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[レポート]週刊マーケットレター
出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org)
週刊マーケットレター(08年7月7日週号、No.239)
2008年7月6日
曽我 純
図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html
■主要マーケット指標
■ 大恐慌を上回る米住宅価格の下落
原油価格はまさに天井知らずの勢いであり、とうてい説明できるような価格ではない。
米国や日本の景気はすでに後退しているなど、世界的に経済は大幅にスローダウンしつつあり、今後、原油をはじめとする資源の需要は減退するだろう。これまで世界の景気循環と資源価格は後者が遅行する形で変動していた。商品市況は景気にすなおに着いていっていたのである。いつまでも景気に逆行する状態が続くことはなく、年内には資源バブルは崩壊するだろう。
原油価格は02年初めのバレル20ドル弱から先週末には145ドルへと7倍強に高騰したが、
米消費者物価指数は、その間1.22倍に上昇したにすぎない。日本にいたってはほとんど上
がっていない有様である。原油をはじめとする資源の急騰が、最終需要財の激しい値上り
を引き起こさなかったのは、労働コストの削減に加えて、GDP1単位当たりの資源投入量
の減少、中間段階での効率的な生産による吸収、などが考えられる。
米国の物価は景気悪化による需要減少にも依存しているように思う。米住宅産業や自動
車産業の未曽有の不況が、値上げを通用し難くしているのではないだろうか。米個人消費
支出物価指数のコア(食品・エネルギーを除く)は5月、前年比2.1%と3ヵ月連続同率の
伸びとなり、エネルギーの高騰は遮断されている。欧州中央銀行は3日、0.25%利上げし
たが、食品・エネルギーを除くユーロ圏の消費者物価指数は5月、前年比2.5%と過去半年
ほとんど変化がなく、インフレが切羽詰ったところまで迫っているわけではない。
住宅需要の激減によって、米住宅価格の値下がりは4月、前年比16.3%減と過去最大の
下落となった。前年割れは07年1月以降だが、今年1月から2桁減となり、月を追うご
とに減少率は拡大、ロバート・J・シラーによれば大恐慌が収まらない1932年の10.5%減
を超え、過去にない値下がりに見舞われている。
やっとの思いで手に入れた住宅が、2桁の価値を失っている事態に、米家計は直面して
いる。これまでに経験のないことだけに、米家計がどのような行動にでるかわからない。
だが、消費マインドにあらわれているように、家計のショックは大きく、消費支出は著しく絞り込まれるだろう。住宅資産の値下がりが、株式にも影響しつつあり、米国経済は
資産暴落の恐怖と資源高騰による物価上昇懸念というストックとフローの相反する変動に
脅えている。
住宅価格の下落は米国だけでなく、欧州でも景気の不安材料となっている。イギリスの
住宅は6月、前年比6.3%減と3ヵ月連続のマイナスだ。昨年央には10%近くまで戻してい
たが、その後急激に悪化しており、92年12月以来の下落となった。欧州大陸も住宅バブ
ルが弾けつつあり、利上げが住宅価格下落の動きを加速させる恐れもある。
日本も都市部のマンション価格が下落しており、住宅不況は世界的な規模で広がってい
る。住宅需要の不振によって、3月末の6大都市住宅地は前年比4.1%と07年9月末の8.3%
から鈍化した。6大都市商業地は前年比11.9%とまだ2桁増だが、伸び率は07年3月末(19.6%)がピークであり、住宅地よりも半年早くピークを付けている。景気の下降が激しくなるにつれて、オフィスの空室率は上昇、商業地の値段は反落傾向を強めるだろう。
特に、外資による投機資金の流入で値上りした商業地は、資金の引き上げ等により、大幅
に下落するかもしれない。
■ 企業の甘い収益見通し
6月調査の『短観』(7月1日発表)によれば、業況判断は大企業全産業で10%と3四
半期連続で低下した。中堅企業はー4%とマイナスに転じ、中小企業は-16%と07年6月
調査以降5四半期連続のマイナスである。9月までの先行きもすべて悪化すると予想して
おり、企業マインドは冷えているが、過去の底に比べると、まだ高く、本格的に悪化する
のはこれからだ。
08年度の大企業製造業の売上高は前年比3.5%と07年度(6.1%)から大幅に鈍化する。
国内はそれほどかわらないが、輸出が著しく低下すると予想し、特に、08年度上期は0.3%
の減収を見込む。ただ、下期は3.7%増と回復を想定しているが、米国の景気はさらに悪化
する方向にあり、企業予想はきわめて楽観的と言わざるを得ない。
08年度上期の大企業経常利益は前年比22.1%減と07年度下期よりもさらにマイナス幅
は拡大する見通しである。ところが輸出の回復などにより、下期は4.0%のプラスに転じる
というシナリオを描いている。6月23日発表の『法人企業景気予測調査』も同じように
下期の経常利益回復という内容だ。だが、収益回復を想定しながら設備投資は上期の2桁
増から下期は微増、『法人企業景気予測調査』では大企業非製造業が9.3%のマイナスになるため、全産業でも3.6%減少する見通しである。
消費の低迷が続く中、設備投資が不振になり、米国経済の下降に歯止めが掛からなけれ
ば、下期の企業収益はさらに悪化するかもしれない。日経平均株価は12営業日連続の前
日比マイナスと騒がれているが、株価収益率算定の1株当たり利益は今期、2.3%の減益を
見込んでいるにすぎない。『短観』によると、08年度の大企業全産業当期純利益は1.3%
増加する計画だが、世界的な景気悪化のなかでは2桁の減益は避けられないだろう。日本
株は依然割高である。
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