[トピックス]ロシアの年金問題
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ロシア財務省によると、ロシアの年金平均支給額は、平均収入の30%以上となるべきである。この水準は決して高いとは言えない。クドリン財務大臣も、「年金支給額の引上げは必要不可欠である。現在の年金支給額は十分な水準に達していない」と述べている。現在、政府に、2023年までの財政計画案が提出されている。クドリン財務大臣は、赤字を計上している年金システムを再構築することが、今後15年間の最重要課題であると明言している。現行の年金制度では、労働人口の急速な減少とそれに伴う年金受給者の増加を背景に、2023年における平均収入に対する年金支給額の割合は、現在の半分の水準にまで落ち込むとされている。
メドベージェフ大統領は、現行の年金システムには問題があるとして、保険・社会発展省に、新たな年金システムに関する改革案の提出を求めていた。
ロシアの労働年金は、基礎部分、保険部分、積立部分という3層から成り立っている。基礎部分は、勤続年数にかかわらず、全員に支給される。保険部分は、被保険者が勤続期間中に支払う保険料であり、積立部分は年金積立金の運用益によるものである。現在、統一社会税の26%が、国家予算と予算外基金に振り分けられている。そのうち6%が年金積立部分に充当され、さらに6%が基礎部分の支払いに充てられている。残りの14%が年金基金の保険部分に組み入れられており、その保険部分の6%が1967年以降に生まれた人の年金であり、8%が現在の年金受給者に対して支払われる分である。
2008年、ロシア政府は、年金の支給額を高めること等を目的として、3430億ルーブルの予算を組んだ。消費者物価指数、及び、月額平均賃金の上昇により、年金に占める保険部分は、2月1日以来12%増となり、4月1日からでも7.5%増加している。また、8月1日からは、労働年金の基礎部分が15%増額された。現在、労働年金の平均月額は、3216ルーブルである。これは、最低生活費の98.3%に相当する額である。
当初、経済貿易発展省に、年金枠の拡大を実施する計画はなかった。しかし、生活必需品の物価上昇率がインフレ率を上回り、年金受給者の支出が急速に増加したため、年金保険料は引き上げられた。さらに、1967年以降生まれの人口が年々増加しており、現在の年金受給者への支払い原資に不足が生じている。経済貿易発展省は、資金不足という問題の解決策として、統一社会税の分配方法の見直しを図ることを提案した。
一方、財務省では、統一社会税を引上げることも検討している。統一社会税の引上げが必要な根拠として、財務省は、最低生活費に対する年金平均支給額を2010年までに170%、2012年までに200%、2023年までに380%程度あげるためと説明している。クドリン財務大臣は、年金への支出を拡大し、年金支給額を増額するためには、税負担増は必然であると考えている。
統一社会税は、2005年に、35.6%から26%まで引き下げられた経緯がある。また、その際、所得が高いほど税率が低いという逆累進課税が施行された(年間所得が28万ルーブル以下の部分は26%、28万ルーブル以上60万ルーブル以下の部分は10%、60万ルーブル以上の部分は2%)。財務省は、2010年までに、この所得制限に変更を加えたいとしている。財務省の案では、年間所得が110万ルーブル以下の部分は26%、110万ルーブル以上230万ルーブル以下の部分は10%、230万ルーブル以上の部分は2%となる。つまり、政府は、一方で、所得の向上を推進しつつ、もう一方で税金負担を大きくし、結果として、収入を引き下げようとしている。クドリン財務大臣は、「2005年における実効税率は24.7%であった。一方、2007年の実効税率は21.5%まで下がっている。統一社会税の引上げと言っても、実際には、元の水準に戻すということである。」と述べている。
この他にも、財務省は、年金支給額を増額するための措置を検討している。一方、そうした政府の年金改革案に対して、多くのエコノミストは、現状に即していないとの見解を示している。運用会社Russ-Capitalの主任アナリストであるLogvin氏は、「財務省の計画からは、メドベージェフ大統領が、選挙戦の際に公約として掲げた年金改革は、まだ始動していないことが明らかである。財務省の案では、国民の大多数が税金負担を強いられる。現在、ロシアは黒字予算を組んでいる。資金面での問題がないのにもかかわらず、国民負担が大きくなるというのはおかしい。」と指摘する。
また、投資会社OtkrytieのShekhmametev氏も、財務省の方針を追いはぎのやり方以外の何物でもないと批判している。同氏は、「政府は、石油その他から莫大な利益を得ている。その一方、国民には税負担を求めている。少なくとも、このような案が国民に広く受け入れられることはないだろう。」と述べる。
数年前にも、年金改革は行われたが、その成果は見えない。年金は、今や、解決に多大な努力を要する問題となってしまった。運用会社Russ-CapitalのLogvin氏は、「現在、政府が保証している年金の支給額は、平均賃金の30%を下回らないという水準に止まっている。年金の支給額がこのような低水準で足踏みしているということは、年金問題に対して、政府が無為無策であることを露呈している。」と結論付けている。
FINAM
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