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週刊マーケットレター

2008年06月16日 10:21更新 前の記事 次の記事  コラム・経済情勢一覧
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出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org
週刊マーケットレター(08年6月16日週号、No.236)
2008年6月15日
曽我 純 


図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html


■主要マーケット指標
■ 米国経済の傷は深くドル高は持続せず
ポールソン米財務長官の「介入を検討対象から排除しない」との発言等によって、ドル
は主要通貨に対して大幅に上昇した。対円でも1ドル=108円台と今年1月以来の円安ド
ル高となった。ただ、このまま円安ドル高が持続するかといえば、ドルの戻りは一時的、
限定的であり、円、ユーロ売りが一巡すれば、再びドル安に向かうだろう。米国の実体経済は不動産バブルが弾けつつある段階にあり、不動産市況底打ちの時期は来年以降になる可能性が高く、景気もそれまでは不況の状態から抜け出せないからだ。

 5月の米小売売上高は前月比1.0%と予想を上回る伸びとなったが、前年比では2.5%と
低調なほか、6月のミシガン大学消費者センチメント指数も56.7と前月よりもさらに3.1
ポイント低下し、約30年ぶりの低水準に落ち込んだ。税の還付が消費を支えているとは
いえ、これほどの消費者マインドの冷え込みを回復させるのは容易ではない。

 ガソリン価格の急騰も加わり、米国経済のエンジンである消費はかってないほどの厳し
い状況に直面しているといえる。消費の冷え込みは、設備投資を躊躇させ、景気後退を一
層激しいものにするだろう。日本も景気後退期に入ったと考えられるが、米国の後退速度
が速く、こうした両国の景気動向の差異によって、ドルは売られ、円やユーロが買われることになるはずだ。

 弱い消費は物価にもあらわれている。原油価格は急騰しているが、5月の消費者物価指
数のコア(食品・エネルギーを除く)は前年比2.3%と前月の上昇率と変わらず、落ち着い
ている。原油等の資源高を除けば、最終需要の低迷、設備稼働率の低下や単位労働コスト
伸び率低下など、物価の安定に結びつく要因のほうが多い。

 米債券利回りは週末、4.25%と昨年11月以来の水準に上昇したが、今後、名目経済成長
率は大幅に低下する見通しであり、債券利回りがこのレベルからさらに上昇するとは考え
難い。08年1−3月期の名目GDPは前年比4.8%伸びたが、4−6月期は3%台、7−9
月期は2%台に低下、しかも不動産不況による資産デフレのため成長率の低迷は長期化す
るだろう。このような実体経済の低迷を察して、米債券利回りは3%台に低下する一方、
株式は敬遠されるとみている。

■ 実体経済を反映し難い景気一致指数
日本の景気もピークアウトした。4月の景気一致指数は101.7と2ヵ月連続で低下、昨
年8月のピークから3.8%も下落し、景気後退が明らかになってきた。一致指数よりも景気
の状態をより速く表わす先行指数は、06年5月をピークにすでに約2年の長い下降を示し
ている。先行指数は06年5月をピークに低下しているが、それから15ヵ月後に一致指数
がピークを付けるという長期のズレが生じたのは、91年2月の景気の山以来である。その
ときは先行と一致の時間差は22ヵ月と今回よりも長かった。資産バブルで非製造業がお
かしくなったことをその理由に挙げることができる。

先行指数は12本の経済指標で構成されているが、そのうち11本が非製造業関連の指標
であり、製造業は3本にすぎない。一方、一致指数は11本中6本が製造業であり、製造業
のウエイトが大きい。名目GDPの構成をみると、製造業の構成比は21.3%(06年)にす
ぎず、一致指数の内容は実体経済を的確に反映したものではない。今回の先行と一致の波
の差異もそうした指数の構成と関係がある。

先行指数は内需を反映する傾向が強いが、先行指数はそうした景気の実態を映し出して
いるのだと思う。一致指数は製造業の動向が色濃くでており、内需の勢いが失せてきても、異常な資源高の恩恵をうけて、製造業の足取りは強かった。国際経済の影響が強くあらわれる製造業とそうでない非製造業との違いが、景気指数の構成の違いと重なって波長の著しい差をもたらしたのである。

 景気先行指数は06年5月にピークを付けているが、消費者態度指数(一般世帯、原数
値)はその1ヵ月前の06年4月がピークだ。景気一致指数は景気の拡大を示す半面、消
費者マインドは冷え込むというちぐはぐな動きをみせていた。5月の消費者態度指数は33.9と01年12月以来の低い数値となった(消費者態度指数は「暮らし向き」、「収入の増え方」等の4項目を5段階評価したもの)。これはITバブル不況の谷の手前に当たる低い水準であり、これから判断しても、現在の日本経済は徒ならぬ状況にあるといえる。


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