[トピックス]ロシア初石油取引所は完成するのか?
ロシアのサンクトペテルブルグにおける商品・石油取引所の開設が着手されて以来、3年が経過している。関係者は、同取引所が、石油・石油製品・石油先物を取り扱う総合的な市場として機能することを望んでいる。6月9日に開催された政府の代表者会議で、ズブコフ副首相は、2008年7月より、サンクトペテルブルグ取引所で試験的な取引が開始される予定であると公表した。年末までに、同取引所における取引額は、1兆5000億ルーブルに上るとされている。
先日開催された第12回ペテルブルグ国際経済フォーラムでは、サンクトペテルブルグ商品・石油取引所に関する説明があった。ズブコフ副首相は、同取引所の資本金が確保され、連邦金融市場局から営業許可を得たことを報告した。同取引所における取引はルーブル建てとなる。同取引所には、商品価格の形成に対する非経済的要因の影響を抑制すること、また、石油製品の取引に関与する仲介者が減ることで、取引価格の上昇を防ぐといった機能を果たすことが期待されている。
しかし、ロシア政府による非常に楽観的な計画が順調に実現するとは考えられない。ペテルブルグ商品・石油取引所の開設に関する協議が開始されたのは2005年のことである。しかし、現在に至るまで、どこに取引所が設立されるのかさえ、明らかになっていない。6月7日、同取引所の副所長を務めるPotapushin氏は、Vasilievsky区近辺への取引所開設が困難となっていることを公表した。
専門家の間でも、石油取引所の設立に関してその将来性を危ぶむ声が上がっている。石油加工・石油化学協会の会員であり、ルクオイルの副社長を務めていたBazhenov氏は、期日どおりに計画が実現しないのではないかと危惧している。同氏は、「前々から取引所の必要性が叫ばれていたにもかかわらず、予定通りに取引が始められるような準備がなされてきたとは思えない。この背景には、石油関連企業側が、石油製品供給に関する長期契約の締結に二の足を踏んでいる状況がある。同取引所での取引に参入するには、石油製品の生産量を増加させることが必要である。しかし、生産量を増加することは難しい。そうである以上、何らかの行政的措置(関税引き上げ等)が取られることも考えられる。」と指摘している。
予定通りに取引を開始することが危ぶまれているサンクトペテルブルグ石油取引所であるが、石油取引所に引き続き、ガス取引所を設立しようという動きも出ている。ガスプロムは、2009年に、ガス先物取引所を開設する計画を立てている。これに関しては、ガスプロムのミレル社長が、国際経済フォーラムの場で公表している。同氏によると、Nord Streamガス供給パイプラインが稼動する2011年以降、ルーブル建てで国際ガス取引が開始される予定。現在、ガス先物は、地域間ガス会社「Mejregiongaz」の電子取引所で行われているが、その規模は小さい。
ルクオイルの前副社長であるBazhenov氏は、サンクトペテルブルグのガス取引所に関しては、楽観的な見方をしている。同氏は、「液化石油ガスの取引所に関する問題は、より早急に解決されるだろう。また、取引が調整され、中間業社等も排除されていくだろう。」と指摘する。
サンクトペテルブルグ商品・石油取引所の株主には、ガスプロム・ネフチ、タトネフチ、スルグトネフチェガス、ロスネフチ等の大手石油会社以外に、ガスプロムバンク・VTB(外貿銀行)といった大手銀行も名を連ねている。また、外国の取引所では人気のないロシア産輸出ブレント原油(REBCO)の取引は、ニューヨーク・マーカンタイル取引所から同取引所に移るものと考えられる。同取引所が取り扱う商品は、当面のところ、石油・石油製品であるが、穀物・建材・鉱物肥料等も取扱商品に加えていく予定である。
専門家によると、取引所開設は、石油の価格形成を直接決定するという点で、石油関連企業に有利に働くだろうとされている。Bazhenov氏は、「しかし、そのためには、石油関連企業が、販売政策を根本的に変えることが必要となるだろう。これはそう簡単なことではない。取引所開設が前々からの決定事項であるにもかかわらず、開設に至るまでに長期を要している背景には、こうした問題もある。」と指摘している。
ロシア石油ガス産業連盟の専門家であるTankaev氏は、ペテルブルグに石油取引所を開設するという計画は合理的であると考えている。同氏は、「現在、各取引所では主としてドルによる取引がなされており、ドル安によって、自動的に利益が減少している。石油企業に残る収益は、1トン当たり100ドルという税制が敷かれている。この100ドルは、以前にはより価値があったが、現在ではその価値はどんどん下がっている。ルーブル換算での税金算出が可能となる国内取引所がないために、石油企業の利益は減少する結果となっている。」と指摘する。
政府及び政府機関は、企業も政府も、取引所の開設に期待しているとしている。ロシア石油ガス産業連盟のTankaev氏は、「ロシアの石油企業にとって、こうした取引所の開設は有益である。世界的な石油価格の高騰を背景に、年初来、石油企業の減益が見られる。高騰が続く場合、負担がさらに大きくなることも考えられる。」と言及している。
ロシアの取引所がいつ開設をみるか、また、効果的な役割を果たすことができるかどうかが明らかとなるのは、もう少し先のことになるだろう。官僚の発言が実際の行動に反映され、早期に取引所が完成することを期待するしかない。更に同取引所が、国際的に発展していくにも、関係者の努力が不可欠である。

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