[レポート]「6月23日週の外国為替市場分析」(1)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株) 石井 雅博 2008年6月24日付」より
●先週の概況●
行き過ぎた米利上げ期待感の修正でドル全面安となるもクロス円は底堅い展開
先週16日月曜日はユーロ/円主導で円安が進行し、ユーロ/円が約8ヶ月ぶりの高値水準167円後半へ上昇。一方ドル/円は108.57円まで高値を伸ばすも、海外時間から持ち高調整の売りが強まり、前週末終値付近へ下落して引けました。
前週末のG8ではインフレ対策やドル安の是正に対して特に議論されず、週明けの為替市場への影響は限定的でした。ドル/円は前週終値付近の108.20 円前後で取引を開始し、ユーロ/円はやや円安傾向で始まり東京時間166円後半でじり高推移、豪ドル/円も101円後半で堅調な展開になりました。海外時間に入ると欧州通貨の上昇が目立ち、ユーロ/円が強いユーロ圏5月消費者物価指数を受け、5営業日ぶりに167円台へ上昇、その後昨年10月15日以来の高値167.66円を示現。ポンド/円もまた212円台へ強い伸びを示しました。一方ドル/円は東京市場終盤に2月14日以来の高値108.57円を示現するも、海外時間は対欧州通貨で強まるドル売りに押されて伸び悩み、NY入りに発表された米6月NY連銀製造業景況指数が大幅な悪化を示すと108円を割って107.91円まで下落しました。またこの週から始まる米金融機関の決算で、この日発表された米リーマン・ブラザーズ決算では、損失が予想範囲内となったため市場は反応薄でした。NYダウは対米証券投資が予想以上の大幅流入額を示すも、NY連銀指数を嫌気して下落して始まり、139ドル台へ最高値を更新した原油相場が重石となって軟調に推移。ただ下げ幅が限定的であったため、ドル/円・クロス円ともNY時間は底堅い展開が続きました。
17日火曜日は英FT紙など主要紙で米利上げ期待感をけん制する報道が相次いだことを受け、ドル/円が107円半ばまで下落したものの、海外時間はECBの利上げが一度にとどまる可能性を示唆した欧州当局者発言で、ユーロ売り・ドル買いへ反転。しかし米住宅指標などの悪化で米景気減速懸念が浮上し、ドル/円は108円回復後も上値の重い展開に。
東京時間はドル売りが優勢、英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙と米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙など主要紙で、米利上げ期待感の行き過ぎが指摘され、特にWSJ紙でFOMCの利上げ時期はインフレが急加速しないかぎり秋以降になると報じられたことからドル/円が108円を割って 107.57円まで下落。また豪ドル/円も豪州準備銀行(RBA)が今月分の議事録で、利上げについて長時間議論した前回ほどタカ派色が出なかったため豪ドル/円が101円半ばへ急落しました。そのなかでユーロ/円は金利観測に振り回される展開となり、午前急伸したユーロ/ドルにつれて167.81円の高値を示現しますが、夕方にビーニ・スマギECB専務理事が「7月の0.25%利上げで十分インフレが低下する」と発言すると市場がユーロ売りへ転じ 167.05円へ急反落。しかしその後167円半ばへ反発する底堅さを見せ、独6月ZEW景況指数が1992年以来の大幅な悪化にも下落は限定的でした。一方ポンド/円は前週の生産者物価に続いて消費者物価が強い結果になったものの、その後キング英中銀総裁が「インフレは今年後半に4%を超えるが年末にピークを迎える」、「景気減速の影響で2年後をメドにインフレ沈静化へ」と発言、インフレ抑制のための利上げに消極的な姿勢を示したため、高値から2円以上安い210.60円まで急落。ドル/円は夕方以降買い戻しが強まり108円台を回復するも、強い米5月生産者物価に市場は反応薄で、逆に弱含んだ住宅着工件数や鉱工業生産を受けて 米景気への先行き不安感が急速に増幅し、NY序盤は上値の重い展開に。NYダウは米景気悪化観測が重石になり100ドル以上下落しますが、NY時間ドル/円は107円後半で底堅い値動きとなり107.91円で引けとなりました。
18日水曜日はユーロ/円が昨年7月以来の168円をタッチするなどクロス円中心に堅調な展開。しかし米金融機関の決算悪化を受けてダウが大幅安となり、金融不安はむしろ強まる格好に。
東京市場は材料難から全体的に動意に欠ける展開となり、ドル/円は107.80-108.00円の狭いレンジで小動きになりました。しかし海外時間に「中期的な物価安定へのリスクが高まった」とするシュタルクECB専務理事のタカ派発言を受け、市場でユーロ買いが加速。ユーロ/円は一気に168円をタッチする動きとなり、昨年7月20日以来の高値168.01円を示現。ユーロ/円の上昇につれて他のクロス円も引っ張られる格好となったものの、軟調に始まった欧州株が上値を抑えたため上昇は一時的でした。また英中銀議事録では、今月の据え置き決定(8対1の票決)の際、多くの委員から利下げに否定的な意見が出たことが明らかになりましたが、ポンド買いには結びつかずポンド/円は211円前半でこう着。ドル/円はロンドン時間に108.41円の同日高値をつけたもののまででとどまるも、NY時間大幅減益となった米モルガン・スタンレー決算や米リーマン・ブラザーズの身売り観測が報じられると、ダウが 100ドル以上に下げ幅を広げ、ドル/円は108円を割って夕方以降の上げ幅を相殺。ただ107.82円をつけて下げ渋り、引けにかけて安値圏でもみ合いとなりました。一方ユーロ/円は168円をつけた後、NY序盤167.20円まで下値を拡大する場面がありましたが、その後は167円半ばで底堅い展開に。豪ドル/円もNY引け際に急反発した原油相場を受けて102円台へ乗せ、年初来高値を102.17円まで更新。またスイスフラン/円も翌19日にスイス国立銀行(SNB)が利上げするとの観測を背景に1991年2月以来の104円台へ上昇しました。
19日木曜日は全面安となったアジア株を受け欧州序盤までリスク回避の円買いが先行するも、記録的な伸びを示した英小売を受けてポンド/円が反発すると、以降株価も持ち直しドル/円はNY時間にかけ108円を回復。クロス円もスイスフラン/円など一部を除いて前日比プラス圏へ上伸しました。
東京時間は日経を始めとしてアジア株が前日のダウ続落の流れを引き継いで全面安の展開となり、特に中国上海株が当局のインフレ抑制政策を懸念して6%もの下落率を記録しました。それまで堅調だったドル/円・クロス円も、株安による信用不安のあおりを受けて夕方からユーロ/円を中心にリスク回避の円買いが加速。ユーロ/円が167円を割り込み166.70円台へ急落した他、スイスフラン/円も同日金利を据え置きとしたスイス中銀の政策に対して、利上げを見込んでいた向きから失望売りが入り103円前半まで1円近く大幅下落しました。しかし英5月小売売上高が+3.5%と統計開始以来の伸び率を示しポンド/ 円が212円台へ急騰すると、他の通貨でも欧州株が持ち直したことから円高が一服しロンドン時間にかけて買い戻しが優勢に。ドル/円は107.41円の安値示現後、107.80円台へ反発し、加ドル/円は同国の強い消費者物価指数を受けて106円半ばまで上昇。NY時間は強弱まちまちとなった米景気先行指数とフィラデルフィア連銀指数に市場は反応薄で、原油相場の大幅反落とダウの小幅上昇に支えられドル/円は108円前後まで戻す展開に。またNY時間に前日高値を越えて来た豪ドル/円は102.74円まで上値を拡大し、ポンド/円も一時213円へ到達しました。
先週末20日金曜日は信用不安の再燃を受け、NY時間以降全面円高の展開。ドル/円が107円前半へ週安値を更新して引けた他、ECB高官発言で168.10円まで急伸したユーロ/円も海外時間の上げ幅を相殺しました。
東京時間は米金融不安を嫌気して13,000円を割った日経を始めとしてアジア株が軟調に推移。ドル/円は特に株安の影響も受けず107円後半でもみ合いが続いていましたが、夕方に強い独生産者物価指数や、物価安定のために行動すべきと述べたビーニ・スマギECB理事発言などを受けてユーロ/円が急伸、年初来高値を168.10円まで更新しました。一方ドル/円は夕方以降信用不安や対ユーロでの下落を受けて上下に振幅しながら軟調に推移し、ロンドン時間に 19日安値を下抜いて107円前半へ下落。NY時間には米格付け会社S&Pが金融保証会社(モノライン)2社を最高格から格下げしたことに加えて、米政府高官が「イスラエルが今月初めに実施した軍事演習がイラン核開発施設攻撃を想定して行われた可能性がある」と発言したことから、信用収縮懸念と地政学的リスクが市場で増幅しドル/円は107.11円まで安値を更新。ユーロ/円もまた夕方の水準167.30円台まで振り落とされるも、スイスフラン/円とともに前日比プラス圏をかろうじて維持。ドル/円は結局107円割れを回避し前週比95銭安の107.25円で取引を終了しました。
なお他の通貨の先週終値は
ユーロ/円167.59円(前週比1.37円高)
ポンド/円211.96円(前週比1.27円高)
豪ドル/円102.29円(前週比0.74円高)
NZドル/円81.61円(前週比0.56円高)
加ドル/円105.42円(前週比0.29円高)
スイスフラン/円103.67円(前週比0.56円高)となっています。
●先週の主な要人発言
【6月17日(火)】
「7月の0.25%利上げで十分インフレが低下する」
--------------ビーニ・スマギECB専務理事
「インフレは今年後半に4%を超えるが年末にピークを迎える」
「景気減速の影響で2年後をメドにインフレ沈静化へ」
--------------キング英中銀総裁
【6月18日(水)】
「中期的な物価安定へのリスクが高まった」
--------------シュタルクECB専務理事
「ECBはインフレ・リスクを強調する必要がある」
--------------ファッフェンバッハ独副経済相
【6月19日(木)】
「利上げについて議論した」
「スイスフラン安は輸入物価を上昇させ、インフレに影響」
--------------ロート・スイス国立銀行総裁
【6月20日(金)】
「現在の政策金利は適切」
「エネルギー価格の上昇は資源国のカナダ経済にとってポジティブ」
--------------カーニー・カナダ銀行総裁
「必要あれば7月以降も増産し、一段と供給拡大へ」
--------------サウジアラビア石油相(ジッダ会合)
※掲載内容は情報提供を目的としており、勧誘等を目的としたものではありませんので、お取引の最終判断はお客様ご自身の責任で行うようお願い致します。
関連記事
|
|

Powered by newsing |
|
コラム最新記事
|