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[コラム]「家計負担に追い討ちをかける輸入農産物関税」

2008年06月13日 09:26更新 前の記事 次の記事  コラム・経済政策一覧
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出展:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「真野輝彦客員研究理事コラム 2008年6月11日付」より

―政府の関税収入と家計への付回し―

 天井知らずの原油価格高騰が他の国際商品価格にも波及し、特に農産物価格上昇が各国家計の大きな負担となっている。暴動が発生する国も増え、「いま喰えないのに、何が環境だ」という感情の強まりからか、来月に迫っている洞爺湖環境サミットに大きな影を落としている。 
 日本国内ではコメの減反問題が与党内で物議をかもしているが、他方で多くの公的部門の無駄使いが明らかになっているにも拘わらず、後期高齢者問題とも絡む消費税引き上げの試算が発表されている。消費税率引き上げの根回しとも思われ、背後には日本の消費税は国際比較では低率であり、税負担率も低いとの認識があるようである。先月末のこのコラム「マイナス金利は実質的増税」には多くの方々のご意見を頂いた。ここでもう一つの実質的税金である食料関税の家計負担問題を指摘したい。
 欧米の家計が輸入食料を国際価格で買えるのに対し、日本の家計は農家保護のための高い関税を含む価格で買わされている。コメの関税が400%であることはご存知の方も多いと思うが、こんにゃくには900%、落花生には500%、小麦250%などの高い農産物関税が課けられている。政府はこの関税収入を得ると同時に関税分を家計に付回をし、税金の二重取りをしているのである。
 欧米でも農業保護は行われている。しかし国内価格と国際価格との差額は財政から農家に直接支払われ、消費者にツケは回していない。税金から支出するなら結局消費者にツケは回るのではないかと笑う方がいるとも思うが、家計が高い農産物を買わされ、実質的税金を負担している事実を明確にすることが大切なのである。WTOはこの消費者負担金額を年間5兆円と試算している。一方、農林省の予算は約3兆円だが、この予算で農道とは思えない立派な道路が建設され、農家ではなく工事業者を潤している。
 消費者庁が具体化し、道路財源の一般財源化問題もある中で、消費者保護の視点から農産物価格引き下げと農産物自給率引き上げ、競争力向上か喫緊の課題である。
 因みに、日本の1農家の耕作面積は1.6ヘクタール、米国は180ヘクタールと100倍を越え、オーストラリヤには3000ヘクタールを越えるものもある。これを跳ね返す生産性向上には思い切った農業、財政改革が不可欠である。

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真野 輝彦(まの てるひこ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 客員研究理事
   
  1956年 東京銀行入行。
  フランクフルト支店為替課長、本店為替部次長、スイス東京銀行総支配人、
  丸の内支店副支店長、調査部長を歴任。
  1985年東京銀行取締役、1987年東京銀行参与。
  1996年合併に伴ない、東京三菱銀行参与。
  1999年より現職
   
  日本商工会議所・東京商工会議所 政策委員会委員
  国策研究会 評議委員会議長
  日本国際フォーラム 政策委員
  読売国際経済懇話会 特別会員
  International Club of Bank Economists会員
  国際通貨研究所 評議員
  聖学院大学・大学院 教授
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