。
今日、ロシアの観光事業がその可能性を十分に発揮していると言うには程遠い。外国からの旅行者の出入り口になっているのは相変わらずモスクワとサンクトペテルブルグであり、旅行者の実に75%までがどちらかの都市から入国してくる。しかし、両都市の物価が急騰し、観光用のホテル数が減少したことから、ここ2-3年で外国人観光客の数は減少した。モスクワ市政府の計画では、2011年までに新たに353のホテルを建設する予定である。
観光産業の発展及びロシアの国際的なイメージ向上を鑑み、国際規模の行事が行われる場合は、国家元首がロシア入国に関するビザ制度を変更できるという法律が国会によって制定された。「そのような例は身近にある」とVladimir Strzhalkovsky氏は言う。今回サッカーのチャンピョンズリーグにおいて、イギリスのファンはロシア入国に際してビザが免除された。「このような措置がもたらした経済的、政治的効果がどれほど絶大なものであったかに関しては説明を要しないだろう」と同氏は言う。
昨年ロシアに入国した外国人の数は2300万人で、国内ホテルの宿泊回数は3500万回であった。今後の観光分野における発展を考えると、2015年までにこの数字はそれぞれ3500万人と4600万回になると考えられる。結果として、ホテルの有料サービス及び宿泊料から得られる収入は、現在の890億ルーブルから、2015年までに年間3700億ルーブルに達する可能性がある。
ロシアの観光事業を支えるのは、主に、文化・歴史及び自然遺産である。2015年戦略は観光事業の資本に対して、3兆ルーブルの投資を見込んでいる。連邦観光局長によると、うち3分の1は連邦予算から、一部は地方予算から支払われるが、投資額全体の50-60%は民間部門から調達される見込みである。Strzhalkovsky局長は、「今日、ロシアの観光事業に対しては民間から十分な投資が行われている。」と指摘する。さらに同氏は「今重要なのは観光産業を発展させたいという熱意なのである。」と付け加える。
残念ながら、地方政府関係者の中に観光産業を発展させたいという意欲を持っている者は少ない。「ロシアの小都市においては、観光ビジネスの発展問題は深刻な状況を呈している。モスクワ郊外の黄金の輪の各都市や、黒海沿岸のAnapa市及びGelendzhik市を例に取ってみよう。どの都市が観光に力を入れており、どの都市がそうでないかは一目瞭然である。」とStrzhalkovsky氏は嘆く。各都市が観光に力を注ぐようにするためには、観光開発に積極的でない為政者を権力の座から排除するしかない。また、現在連邦当局は中小企業のために良好な投資環境を作ろうと努力している。観光業界の大部分は中小企業であり、この方針が同分野を後押しするであろう。
一方、観光事業に刺激を与えるため、連邦観光局は観光目的で用いられる一連の輸入品(登山用ロープ、ケーブルカー、クルーズ客船、高級観光バスなど)に対する関税の撤廃を提案している。Strzhalkovsky氏は、「関税の撤廃は、国内で発展が遅れ、今後も発展の見通しが立っていない分野を優遇することにつながるであろう。」と強調している。
記者会見でStrzhalkovsky氏は、観光業者に対する金銭的な保証に関する法律に関しても述べた。社会活動家が同法律が一度も適用されなかったと非難しているのは筋違いである。「法律は機能している。支払いがなされなかったという申し立てが一件もないだけだ。」と同氏は言う。さらに、同氏は、何かとクレームをつけて補償を引き出そうとするいわゆる「プロの旅行者」の存在も指摘し、「そのため、効率と支払額は別問題である。」と述べた。
観光産業の発展がロシア国民にもたらすのは経済的効果だけでなく、社会的効果も少なくないということを指摘すべきであろう。まず、外国で休暇を過ごすことができない所得の低い人々が挙げられる。当局は、そのような人々に観光サービスを提供するため、アゾフ海沿岸に三ツ星ホテルを有する複合施設の建設を計画している。「アゾフ海はもっとも浅い海で、最深部も水深14メートルを越えない。このため海水は温まりやすく、冷めにくい。これは、観光シーズンが大幅に長期化することを意味している。」と連邦観光局長は言う。
発言の最後にVladimir Strzhalkovsky氏は、全体として、政府構造における行政機構の再編(5月12日、プーチン首相はスポーツ観光青少年政策省の発足を発表した)に満足していると語った。近い将来、スポーツ観光青少年政策省には観光に関する独立した官庁ができる予定で、大臣のVitaly Mutko氏の下には観光担当副大臣が置かれる。
2015年戦略を含む観光事業の主な指標:
07年 08年 12年 15年
ロシアに入国する外国人(人) 2290万 2510万 3150万 3500万-3600万
ホテル数 (軒) 6000 6700 10200 13000-14000
ホテル宿泊日数(日) 7800万 8710万 1億3182万 1億5600万
サービス料を含む宿泊料(ルーブル)889億 1075億6000万 2248億 3700億
投資(ルーブル) 7097億 9833億 2兆2782億 2兆8985億

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