[レポート]「6月9日週の外国為替市場分析」(2)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株) 石井 雅博 2008年6月10日付」より
●今週のポイント●
■ファンダメンタルズ
原油高とインフレが依然として焦点となるなか、米小売・CPIに注目か
先週は英金融機関の損失拡大懸念に始まり、FRB議長の口先介入、そしてECB総裁の利上げ予告など、インパクトある材料が相次ぎドル/円を始め乱高下する荒れた展開になりました。これまでめったに為替水準に口を挟まなかったバーナンキFRB議長が、3日にインフレの要因であるドル安をけん制した他、トリシェECB総裁が6日の会見でインフレ抑制のため来月7月の利上げを示唆する見解を表明し、原油などの商品価格の高騰によるインフレ圧力を背景に、米国・ユーロ圏当局がインフレ抑制を最優先にせざるを得ない状況が明らかになっています。今月末のFOMCと来月のECB理事会において、FRBは緩和政策から据え置き=様子見姿勢へシフトし、今年4月の利下げをもってFRBの利下げサイクルが終了する見通しで、一方のECBは据え置きから引き締めへと明確に政策の方向転換を行う公算が高まっています。しかし米国では住宅市場の底打ちがまだ示されておらず、欧州でも景気減速リスクを抱えているため、これらの金融政策の転換がポジティブな面を持つことはなく、むしろ各金融当局の手詰まり感を示すものになりそうです。
また先週の米5月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想より減少ペースが抑えられましたが、同失業率は 5.5%へ0.5%上昇し22年ぶりの上げ幅を記録しました。FRBがインフレとともに重要課題とする雇用問題が依然として悪化傾向にあることが示され、 5ヶ月連続の雇用減によって米景気を支える個人消費の一層の鈍化も懸念されます。今後FRBが景気減速とインフレ双方のリスクにさらされている現状をどう乗り切るかに注目が集まるでしょう。ドル/円はFRB議長のドル安けん制やインフレ警戒発言を受けて底堅い展開が予想されますが、先週400ドル近く急落したNYダウや各国株価がインフレを嫌気して続落する場合、リスク回避の円買いが持ち込まれる可能性があるため、106円台という3ヶ月ぶりの高値圏にあるドル/円の急落リスクを常に念頭に置いておきたい。
今週は12日の米5月小売売上高と同消費者物価指数(CPI)が、米個人消費とインフレ動向を把握する上でカギとなります。前回自動車を除く指数が予想外の堅調さを見せた小売売上高は、米政府が実施した減税による効果で堅調な結果が予測されています。また米消費者物価指数(CPI)は総合指数のさらなる上振れが予想され、米CPIコア指数も前月より伸び幅を微増させる見込みで、株価への影響が気になるところ。その他カナダ銀行の政策金利発表が10日に予定されていますが、米欧がインフレ警戒に重点を置く政策へと一歩踏み出るなかで、BOCは米国の景気減速の波及や雇用市場の縮小などによる景気鈍化に配慮して0.25%利下げを実施すると予想されています。オセアニア通貨では12日の豪州5月雇用統計が注目材料。先週3日豪州準備銀行(RBA)が当面の金利据え置きを示唆する声明を出したため、豪ドルが大きく売られる場面がありましたが、豪雇用市場は依然として堅調さを示す公算が高いことから、強い雇用統計によって市場が豪ドルのセンチメントが好転する可能性も否定できないでしょう。
主要な経済指標とイベント
6月9日(月)
《 豪 : 女王誕生日 》
【日】5月マネーサプライ (08:50)
【スイス】5月失業率 (14:45)
【独】4月貿易収支 (15:00)
【独】4月経常収支 (15:00)
【英】5月生産者物価指数 (17:00)
【加】5月住宅着工件数 (21:15)
【米】4月中古住宅販売保留 (23:00)
6月10日(火)
【米】バーナンキFRB議長講演 (09:15)
【英】5月RICS住宅価格 (08:01)
【日】4月機械受注 (08:50)
【英】4月鉱工業生産 (17:30)
【英】4月製造業生産高 (17:30)
【加】4月国際商品貿易 (21:30)
【米】4月貿易収支 (21:30)
【加】BOC政策金利 (22:00)
6月11日(水)
【日】第1四半期GDP(確報値)(08:50)
【日】5月国内企業物価指数 (08:50)
【日】4月経常収支 (08:50)
【日】4月貿易収支 (08:50)
【豪】6月ウェストパック消費者信頼感 (09:30)
【英】5月失業率 (17:30)
【英】5月失業保険申請件数 (17:30)
【英】4月商品貿易収支 (17:30)
【欧】第1四半期経常収支 (18:00)
【加】第1四半期設備稼働率 (21:30)
【加】4月新築住宅価格指数 (21:30)
【米】5月月次財政収支 (27:00)
【米】地区連銀報告(ベージュブック)(27:00)
6月12日(木)
【豪】5月新規雇用者数 (10:30)
【豪】5月失業率 (10:30)
【欧】4月鉱工業生産 (18:00)
【米】5月輸入物価指数 (21:30)
【米】5月小売売上高 (21:30)
【米】新規失業保険申請件数 (21:30)
【米】4月企業在庫 (23:00)
【米】バーナンキFRB議長講演 (24:30)
6月13日(金)
【日】日銀政策決定会合
【NZ】4月小売売上高指数 (07:45)
【日】日銀金融経済月報 (15:00)
【独】5月消費者物価指数 (15:00)
【加】4月製造業出荷 (21:30)
【加】第1四半期労働生産率 (21:30)
【米】5月消費者物価指数 (21:30)
【米】6月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(23:00)
■各通貨ごとの分析
アメリカドル/円 USD/JPY
先週ドル/円は2月28日以来の106円台へ上昇し、5日に106.42円の高値を示現しましたが、その後週末にかけて104円台へ押し戻され、方向感の定まらない展開になりました。124.13円→95.73円の38.2%戻し(106.60円)や昨年7月高値起点の長期下降トレンド(106円前半)の抵抗線を突破しきれなかったため、106円前半がレンジ上限として意識されやすく、上値の重い展開が予想されます。また5月中の持ち合い上限にあたる 105.60-80円も抵抗線になります。ただ下値も3月17日安値を起点としたトレンドラインに沿った動きが続いているので、今週9日に104.40 円、週末13日に105.00円へ切り上がる同トレンドラインが破られなければ上値追いの機運が維持されると見られます。また21日移動平均線も 104.50-80円付近を通り下値を支える見込みです。しかし104.50円を明確に下抜けると、先週支持線になった90日移動平均線の通る 103.70円付近まで試されるリスクが出てくるので注意が必要です。今週の予想レンジは103.50-107.00円。
ユーロ/円 EUR/JPY
ユーロ/円は先週4日に一時161.70円まで下げ幅を広げる場面があったものの、翌5日に3円近く急反発して165円を突破。週末には166.14円まで年初来高値を更新しました。ボリンジャー上限を上抜けし上昇トレンドへの転換が示唆されており、今週も引き続き上値を追う展開となるか注目されます。 167円台では11月7日高値167.62円や10月15日高値167.71円が上値ターゲットになります。下値では165円の大台が保たれるかがポイントで、逆に165円を大きく割ってくると、これまでのパターンから短中期的に160円前後まで試される可能性があるので注意が必要です。165円割れ水準では5月28日高値164.45円が目先のサポートになる見込みで、ここが破れると21日移動平均線(9日に163.10円、週末に164.30円付近へ上昇か)まで試されるかもしれません。今週の予想レンジは163.00-167.50円。
英ポンド/円 GBP/JPY
先週ポンド/円は204-208円のレンジ内で乱高下の展開。先月29日にポンド/円は208.92円の高値をつけていましたが、週明け2日は急激な調整で始まり、208円前後から204円台へ4円近く急反落。ただ204円で下げ止まると週半ばから戻りを試す堅調な展開になり、週末には一時208円台を回復する場面もありました。今週は5日移動平均線を上回る水準へ回復したポンド/円が、再度208-209円台を試す展開となるか注目されます。また先週は205円前後を通る21日・90日線が強い支持線になりました。今週も下値は同様に205円が重要な攻防ラインになり、90日線は205円付近を横ばい推移し、21日線は205円前半から週末にかけて206円台へ上昇する見込みです。終値ベースで205円を割り込まなければ、強気相場継続の公算が高まるでしょう。今週の予想レンジは203.00-209.00円。
オーストラリアドル/円 AUD/JPY
豪ドル/円は3月20日からの強い上昇トレンドが継続し、先週も102円手前まで年初来高値を更新しました。先週下値を支えた21日移動平均線は 99.80円から週末にかけて100.40円へ上昇する見込みで、また上昇トレンドラインも9日月曜100.10円、週末には101.00円へ切り上がるため100円台では底堅い展開が予想されます。しかしこれらの支持線が破られると調整リスクが高まり、特に100円を大きく割ってくるとこれまでのパターンから、短中期的に95-90円付近まで下押しする可能性も。RSIなどオシレーター系指標も高値感を示唆しているため、11月上旬以来の高値圏にある豪ドル/円が急反転するリスクなどを念頭に置いておきたい。今週の予想レンジは98.50-103.00円。
ニュージーランドドル/円 NZD/JPY
豪ドル/円とは反対にNZドル/円は先週2円近い下げ幅となり、週末には先月22日以来の安値水準まで売り込まれ、80円半ばで引けました。上値も26 週移動平均線にちょうど抑えられ、30日につけた82.70円を目先の戻り天井と考えると、当面は上値の重い展開になるかもしれません。上値はまず先週末下回った21日線の通る81円前後が抵抗線になり、先週の攻防ラインとなった81.50円前後も強い抵抗線になります。5月6日高値82.99円を越えるまでは下落トレンド形成の動きに留意する必要がありそうです。一方先週末時点でRSIが50%を下回り、今後下押しが一段と強まる可能性もあるため、下値では80円割れやトレンドラインの通る79.30-50円を破る動きに注意したい。今週の予想レンジは79.00-83.00円。
カナダドル/円 CAD/JPY
加ドル/円は先週大幅下落して3.10円安の102.96円で引けました。5月29日高値107.08円から4円近い下落であり、目先天井感が台頭しています。また短中期移動平均線がデッドクロスし、3月20日安値起点の上昇トレンドも先週末に破っているため、今後は下落トレンド入りの展開に注意が必要で、5月9日安値101.57円が破られると下降局面入りが一段と明確になりそうです。目先はボリンジャー下限(102.80-103.20円)がサポートになり、102円台を維持できればまだ上値余地が残されます。上値は先週半ばから抵抗線に変わった21日移動平均線がかぶさる104.60円付近が重く、同線を明確に上抜けるかがポイントになります。ただ105円を越えても先月中旬まで頭を抑えた105.30-80円が強い抵抗ゾーンになるため、戻りを叩かれやすい状況が続くと予想されます。今週の予想レンジは101.50-106.00円。
スイスフラン/円 CHF/JPY
スイスフラン/円は先週2円近い上げ幅を記録し、1991年以来の高値圏へ一気に上昇。先月下旬からもみ合ったレンジから明確に上放れして103円前後で取引を終え、上値拡大余地を残す格好となっています。ただRSIが4月22日にピークをつけた時の水準を上回る70%台に乗せてきた他、価格と移動平均線とのかい離が異常な水準まで拡大し、相場の反転が強く示唆されています。しかし裏を返せば大相場入りの兆候とも見て取れるため、相場の勢いが予想以上に持続するケースなども念頭に置いて取引に臨みたい。今週の予想レンジは101.50-104.50円。
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■次回は6月16日(月)更新予定です
※掲載内容は情報提供を目的としており、勧誘等を目的としたものではありませんので、お取引の最終判断はお客様ご自身の責任で行うようお願い致します。
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