[レポート]7月7日週の外国為替市場分析(1)
出展:ai明治FXホームページ(http://www.aimeijifx.co.jp/)「石井雅博のWeekly FX Report/ai明治FX(株) 石井 雅博 2008年7月8日付」より
●先週の概況
利上げ期待のはく落でユーロ急落も、予想通りの米雇用統計にドル売りは限定的
【30日(月)】
日本国債の格上げを受け円買い需要が高まり、ドル/円が3週間ぶりに105円割れとなる場面も。しかし連日最高値を更新した原油相場がNY時間反落したため、結局ドル/円は寄り付きの水準へ反発。クロス円も加ドル/円を除いて下落は限定的でした。
東京時間午前は前週末の信用不安を受けた上値の重い流れを引きずるものの、ドル/円はほぼ前週終値水準の106.20円台で取引を開始し、クロス円も概ね底堅く推移しました。しかし米格付け会社ムーディーズが日本国債を引き上げたことを材料に、昼過ぎにかけて市場で円買いが強まりユーロ/円が午前につけた168円から急速に下げ幅を拡大、夕方には高値から2円安の166.05円まで安値を更新しました。他のクロス円も大幅に下落しポンド/円は先月13日以来の210円割れへ。ドル/円も105円台へ下落し、一瞬105円を割って3週間ぶりの安値104.97円を示現。しかし夕方に円高がピークを迎えるとロンドン時間ドル/円を中心に買い戻しの動きが強まり、ユーロ/円もユーロ圏6月消費者物価指数(HICP)が過去最高となる前年比+4.0%を記録したことを受けて安値から持ち直す展開に。ドル/円はNY序盤には106円手前まで戻し、その後発表された米6月シカゴ購買部協会景況指数が49.6と景気分岐点の50を下回るも、市場予想と前回をいずれも上回ったため106円を越えて朝方の水準106.24円まで回復。一時143ドル台まで最高値を更新していた原油相場が利益確定売りを受けて反落したため、NYダウは前日終値水準で底堅く推移し、NY時間全体的に小動きとなりドル/円は106.20円前後でもみ合いに。ただ加ドル/円はカナダ4月GDPが予想以上に強い結果になったにもかかわらず、NY時間も軟調な値動きが続き3週間ぶりに104円を割って引けました。
【1日(火)】
前日に続いてリスク回避の円買いが巻き起こり、豪ドル/円が100円台へ下落するなど円が一段高となるも、NY時間強い米ISM指数が好感され一転して買い戻しが優勢に。ドル/円は前日安値を破ることなく106円前半へ戻し、底堅さを保ちました。
朝方注目された日銀短観は5年ぶりの低水準に落ち込み、景気の下振れリスクが強まったものの、市場予想ほどの悪くなかったため発表後小幅に円が買われました。ただ市場への影響は限定的でドル/円は106円前半で小動き。また昼過ぎに豪州準備銀行(RBA)は政策金利発表を行い、市場の予想通り金利を据え置きとしたものの、声明で現行の金利水準を適切とし当面金利を据え置く見通しを前回同様に示したため豪ドル/円が急落、先月16日以来の101円割れとなりました。また午後に入って前日同様に円高傾向が強まり、ドル/円は夕方105円前半へ下落。クロス円もダウ先物が100ドルを超える下げを示すと、オセアニア通貨を中心に下値を拡大し、NY序盤には豪ドル/円が100.20円まで安値を更新した他、NZドル/円も5月22日以来の80円割れへ。しかしドル/円・ユーロ/円は前日安値手前で踏みとどまり、その後発表された米6月ISM製造業景況指数が5ヶ月ぶりに景気拡大を示唆する50以上に水準を戻すと、市場でドルが急速に買い戻されドル/円が106円を回復。100ドル安で始まったダウが強いISMを受けて前日プラス圏へ一瞬戻したため、クロス円も軒並み急反発しユーロ/円が166円手前から167円台へ上昇。豪ドル/円も101円台を回復しました。NY中盤以降は再び下げに転じたダウに振り回される展開となるものの、その後米ゼネラル・モーターズの業績改善を受けて株価が持ち直したため、ドル/円は3営業日続けて106円前半で取引を終え、下値の堅さを示す格好となりました。
【2日(水)】
ロンドン時間までドル/円・クロス円とも堅調な推移が続いたものの、NY時間弱い米雇用指標を受け106.61円まで高値を伸ばしていたドル/円が105円後半へ急落。ただクロス円は概ね堅調さを維持し、原油高・株安の悪循環が続くなか底堅い展開となりました。
東京時間ドル/円は105.70-20円のごく狭いレンジで小動きとなり、クロス円も概ねこう着した展開に。しかし豪ドル/円は午前発表された豪5月小売売上高が市場予想を上回ったことから、堅調に推移し欧州序盤に102円へ上昇。日経が170円安で引けるなどアジア株軟調の動きが続いたものの、リスク回避の動きは限定的で夕方以降、特に材料が見られないなかドルを中心に買いが強まり、ロンドン時間ドル/円が106.50円を越えて106.76円まで同日高値を更新。消費者物価に続いて強い結果となったユーロ圏生産者物価は格別材料視されなかったものの、ユーロ/円は30日高値を突破して168.61円まで急伸。他のクロス円も堅調な地合いが続きました。そのなかでポンド/円は英株式市場で住宅建設や小売関連銘柄が下落し、英景気減速懸念が高まったため212.03円の高値から急反落。その後211.00-212.00円のレンジで荒っぽい値動きに。NY時間は米6月ADP全国雇用者数が7.9万の減少と予想以上に弱い結果を示したため、翌日の米雇用統計への懸念が広がりドル/円が106円割れ水準へ急落。また米投資銀行メリルリンチの追加損失計上観測や、同社が米自動車メーカー最大手ゼネラル・モーターズの破綻の可能性を述べたことなどを受けNYダウが軟化。さらに原油在庫の減少を受けて原油相場が144ドル台へ史上最高値を更新するとダウは引け際に下げ幅を160ドルに拡大。しかし原油高・株安にも米雇用統計やECB政策金利発表を見極めたいとの思惑から為替市場は限定的な値動きにとどまり、ドル/円は105円後半で底堅く推移。またクロス円もポンド/円を除いて上げ幅を維持して引けとなりました。
【3日(木)】
米6月雇用統計はほぼ市場の予想通りの結果に。また1年ぶりに金利を引き上げたECBは声明で次回以降の利上げを示唆せずユーロが急落、ユーロ/円は167円前半へ1円以上下落しました。それとは対照的にドル/円は106円後半へ上昇。米ISMサービス業指数の悪化でやや円が買われる場面があったものの、ダウが急反発したためNY時間以降も一部の通貨を除いて堅調に推移しました。
前日NY時間は弱い米雇用指標を受けてドル軟調の流れが続いたものの、東京時間は米雇用統計など重要イベントを控えて、取引を手控えるムードが強まりドル/円は105.70-106.20円のレンジ内で推移。ユーロ/円も168円前半でこう着し、豪ドル/円は予想を上回る赤字となった豪5月貿易収支の影響も限られ102円前後で推移。しかし夕方になると、イベントを前にクロス円中心にポジション調整の買い戻しが強まり、特にユーロ/円は強いユーロ圏5月小売売上高の支援もあって先月26日以来の169円へ急伸し、同日高値を169.11円まで更新。またスイスフラン/円も1991年以来の105円を示現しました。逆にポンド/円は2001年以来の低水準に落ち込んだ英6月サービス業購買担当者指数(PMI)を受けて上値が重く211円前後で荒くもみ合う展開に。欧州中央銀行(ECB)は政策金利を市場の予想通り0.25%引き上げ4.25%に決定しましたが、すでに利上げを織り込んでいた市場の反応は薄く、ユーロ/円は若干売りに押されて168円後半へ軟化。そしてNY入りに発表された米6月非農業部門雇用者数(NFP)は6.2万人の減少と、ほぼ市場予想の6.0万人と同じで、一方米新規失業保険申請件数が4月第1週以来の40万台へ悪化したためドル/円が一時106円割れへ。しかしトリシェECB総裁が同時刻に行われた会見で、一段のインフレ警戒姿勢を示しながらも、次回以降の利上げを示唆する発言を行わなかったためユーロが主要通貨に対して下落、ユーロ/円は168円前後へ1円近く急落しました。その一方でドル/円は対ユーロでの上昇を受けて106.92円まで高値を更新。ところが米6月ISMサービス業景況指数が景気分岐点の50を3ヶ月ぶりに下回ったため、市場でドル売り・円買いが強まる場面があり、ユーロ/円がさらに下げ幅を拡大し167.35円の安値を示現。その後NYダウが米国3連休を前に急反発したため、ドル/円およびユーロ・スイスフランを除いたクロス円の下落は限定的で、ドル/円は8営業日ぶりに大幅反発し前日比84銭高の106.71円で引けました。
【4日(金)】
週末4日金曜日は米雇用統計など重要指標が出尽くしたことや、米国市場が独立記念日で休場となった影響で動意薄の展開が続き、ドル/円は106円後半でのもみ合いに終始。
東京時間は手がかりとなる材料に欠けるなか全体的に小動きの展開が続き、ドル/円は106.60-90円の狭いレンジでこう着。一方ユーロ/円が東京市場終盤168.05円へ上昇するなど、クロス円は概ねじり高の展開に。しかし日経が12日続落となった流れを引きついで欧州株が下落して始まり、海外時間以降は上値の重い展開に。「ユーロ圏インフレが加速する可能性を否定できない」と述べたリープシャー・オーストリア中銀総裁発言や、予想以上に悪化した独5月製造業受注への市場の反応は薄く、ユーロ/円は軟調な原油相場を受けて下落したユーロ/ドルにつれ安となって、ロンドン時間167.10円まで反落。NY時間に発表されたカナダ6月Ivey購買部協会指数は予想以上に強い結果を示しますが、加ドル/円の上昇は限定的でNY中盤からむしろ売りに押されて105円前後から軟化し104円半ばへ下落。その一方オセアニア通貨は堅調を維持し、豪ドル/円は102円後半の高値水準を維持しました。ドル/円は結局前日比横ばいの106.74円で取引を終えました。
なお他の通貨の先週終値は、
ユーロ/円167.57円(前週比0.11円安)
ポンド/円211.58円(前週比0.11円安)
豪ドル/円102.81円(前週比0.89円高)
NZドル/円80.99円(前週比0.30円高)
加ドル/円104.63円(前週比0.36円安)
スイスフラン/円104.07円(前週比0.15円安)となっています。
●先週の主な要人発言
【6月30日(月)】
「ユーロは対ドルで30%過大評価されている」
--------------サルコジ仏大統領
「強いドルは良いことで、米国の国益であると確信」
--------------ポールソン米財務長官
【7月1日(火)】
「現行の金融政策スタンスは当面のあいだ適切」
「引き締めによって国内の需要減退の兆候」
「短期的にインフレ率が高まるも、時間とともに低下へ」
--------------豪州準備銀行(RBA)
「インフレに伴う大きな危険性がある」
--------------リープシャー・オーストリア中銀総裁
【7月2日(水))】
「ECBが断固とした対応とらねばインフレが急上昇する可能性も」
--------------トリシェECB総裁
【7月3日(木)】
「利上げはインフレの2次的波及を防ぐため」
「インフレリスクは強まった」
「インフレは予想より長期にわたって2%以上で推移」
「現在の金利水準で物価安定の目標に寄与」
「(利上げ・利下げどちらの)バイアスも有していない」
--------------トリシェECB総裁
【7月4日(金))】
「ユーロ圏はスタグフレーションではない」
--------------メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁
「ユーロ圏インフレが加速する可能性を否定できない」
--------------リープシャー・オーストリア中銀総裁
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