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週刊マーケットレター(08年6月30日週号、No.238)

2008年06月30日 08:48更新 前の記事 次の記事  コラム・経済情勢一覧
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出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org
週刊マーケットレター(08年6月30日週号、No.238)
2008年6月29日
曽我 純 

■主要マーケット指標
■ エンロン破綻を髣髴させる米金融株の動き

数えきれないほどのSPC(特別目的会社)を舞台に、粉飾決算を繰り返したことでエン
ロンは破綻(01年12月)したが、その教訓が活かされぬまま米国はかつてない不動産不
況に陥った。米金融機関は連結のバランスシートに乗らない巨額の資産を保有しており、エンロンの二の舞にならないとも限らない。簿外の巨額な資産を連結に加えなければ、金融機関の財務の実態は雲をつかむようなものだ。さまざまな証券化商品も多くは簿外で運用されており、いまだにその全貌を掴んでいない。こうした簿外帳簿を認め、巨大金融機関を甘やかしてきた米財務会計基準審議会やSECの罪は重い。

シティーグループの株価は先週末、17.25ドルと昨年の50ドル台半ばからまさにつるべ
落としであり、1999年以来約10年ぶりの低い水準に落ち込んだ。1−3月期の純損失額は51.1億ドルと前期の98.3億ドルを下回ったけれども、4−6月期はどうなるのだろうか。3月末の総資産は2.19兆ドルだが、1兆ドル以上の巨額簿外資産を抱えており、住宅価格の下落がますます激しくなるなかでは、簿外の不良資産も雪達磨式に増えているはずだ。日本のバブル崩壊過程でも、不良債権処理の山は越えたという金融機関の発表を耳にたこができるほど聞かされたが、報告の都度、不良債権は減るどころか増える有様であった。米金融機関は日本ほど悠長なことはないと思うが、それでも純損失は昨年10-12月期以降であり、不良債権の本格処理はこれからのように思う。

金融機関だけでなく米国経済のシンボルでもあったGMの株価が11ドル台に落ち込んだ。過去3四半期で429億ドルの純損失を計上したが、ガソリン高、住宅不況等により、販売台数は激減しつつあり、今後の収益はさらに厳しくなるだろう。すでに自己資本は410億ドルのマイナスになっており、大型自動車工場の休止等だけでは、業績の回復は図れないのではないか。フォードも自己資本比率は2.5%にすぎず、財務はきわめて脆弱であり、株価は5ドル弱である。米国経済は自動車産業の空前の危機にも覆われている。

金融機関や自動車が危機的な状況に陥り、信用不安が高まるなかでは、株式は売られ債
券が買われ、債券利回りは3週間ぶりに4%を下回った。当然、対主要通貨にたいしてド
ルは売られ、特に、政策金利の引き上げが予想されているユーロは最高値近辺に上昇した。

NYダウは昨年末から-14.5%と世界の主要株価指数のなかで値下がり率は大きい。ただ、
昨年10月の高値からの下落率は19.9%と日経平均株価の高値からの下落率(25.8%減)な
どに比べると小さい。前年比では5月末比-7.3%と3ヵ月連続のマイナスである。6月末値もマイナスになることは間違いないが、それでもまだ4ヵ月つづいているだけで、前回のIT不況時の23ヵ月連続前年割れからみると、米株式の下落は初期段階といえる。

3月末の米株式価額は19.3兆ドル、前年比7.3%減少し、07年9月末のピークからは3.1
兆ドルの減である。そのうち家計の直接保有額は4.8兆ドル、年金(4.4兆ドル)やミュー
チュアルファンド(4.8兆ドル)等の間接保有分を加えると15.6兆ドルとなり、株式総額
の約8割は家計が保有している。家計の直接保有額も前年にくらべると1.1兆ドル減価し
ており、不動産だけでなく株式の側面からも家計部門の消費支出に悪影響していると考え
られる。

株式を実体経済と比較した場合、ITバブルのときほど株式は実体経済を上回っていない
が、長期の傾向をみると、株式が依然肥大しているように思える。株式価額を名目GDP
で除した値は3月末、136.3%と株式が名目GDPよりも大きい。95年6月末に100%を超え
てから、100%超が常態化しているが、それまでに100%超を記録したのは1968年12末だ
けである。

90年代の長期上昇相場が、実体経済以上に株式を膨らませたが、不動産バブルの破裂に
より実体経済の規模以下に縮小するだろう。ITバブル崩壊では100%近くまで低下したが、今回の不動産バブルの破裂では、家計は不動産の損失を株式で埋める行動にでるはずだ。
家計は直接保有の株式を売却することによって、不動産借入の返済に当てるように思う。
不動産価格の下落が、信用不安を強めながら、株式の売りを誘発するだろう。

5月の米可処分所得は、所得税減税により前月比5.7%と急増したが、増加額の86%を貯
蓄に回したように、支出には慎重な姿勢を示している。減税効果が剥げれば、消費はこれ
までにない深刻な状態に陥ることが予想される。資本財受注はまだ前年のレベルを上回っ
ているが、年後半には冷え込み、米景気を一層厳しい状態に追い込むだろう。

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Gesell Research Society Japan
http://grsj.org
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