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[コラム]土壌汚染・ブラウンフィールドと地球温暖化

2008年06月11日 09:36更新 前の記事 次の記事  コラム・環境一覧
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出展:みずほ情報総研ホームページ(http://www.mizuho-ir.co.jp/)「コラム/みずほ情報総研(株) 環境・資源エネルギー部 光成 美樹 2008年6月10日付」より

 洞爺湖サミットも来月に迫り、国内では地球温暖化を中心とする環境問題への取り組みについて日々報道されている。

 土壌汚染問題は、2008年3月末に環境省から、2008年4月には国土交通省から報告書が公表(※)され、今後の法改正に向けた方向性が示されている。改正項目案の一部として、現在限定的となっている調査の対象範囲の拡大や掘削除去が大部分となっている浄化手法の柔軟化の可能性が示されているものの、具体的な改正内容については、今後の審議会等の議論を待つことになるだろう。

 一方、環境問題の中心が地球温暖化問題に大きくシフトしているなかで、土壌汚染問題は地球温暖化対策の中でどのような取り組みが求められのだろうか。先行する海外では土壌汚染やブラウンフィールド問題において、地球温暖化を踏まえた取り組み・政策等について、現在大きく以下の3つの方向性が示されている。

 第一は、CO2排出の少ない浄化手法の採用である。すでに米国のデュポン社などでは、米環境保護庁(EPA)とともに、ライフサイクルCO2排出量の少ない浄化手法の実証研究等を進めており、CO2排出量が少ないことを浄化手法の評価要素に取り入れている。これらの手法はグリーン・リメディエーション(グリーン浄化)と呼ばれ、欧州でもその考え方が徐々に広がっている。汚染土壌を搬出して移動させる手法に比べて原位置で浄化する手法などが評価されることになるものである。オランダでは、ラベルや段階別のグレードを示して、CO2排出量の少ない浄化手法を周知している。

 第二は、ブラウンフィールドの再利用促進である。ブラウンフィールドの多くが利便性の高い都市部に位置していることなどから、ブラウンフィールドを再利用することにより、郊外化を抑えコンパクトな都市の形成が可能になるとしている。これにより水道、ガス、電力、道路等の社会資本のコストだけでも5分の1以下になるという試算もあり、社会資本工事に伴うエネルギー使用、すなわちCO2の排出量も少なくなると評価されている。実際に、カリフォルニア州では CO2対策に向けたコンパクトシティのため、ブラウンフィールドの再利用促進が優先政策課題のひとつにあげられるようになっている。

 第三は、再利用後に建設される建物の環境配慮である。国内でも省エネ法改正とともに不動産のグリーン化が進むことが期待されているが、“ブラウンからグリーンへ”のコンセプトのもと土壌汚染浄化と建物のエネルギー効率の改善および環境配慮型建物の構築を進め、土地建物全体の環境配慮を進める動きが広がっている。

 米国で毎年2回開かれてきた「汚染不動産の取引に関する会議」は、その名称も今年から「持続型不動産の取引に関する会議」と変わり、温暖化に関する取り組みが紹介されるようになった。州レベルの規制から、来年度以降の法制度化に向けて、すでに温暖化対策の準備が始まっているという認識が高まっているためである。また、先週(2008.6.3-6)イタリアで行われた欧州の土壌関連会議ConSoil2008でも、持続可能な社会における土壌浄化やブラウンフィールド再開発の視点が紹介された。ブラウンフィールド問題は、個別の浄化工事だけでなく、その土地を含む地域全体の環境・経済・社会の視点を踏まえた対象地およびその地域の再生という視点が求められており、経済性を考慮したリスクベースの浄化や地域との土地利用の調和を重視した政策が進められている。

 国内の土壌汚染対策のなかに、現段階では温暖化対策の視点は入れられていないが、今後、あらゆる経済活動において温暖化対策が考慮されていくなかで、土壌汚染対策においても、温暖化の視点を組み込むことが求められる時期がくるだろう。その際には、各国の状況を参考にしつつも、日本の土地利用や経済・社会の実態に沿った長期的なグランドデザインのもとで政策が立案されることが期待される。

※<環境省>
  土壌環境施策に関するあり方懇談会報告の取りまとめについて http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9560

  <国土交通省>
  「土壌汚染地における土地の有効利用等に関する研究会」中間取りまとめの公表について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/03/030404_.html

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