[トピックス]製造業、M&Aが活発化
製造業における合併・買収(M&A)が活発化している。監査法人大手プライスウォーターハウスクーパース(PwC)による報告書では、短期的にも長期的にもこうした傾向が続くだろうと指摘されている。PwCの専門家は、特に、中小企業の場合、類似産業間でM&Aを実施することによって、相乗効果が生まれる余地は大いにあると考えている。
2005-2007年、世界で実施されたM&Aは4100件以上であった。同期間に実施された製造業部門におけるM&Aには、10億ドル以上の大規模な取引が多かった。また、PwCの専門家は、より小規模なM&Aに関しても言及している(取引総額1億ドル以下:1400件以上)。しかし、非常に小規模であると考えられるおよそ2500件のM&Aに関しては情報が公開されていない。
2005年に実施されたM&Aはおよそ1200件であったが、2007年のM&Aは1500件以上であった。M&Aが活発化すると同時に、取引金額も上昇している。2007年における取引総額は970億ドルであり、2005年における取引総額の2倍となった。専門家は、取引金額が大きくなった理由を50億ドル以上の大規模な取引数が増加したためであると説明している。2005-2007年におけるM&Aの取引総額は、1998億ドルに達した。
全取引の40%を占めているのは、西ヨーロッパで実施されたM&Aである。中でも、ドイツでは、385件のM&Aが実施され、その取引総額は、フランス・イギリスを合わせたM&A取引金額を上回った。しかし、アメリカで3件の非常に大きな取引があったため、取引金額トップはアメリカとなった。
2005-2007年に中央ヨーロッパ・東ヨーロッパで実施された154件のM&Aのうち、半数以上がロシア・チェコ・ポーランドにおける取引である。上記3カ国にトルコを加えた取引総額は10億ドルに達した。そのおよそ半分が、ロシアにおけるM&Aの取引額(4億5000万ドル)に相当する。
PwCの専門家は、エネルギー・採掘・冶金業においてM&Aが活発に行われたことにより、電力・ガス・石油探査・建設業におけるM&Aも促進されたと指摘する。その他、暖房・換気・空調設備の製造や機械製造業においても活発な取引が見受けられた。PwCの専門家であるBilingz氏は、「2008年第1四半期、投資を目的とした企業買収の数は少なくなった。しかし、フォンドによる直接投資は、依然、積極的に実施されている。製造業は、他の業種と比較して消費者信頼感指数の動向に左右されにくいことから、製造業関連企業のキャッシュフローは増加するだろう」と予測している。
製造業に従事している企業の多くは、多角的な業務内容を有している。企業の管理部門は、事業内容を綿密に分析したうえで、戦略的優位に立つためにM&A取引を行う。経営状態に問題がある場合には、子会社の分離、或いは会社全体の再編という選択肢が取られる場合が多い。また、新たな地方・市場への参入、技術の獲得、企業規模拡大のために企業を取得する場合もある。上記の目的を同時に達成する企業もある。
新規市場で大きなシェアを有していたり、或いは、先端技術の研究開発能力に優れている子会社を基盤として戦略を立てることは、一般的になってきている。M&Aの多くは、双方の利点を統合した結果であるが、相乗効果を狙う取引には経費をできるだけ抑制することが必要である。経費の節約には、子会社の取得、或いは、拠点を統一するための諸手続きを簡素化することが挙げられる。
PwCの専門家は、「経済において製造業が占める割合は大きい。世界有数の企業、また、中小企業の多くは、製造業である。こうした多様性によって、今後、同業界におけるM&Aは促進されるだろう」と予測している。
PwCによる報告書のデータには、東ヨーロッパ・インド・中国を始めとする急速に発展している途上国の市場において、今後、M&Aは増加するだろうとの予測が示されている。途上国の市場においてM&Aに参加するだろうと考えられるのは、まず、自社の規模拡大及び生産コスト削減による収益増を狙う先進国の企業である。また、国際的な市場に進出したばかりで先端技術・専門的知識を持った人材・研究開発のための知識を得たいと考えている途上国の企業もM&Aに関心を持っていると思われる。
エネルギー資源の利用効率を高めるための新しい基準は、例えば、暖房・換気等の技術に対してより厳しい要求を突きつけている。こうしたことも、多くの業界における新たなM&Aを促進する可能性がある。生産過程における技術力及びエネルギー資源の利用効率を向上させることは、製造業界の二酸化炭素排出量削減にも貢献する可能性がある。これに関連して、機械製造業等は、二酸化炭素排出量に規制が設けられることによって、収益を得ると考えられる。
また、M&Aの平均取引金額も上昇することが見込まれている。現在の経済情勢は、非常に大規模なM&Aの実現に伴うリスクを高めている。しかし、製造業に携わる多くの中堅企業は、良好な生産業績を示しており、専門家は、2億-5億ドル規模の取引は引き続き実施されるだろうと予測している。

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