[コラム:研究員のココロ]教育産業ソリューションシリーズ(第6回:上海における塾・予備校等)
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出典:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 主任研究員 成長戦略クラスター 野尻 剛 2008年8月18日付」より
本シリーズでは成長戦略クラスターが取り組んでいる、学習塾をはじめとする教育産業向けのソリューションについてテーマ別にご紹介しております。詳細につきましては当クラスターまでお問い合わせください。
日本の塾・予備校企業の中国進出動向
日本の塾・予備校等市場は1兆円を超す大きな市場となっているが、少子化の影響を受け徐々に縮小している。そうした中、新たな成長分野として中国に目を向ける企業が現れており、幾つかの進出例も報道されている(詳細は下記参考をご参照)。
また、進出までには至っていないものの、中国市場に興味をもち研究中という企業は少なくない。現在は規制等の問題もあり本格化した動きとはなっていないが、将来的には成長戦略の有力な選択肢の一つとなっても不思議ではない。そこで、当クラスターでは昨年末に上海における塾・予備校等の市場リサーチを行い、日本企業の進出可能性について検討を行った。以下、その概略について発表したい。
〔参考:日本企業の進出例〕
公文教育研究会:上海に160、香港106の教室数をほこる
・中国にて「算数・数学」、「中国語」、「母国語としての英語」、「外国語としての英語」を教えている。
・教室数は上述のとおり、受講生は5万人に及んでいる。
(出所)2007年4月26日 日経産業新聞記事より抜粋
ベネッセコーポレーション:通信教育講座「こどもちゃれんじ」の中国版を展開
・2006年より通信教育講座を展開し、中国の文化や生活習慣等を絵や文章で教えている。
・現地出版者と組み、3種類の通信教育教材を開発。「テスト的な取組み」というが大都市を中心に5万人(3月時点)の会員を獲得している。
・中国本土に先駆けて始めた台湾では、会員数22万人(昨年9月時点)に達した。
(出所)2007年4月26日 日経産業新聞記事より抜粋
京進 :中国・広州市内に小中学生向けの学習塾を開設
・2006年11月に開設。
・日系自動車メーカーの進出等で、同市内の在留邦人は増加傾向にあり、日本人世帯の子供を対象とする学習塾のニーズが高まっているという。同社が海外に進出するのは4拠点目。
・運営会社を近く設立。京進の出資比率は90%で、残りは現地の語学学校運営会社が出資。
(出所)2006年10月30日 日経産業新聞記事より抜粋
上海市における教育事情
(1)人口
少子化の波は上海市でも同様で、一人っ子政策により18歳未満の人口は長期的には減少する傾向にあり、ある長期予測によれば、2030年の人口水準は90年代後半の8割程度となる見込みだ。日本との比較で特徴的なことは、年ごとの人口増減が大きいことである。これは、日本よりも子供の生まれ年を気にする慣習が強いためだが、この影響による短期的な市場変動には注意が必要となる。
(2)進学率
上海市の教育区分は日本と同様で、小学校・中学校・高校・大学とに分かれ、中学校までが義務教育となる。各段階での進学率は日本と遜色の無い水準にあり、特に大学進学率は日本よりも高い水準にある。
(3)通塾率
各年代における塾・予備校等への通塾率は、ここ数年で徐々に上昇している。受験年になると通塾率が高くなるのは日本と同じで、通塾率の水準も概ね同じ様な状況にある。日本との比較で特徴的なことは、小学校6年生の通塾率が高い一方で、6年生以外の小学生の通塾率は、日本では学年が上がるにつれて徐々に高まるのに対し、10%前後の低い水準に留まっている点である。
(4)教育費の水準
上海市のGDPに占める教育費(学校教育の公的支出及び私費負担、塾・予備校等の家計支出の合計)の割合は、ここ数年は2%台前半でほぼ横這いに推移している。これは日本の半分以下の水準だ。但し、GDPは年率二桁成長を続けているので、教育費も絶対額としては同様のペースで増加している。
また、現役の中高生を子供に持ち、実際に塾・予備校等を利用している保護者のインタビューを実施したところ、塾・予備校等の授業料として世帯月収の2%程度を支出している場合が多く、4%未満で過半を占めていた。家計への負担感はあまり高くはなく、より良い教育を受けられるのならば、お金をもっと支払っても良いと考える保護者が殆どであった。この点は、一人っ子となったことで子供への期待がより大きくなっており、教育にお金をかける風潮が高まっていることからも頷ける点である。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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