[レポート]週刊マーケットレター
出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org)
週刊マーケットレター(08年7月14日週号、No.240)
2008年7月13日
曽我 純
図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html
■主要マーケット指標
■ 米住宅バブル破裂によりモーゲージ金融会社崖っ縁
米住宅バブルの破裂がモーゲージ金融会社を揺さぶっている。この大波は米国内にとど
まらず、世界の公的、民間金融機関にも波及するだろう。まともに大波を受け、死に体状
態にあるのがFannie MaeとFreddie Macの政府支援企業である。2社の株価は週末の11日、一時前日から約50%も下落した。終値は戻したものの、Fannie Maeは昨年来高値の14.5%Freddie Macは11.5%の水準にあり、いつ破産してもおかしくない状態である。
Fannie MaeとFreddie Macの所管官庁 は連邦住宅公社監督局(OFHEO)であることから、
緊急事態に対応することが難しく、急遽、FRBに資金供給を頼るような案も考えられている。10日の議会証言で、ポールソン財務長官とバーナンキFRB議長は、FRBの権限拡大と議会が金融機関を清算する新たな手段を検討することについて言及した。
ただ、Fannie MaeとFreddie Macの総資産は1兆6,461億ドル(3月末)に上り、米住宅
ローンの「70%に関与している」(ポールソン財務長官)だけに、その救済には巨額の公
的資金を要するだけでなく、住宅市場に及ぼす影響も計り知れない。
Fannie MaeとFreddie Macは金融機関からモーゲージローンを買取り、それをMBS(モ
ーゲージ担保証券)として投資家に販売するだけでなく、債券市場で資金調達し、それで
モーゲージを購入している。Fannie Maeは3月末、証券投資とモーゲージローンを3,388
億ドル、4,109億ドルそれぞれ保有している。Freddie Macは6,011億ドル、864億ドルと証券投資の割合が高い。MBSの価格は値洗いができないほどの悲惨な状況にあり、取得価格を大幅に下回っている一方、モーゲージローンは返済の滞納が生じており、不良債権が急増している。信用不安の高まりにより、2社の資金調達コストも上昇しており、まさに四面楚歌の状態に陥っているといえる。
公的・政府支援企業発行の証券化商品(MBSを含む)は3月末、7.55兆ドル(FRB)の
残高があるが、米商業銀行の9,229億ドルを始め、生保・年金1兆1,159億ドル、ミュー
チュアルファンド8,966億ドル、家計8,437億ドル等の保有に加え、海外が1兆5,408億ド
ル保有している。そのうち公的機関が9,850億ドル、民間が5,559億ドルと公的保有額が
民間の2倍近い規模である。01年末比の伸び率では民間の1.67倍に対して、公的機関は5.74倍と異常な拡大をしただけに、証券の価格急落により、海外公的機関は相当の痛手を負っていることは間違いない。
米住宅バブルの破裂は住宅ローンの返済不能、MBS価格の急落等を引き起こし、米国経
済を戦後最大の危機に引きずり込もうとしている。住宅価値の大幅な目減りにより、家計
の資産は減少する半面、負債はそのままの状態が続き、バランスシートは毀損しつつある。
米モーゲージ残高・可処分所得比率をみると、90年代前半まではなだらかに上昇していたが、その後、急上昇し、01年には100%を超えたが、勢いは止らず、07年末には143.4%と
モーゲージ残高は可処分所得を大きく上回った。このように、過去にないモーゲージの異
常な増加は、米国経済が拡大していても、返済が厳しくなるはずだ。まして、景気後退下
では、可処分所得の伸びも期待できず、雇用環境も厳しさを増し、返済の滞納・不能が急
増することになる。
08年1‐3月期のモーゲージの延滞率は6.35%と前年同期よりも1.81ポイント上昇。なかでもサブプライムは18.79%、前年同期比8.05ポイントも上昇しており、貸出先金融機
関の資産劣化は予想を上回っているのではないか。Freddie Macは1年以内に返済しなければならない資金が3月末で2,905億ドルある。モーゲージ返済不能等により、自身の返済が覚束無いという事態に陥っているように受け取られている。
週末、米住宅金融大手のインディマックが破綻(3月末の総資産320億ドル)。これか
ら、米銀行は不良債権の増加に伴い、ますます資金繰りが悪化、行き詰まるところが出て
くるだろう。銀行間でも信用不安が強まり、資金の流れが滞ることも考えられる。こうし
た信用不安は株式市場に波及することは避けられない。コンピューターや通信技術の開花
や市場主義の行き過ぎによって、90年代半ば以降、米株式は大相場を形成したが、昨年10
月でピークを打ったのではないか。過去最大の住宅デフレに直面し、米株式の下落はいつ
終わるとも検討もつかない混迷に陥ったようだ。
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