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[レポート]週刊マーケットレター

2008年09月29日 08:03更新 mailメール

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出典:ゲゼル研究会(http:grsj.org
週刊マーケットレター(08年9月29日週号、No.249)
2008年9月28日
曽我 純 

図表などはサイトの PDF からご覧になれます。
http://www.grsj.org/marketletter/index.html


■主要マーケット指標
■ 信用創造の機能低下に悩む米金融経済
 ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの銀行持株会社化がFRBに承認された
ことに続いて、それぞれ増資の実施も発表され、リーマン・ブラザーズ破綻以降の証券会
社の処理はひとまず終わった。だが、25日にはS&L最大手のワシントン・ミューチュア
ルが破綻、即日、JPモルガン・チェースが買収した。証券化商品の価格暴落により証券会
社は行き詰まり潰れたが、今度は住宅ローンの焦げ付きが、銀行等の貸付機関を窮地に追
い詰めている。

 FDICによると、預金保険の適用対象金融機関8,451行(商業銀行7,203行、貯蓄金融機
関1,248行)のうち問題のある金融機関は08年6月末、117行と07年6月末の61行から
急増した。不良債権は1,629億ドル、延滞債権は1,118億ドルと前年を140.7%、51.1%それ
ぞれ上回った。不良債権の急増などから08年1-6月期の純収益は242億ドル、前年比86.5%減少するなど、収益力も急低下している。

 8,451行の総資産と自己資本は13.3兆ドル、1.35兆ドルだが、モーゲージを4.8兆ドルも保有しており、身動きが取れない状況に陥っている。貯蓄金融機関のモーゲージは1.11兆ドルと商業銀行(3.68兆ドル)に比べて少ないが、モーゲージが主力商品であるため、総資産の61.4%(08年6月末)を占めており、モーゲージの影響力はきわめて大きい。商業銀行のモーゲージ・総資産比率は31.5%と貯蓄金融機関の約半分と低いが、過去10年のモーゲージの伸びをみると、貯蓄金融機関の1.73倍に対して、商業銀行は2.75倍に拡大しており、モーゲージへの傾斜を深めていることがわかる。

 住宅市場の冷え込みにより、住宅価格は底なし状態になっており、9月末の住宅ローン
関連の不良債権は6月末よりも大幅に増加しているだろう。金融機関は損失発生により、
自己資本の充実を図る必要に迫られており、貸し出す余裕はない。

 金融機関から市中に資金が出回るのではなく、金融機関に資金が流入している。信用創
造は資金が金融機関から企業や家計に流れ、企業や家計からその一部が他の金融機関に還
流し、さらに他の企業や家計に向かうという途切れの無い流れにより実現されるが、米国
の現状は資金が金融機関により吸い取られ、そこから出て行かないという信用創造が機能
しない状態に陥っている。

 人間の体に例えると、血液の流れに異常が発生し、末端まで血液が流れなくなっている
状態といえるだろう。一時的な血行障害であれば、組織は壊死しないが、しばしば起こる
ことになれば、身体機能は維持できなくなる。現下の米国経済はそのような状態にあるのだ。

■ 有価証券取引税を導入し、日本の株式市場を正常にすべきだ

 日経平均株価の週末値は2週続けて1万1,000円台を付け、05年8月第1週以来の低い水準である。昨年末比では22.3%減となり、NYダウよりも下落率は大きい。日本経済が景気後退に入り、企業収益が悪化していることに加えて、日本株の最大の売買主体である外人が、米金融機関の相次ぐ破綻により、日本株を処分しているからだ。

 東証1部の委託に占める外人の売買代金は03年の47.5%から07年には63.3%に大幅に
上昇した。08年8月は66.8%、直近の9月第3週では67.5%に上昇しており、外人の東京
株式市場に及ぼす影響はさらに強くなっている。

 米国の金融市場の動揺は一朝一夕に収まることはなく、激しい揺れは当分続くだろう。
外人はリスク資産を売り、流動性の確保に躍起になっている。処分できるものはすべて処
分し、キャッシュないしはその同等物で保有する行動にでている。

 米欧の住宅バブルの破裂だけでなく、資源バブルや株式バブルも破裂しつつある。超低
金利政策が投機に火を付け、成果を生み出すまでに時間を要する実物資産には眼もくれず、超短期の目先の利益のみを狙い、投機が市場を席捲した。そうした行動が今回の無残な結果を招き、世界経済にまで深刻な影響をおよぼしている。

 日本の株式市場の不安定性が高いのは、世界最低の政策金利によって売買高が多く、市
場が博打場と化しているからだ。95年以降、13年間もコールレート(翌日物無担保)は1%未満であり、その間、ゼロ金利も6年以上実施された。さらに、有価証券取引税の廃止、株式手数料自由化、税制の優遇措置等が株式市場の投機化に拍車を掛けた。

 東京株式市場の売買回転率140%(東証1部08年8月、年率)は世界の株式市場のなか
でも際立っており、依然投機が支配している。投機相場で一時的には上昇したものの、持続力はなく、約3年前の水準に後戻りしてしまった。これほど株式市場が大きく揺れると、実体経済に悪影響する弊害のほうが大きい。

 30億株もの大商いになれば、鎮静策を導入しなければならない。政策金利は実体経済だ
けでなく、株式市場の動向にも眼を凝らす必要がある。さらに1999年3月に廃止された
有価証券取引税を復活させ、「遊技場を、公共の利益のために、近づき難くかつ金のかか
るものとしなければならない」(ケインズ)。

 07年の売買代金は752兆円(東証1・2・マザーズ)と03年の3.1倍に膨れた。1%
の取引税で7.5兆円の税収になる。09年4月に導入される基礎年金の国庫負担の2分の1
への引き上げが先送りされる見通しだが、取引税を復活させれば、財源は楽々確保される
ことになる。「たばこ」ではなく「株式」から税を取るべきだ。

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Gesell Research Society Japan
http://grsj.org
info@grsj.org
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