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第一三共の印ランバクシー買収に関するインドの見方

2008年06月16日 21:24更新 mailメール

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 ランバクシー・ラボラトリーズは2007年度の売上げが420億ルピー(1060億円)を誇るインド最大の製薬会社である。そのランバクシーを率いるマルビンドラ・シン最高経営責任者(CEO)と一族は11日、日本の第一三共株式会社と、彼らが保有するランバクシー株の34.82%を46億ドル(約5000億円)で売却する契約を交わした。

 このインド製薬業界史上最大の取引により、世界最大級の製薬会社が誕生した。第一三共はそれ以外にも、株式の20%を1株737ルピー(約1900円)で公開買付を行う。これらの取引は総額85億ドル(約9200億円)となる。シンCEOは、第一三共との提携後もCEOとしてランバクシーの舵を取り続ける。

 インドの製薬業界は、インド国内で2番目の速度で成長する業界だ。2006-07年度の売上げは前年比で27.32%成長し、2500億ドル(約27兆円)に達している。ランバクシー社は、現在の規模に成長するまでに世界中の中小規模の製薬会社を買収した。それを知る製薬業界の人々は、日本の第一三共によるランバクシーの株式の過半数取得宣言に仰天した。

 インドのあるメディアは、第一三共は新薬の研究に力を入れており、今回の提携により、ランバクシーは新薬の開発部門にも進出できるだけでなく、今まで市場を持たなかった地域にも進出することができるとしている。ランバクシーが持つマーケット・シェアを考慮すれば、この提携は実に合理的だ。ランバクシーは、ジェネリック医薬品の製造では世界のトップ10に入る企業だ。ランバクシーの世界市場において占める位置、マーケット・シェア、事業規模など、様々な要因を考慮すれば、今回の提携は投資家にとって魅力的だろう。ビジネスリサーチとコンサルティングを行うアメリカのフロスト&サリバンは、「ランバクシーの立場で考えれば、その株式を第一三共のように伝統があり、評判もよい企業に売却することは、合理的な終了オプションの一つだ」としている。

 別のメディアは、「インドの製薬企業は、現在のグローバルな競争で勝ち抜く手段や資源をもっていない。これは周知の事実だ」、「インドの製薬会社はすべて、グローバルな競争で勝ち残るための方法を模索している。ランバクシーはついに、両サイドにとってウィン−ウィンの関係になる方法をみつけたのだ。ランバクシーは、インドの他の製薬企業に対して、一つの道をしめしたと言える」としている。

 しかし、今回の買収劇により、政策の問題点が浮かび上がった、インド政府に対して問題提起をしたというのがメディアの大多数の意見だ。彼らは、製薬業界にはびこる真の問題は、薬価のコントロールなどの、政府による間違った政策であるという。われわれの政府は、世界で最も安い薬を作る地元企業を保護するために、何の保護政策も取っていない。政府は、最低限の医療を受けることすらままならない数百万人のインド人の存在を考慮していない。製薬業界は政府による薬価統制に対して不満を持っており、政府が早急に何らかの対策を行わない場合、医薬品の供給が不安定になるだろうと主張している。

 ランバクシーを含む多くのインドの製薬企業は、インドの製薬業界の未来に不安を感じ、海外企業による救済を求めている。シンCEOは、今回の提携は身売りではなく、戦略だと考えている。シンCEOは、28億ドル(約3000億円)という価格で株式を売却し、自身と株主にとって最も賢明な選択をしたのだ。

 興味深いことに、ランバクシーの創業者グルバクス・シン氏は、かつて日本のシオノギ製薬に勤務していた。その時に、ランジト・シン氏と共に、薬品卸業企業を設立しようと決意した。そして、設立されたのがランバクシーである。その後ランバクシーは、シオノギ製薬から、インドでの卸売業者として任命された。インド国内の市場が、海外の製薬業者に独占されていた1962年に、ランバクシーは製薬事業にも着手。それから70年経った現在、3代目の経営者の下、同社は世界トップ10の企業に成長し、そしてついに、日本企業との友情を再燃させることになったのだ。

 この提携は間違いなく、日本からインドへのメディカル・ツーリズム(医療観光)を増加させるだろう。ランバクシー創立者の孫であるマルビンドラ・シンCEOは、「今後高齢化していく日本の市場に対して、明るい見通しをもっている」と語っている。また「医療費の削減を目指している日本では、ジェネリック医薬品市場は成長を続けると予想していた」とも語っている。シンCEOは実は、インドを世界的なメディカル・ツーリズムの拠点にする計画を実行しているのだ。

 第一三共による買収劇に続くニュースに、インドはさらに仰天することになる。世界最大の製薬企業ファイザーがランバクシー株式の約65%取得を提案したのだ。ファイザーは、ランバクシーの創業家と、合併について1年前から交渉を進めており、債権者や投資家から株式を購入する提案をする可能性があるという。ランバクシーのスポークスマンは取材に対して、「我々は第一三共と、拘束力がある契約をすでに結んでいる。市場の憶測についてはコメントしない」としている。

voice of india

※この記事は、インド専門ニュース&コラムサイト「ヴォイス・オブ・インディア」の提供です。ビジネス、政治から社会、文化、エンタテインメントまで、インド発の最新情報をお届けしています。

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