[トピックス]ガスプロムVSアゼルバイジャン、市場獲得をめぐる「市場価格」設定
「ガスプロムは長期契約によりアゼルバイジャンのガスを市場価格で買取る用意がある」アゼルバイジャンを訪問中のガスプロムCEOミレル氏は、同国のAliev大統領にこのような提案を行った。双方は石油・ガス産業分野における協力関係の発展についても討議した。「アゼルバイジャンはCIS諸国における一大炭化水素生産国であり、ロシアと同等な利権をもっています。両国はすでにガス輸送パイプで繋がっている。ガスプロムはエネルギー分野において、アゼルバイジャンと双方にとって有益な協力関係を築いていきたいと考えている」とミレル氏は語った。
以前はガスプロム自身がアゼルバイジャンにガスの供給を行っていた。供給量は徐々に減少し、2007年に同社がガス供給価格を2倍以上(110ドル/から235ドル/1000立方メートル)に引き上げてからは、供給は完全にストップした。同社の公式見解によると、アゼルバイジャンは国内需要を満たすだけでなく、グルジアなど外国にも輸出可能なほど充分なガスを保有している。
現在、アゼルバイジャンのガス埋蔵量は約1兆5000億立方メートルとされており、その大部分はカスピ海アゼルバイジャン海域の陸棚に位置するShakh-Denisガス田に集中している。2007年同ガス田における採掘量は37億6000万立方メートルで、2008年は70億2000万立方メートルの採掘が見込まれている。2009年には、85億2000万立方メートルが採掘される予定である。なお、これは同ガス田採掘に関する第1計画段階の最大計画採掘量86億立方メートルにほぼ匹敵する。2010年-2011年には同ガス田開発の第1段階がピークに達し、86億1000万立方メートルの採掘が計画されている。その後のガス採掘第2段階においては、年間160億立方メートルの採掘が計画されている。
SobinbankアナリストのAlexander Razuvaev氏とMikhail Zanozin氏は、「現時点で、アゼルバイジャンにおいて採掘されるガスは年間100億-110億立方メートルで、国内需要を充足させる量にとどまっている。しかし、Shakh-Denis油田の採掘が進めば、アゼルバイジャンはNabuccoパイプラインを含むガス輸出も可能になる」とし、ミレル氏の提案を予防措置としてみている。両氏は続けて「ガスプロムは市場価格への移行によって、CIS諸国における自らの立場を強化している。年初、同社は中央アジアのガスをヨーロッパ価格で買取ることを提案し、それによって中国との交渉過程で不当廉売の可能性を排除した」と述べている。
アゼルバイジャンのガス採掘量が増加すれば、将来的にNabuccoパイプラインを使ってヨーロッパにガスを輸出する可能性がある。そうなれば、ガスプロムにとってEUガス市場において新たなライバルが出現することになる。「以前、すでにガスプロムがアゼルバイジャンのShakh-Denisガス田産のガスを買取るという憶測が流れたことはあったが、この件について正式に発表がなされたのは今回が初めてである。しかし、ガスプロムがアゼルバイジャンのガスを輸入するという決定は驚くにあたらない。ヨーロッパに対するエネルギー供給者が増えることは、同社の利益にはつながらないからである」と2K Audit-Business consulting社長のTamara Kasyanova氏は言う。
専門家は、まさにこの観点から、ガスプロムが莫大なエネルギー資源を保有する他の旧ソ連諸国(すなわち、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン)から天然ガスを市場価格で買取ることに同意したことを説明している。
現在のところ、アナリストは将来の取引結果およびアゼルバイジャンガスの「市場価格」水準に関する予測を急いではいない。また、市場もこのニュースに関して、今のところ反応を示してはいない。Sobinbankアナリストによると、アゼルバイジャンとの取引結果が明らかにならない限り、ガスプロム株式は中立である。同社とアゼルバイジャンの間にガス買取り契約が成立した場合、同社は買取りにかかる費用をCIS諸国にガスを供給することで補填することができ、同社の財務指標はそれほど影響も受けないであろう。さらに、同社は当該地域における立場を強化できるであろう。

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